みんなの詩(うた) ー 大樹 | 朝日町shellのブログ

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こんにちは。

先日、明石で絵本制作の打ち合わせを兼ねたランチの際に、挿絵の検討資料として数枚の手描き原画を持参したところ、その場にいた加古川の詩人KATCHIN氏から、すばらしい”詩(うた)”をプレゼントしていただきましたので、挿絵原画とともに掲載します。

私にはこの詩が種の生命(いのち)達、朝日岳の麓に立つ木々からの響きに聴こえました。

それは私にとって、この宇宙を貫く朝日の響きです。



大樹

詩:KATCHIN
絵:朝日町shell


空気のように からっぽに
好きな色だけを 詰め込んで
大樹になることに憧れて
私は 生まれて来たの

種の中に ギュッと夢を詰め込むために
小さく小さくなったのよ
ふかふかの絨毯に 染み込むために
自分で織り込んだ 殻が柔らかくなるように
今度は少しづつ 解きほぐしていったの

そしたら もっと大きな存在に出会えて びっくりしたわ
全ての命を育む お母さんの胎内で
私は 育まれていたのね
このときに もう私は手放すことを学んだわ

だからね
それぞれの色彩から 形が生まれてくると
みんな ときどき忘れがちになるけれど
なんだか 独りぼっちの気分になったときは
母を通じて 全てを感じていた
豊満な胸の温もりを ときどき思い出すの

受け継いだ たった一つの感性から
様々な感覚が生まれたことを
本当は 誰もが知っているのよ
その心は いつでも私の支えになって
何度でも みんなと一緒に繋がっていけるわ
この星の中で 私たちの誰もが
根っこで 一つに繋がっているのね

だから 私は知っている
みんなの涙が 私の渇きを潤したり
小さな生き物たちが 遊びに来てくれたことも
片時も 忘れたことはなかったわ
それは 大きくなっても
いいえ 大きくなったからこそ
もっともっと みんなに助けられたのだわ

そうして長い年月が過ぎて たくさんの木々が倒れていった
でも みんなが先に行って待っていると
私に声をかけてくれたわ
そんなわけで 死ぬのはちっとも恐くないのよ
だって みんながいる場所に帰り
また 一つになれる日が来ることを楽しみにしているから

私の天国は みんなの笑顔なの
それを ずっと忘れずにいたくて
天に届かんばかりに 大きな樹になることに憧れた
大きくなるほどに 小さな種だった頃のことを忘れないようにしたわ
みんなが 小さな体のまま寄り添ってくれたから
いつでも思い出すことができたのよ
みんな ありがとう

私は これからもずっと
みんなと一緒に居るわ
ここが 私の住まいだから

おしまい