中安清司氏とは私の前の代からのお付き合いです。

私は40年近い付き合いをしていただき、氏と言うより

師とお呼びする方が相応しい間柄です。氏は前に

ブログで書きました黒原和男先生と標本貝の収集を

通じて親しい間柄でもありました。


私が氏とフィリピンに行きましたのが、35,6年前と

思います。


私はアクセサリーの貝を、氏は標本貝を求めての旅

でした。輸入に際しては、私のコンテナに氏の一般的

な原貝を混載していました。


羨ましかったのは、氏が漁師から買ったポケットに

入るくらいの原貝で数十万の利益を得ることでした。

しかし、これは氏の目利きによるもので到底私には

真似の出来ることではありませんでした。


30数年まえにセブでシンセイタカラ貝?が採れて

ミセスポンセが私に儲かるから買えと薦められましたが、

1ケ100万円の価格に驚き買いませんでした。


帰国後、氏に”セブでシンセイタカラが採れていた”

と話しますと、”買ってきていれば150万円で買って

やったのに”との返事です。早速、”来月買ってきます”

と云いますと今度は、”買ってはだめだ、その貝は砂地

に棲む貝だから必ず漁師が網を打って何個か採れて

いるはずで価格は暴落しているはずだ”の言です。


貝を扱う場合、その貝が砂地に棲む貝か、岩地に棲む

貝か見極める必要があるとの教示です。


氏の洗う貝は実に見事な洗いでした。また氏は独特の

センスの持ち主で私のアクセサリーパーツ製作にも

数々の助言をいただきました。


晩年、氏は一人で度々セブに行かれるように成りました。

一度、こんなことがありました。


漁師から20数万円のイモ貝を買ったが傷物で、

欠けた部分を樹脂で埋めてその上に見事に貝の模様を

描いている訳です。

これを漁師の元に返してきてくれとのことです。


翌月、漁師の元に行き”この貝は修正を施されているから

ミスター中安が返品を希望している”と伝えますと”OK”との

返事です。漁師にミスター中安とは長い付き合いなのに

なぜ修正した貝だと教えないのかと問い詰めますと、

見抜けない方が悪いと言わんばかりです。

このことは漁師に限らずフィリッピンの私の取引先にも

云えることです。


氏が優れたセンスの持ち主であることは先に書きました。

その後はセブに行っても新種、珍種の貝も採れなくて、

私が紹介した台湾のガラス細工に打ち込むようになりま

した。

いわゆる台湾の夜店で売っていたガラス細工でしたが、

氏はそれにのめりこみガラス細工であったものを、

ガラス工芸の域に持って行った功績があります。

これは優れたガラス職人の蘇さんと氏のセンスの

コラボレーションの賜物です。

今、このガラスも貝の3Kと同じく台湾を離れ、ベトナム

に場を移して製作されています。


その氏も13日に亡くなられました。


私の家と氏の家は同じ町内で歩いて5分の距離です。

墓苑も私と同じところで至近距離です。


氏は余り酒が強くなく、鯨飲者の私に女性の居ない

ところでの酒は毒を飲んでいる気持ちだと常づね言って

居ましたが、この言葉も最早聞く事もできなくなりました。


最後まで、もう一度セブの漁師の処に行きたいと

言っていましたがそれも叶わぬことになりました。


昨日、氏の事務所にお邪魔して何か遺作品はないかと

見せてもらいに行きましたが、貝の方では氏の作品らしき

物を見つけることが出来ませんでした。


写真①の貝の額がありましたので撮ってきました。

こんな作品を載せやがってと氏に怒られそうですが、

これとて我々にとってはなかなか貝の配置が難しい

ものです。

とにかく氏の商品はすぐ売れました。


写真②は氏とは関係ありません。

パリの市内の貝をモチーフにしたインテリアショップで

見つけた商品の一部です。

この写真の両サイドに映っているサンゴ状のものが、

赤ヤギ,スポンジコーラル(赤サンゴ、

いわゆるアップルコーラル)の原木です。

よくアップルサンゴとはどんなサンゴと聞かれます

ので参考までに。





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