私が取引させてもらったかっての職人さん達
の思い出を書かせてもらいます。
先ず日本で最初に貝の工場らしきものが
出来たのは神戸です。
神戸に居留するドイツ人が日本人に貝ボタンの
作り方を教えたのが最初です。
その後神戸が市街地化されるに従い、大阪、
和歌山、奈良と貝工場は移って行った訳です。
理由は貝を削った粉が近隣に飛ぶ公害のために
より郊外の過疎地を求めたのです。
数年前、奈良のボタン工場を見せていただき
ましたが、以前より格段の機械化が進んでいた
のに驚きました。貝ボタンの製作は農閑期の
お百姓さん達に任されていた訳です。
当初は比較的に簡単なシャツボタンの製作でした
が近年はフランスなどのオートクチュール用の
高級ボタン作りにかかっているとのことです。
安価な量産ボタンは東南アジアに移っている
ようです。
しかし日本では奈良以北には貝の工場が
出来たとは聞いていませんが、近年の状況に
ついては定かでありません。
むろん当社専属のMMさんも関西の方です。
私の前の代よりの付き合いでしたから随分の
年月当社の製品のみに尽くしていただいた
訳です。
当時の主なアクセサリーに使う貝の材料は、
メキシコ貝、ヤコウ貝、白蝶貝、黒蝶貝、
タカセ貝です。この方の磨いた貝を見て
他の貝の職人さんが、日本にこれほど
綺麗な磨きが出来る人がいるのかと驚いた
位です。問屋さんも何か上に塗っているのか
と仕上げに感心したものです。
仕上げは只のバフ仕上げだけです。
この方の貝があったおかげで当時、当社の
アクセサリーが主だったデパートで扱って
いただけた訳です。
①がMMさんの磨いたメキシコ貝です。
サイズは30x40mmです。
貝としてはあまり良い部分の見本では
ありません。左の貝の左半分がメキシコ貝の
中心部のクジャク模様の良い部分です。
右の貝は外側の部分です。
ニュージランドアワビ(パウアシェル)は逆に
②はMKさんのカメオです。
この彫りは今一ですが③はコンパクトに
嵌められた白蝶貝の彫り物で直径48mm
あります。隣の黒蝶貝もコンパクト用に磨かれた
もので直径70mmあります。
白蝶貝はオーストラリア産、黒蝶貝はタヒチ産
です。
④の菊彫りは見事です
直径60mmありコンパクト用に製作された物
です。裏が平らで、しかも肉厚で白い貝
が必要です。オーストラリア産の白蝶貝です。
MKさんの人物彫りは今ひとつと申しましたが
花とかの彫りは抜群でした。
④上と同じく60mm丸です。花芯に本真珠を
この方の人物彫りに魅せられて、三顧の礼を
持ってお願いしたと言っても過言ではありません。
とにかく犬、ネコの動物は元より全ての彫りの
生き生きとした彫刻は今眺めていても
飽きることがありません。
当時の職人さん達のすごいのは全て1から手彫り
であったことです。
その証拠に花びら一つ一つ、髪の毛一つ一つが
⑥は20年ほど前に台湾の王さんに作ってもらった
作品の一部です。この頃は機械化が進み、この
デザインと同じものを鋳型で作り、超音波で合鍵を
作るようになぞって行けば貝に全く同じデザインの
ものが線彫りされます。それにルーターで肉づけ
すれば完成です。従って簡単に量産が可能です。
この時、4デザインで1,000枚作ってもらいました
が、困ったのは裏側が平らでないことです。
サイズは50x60mmで平らでないために一部を
除いて大半が空枠に嵌まらなくて苦労しました。
このことについては次回に書きます。







