映画の中のUSMC その2 (ブートキャンプ) | Coyote Happy! My Life in Arizona

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2011年3月からSan Diego、2012年7月からArizonaで生活をしています。

私のひとりごとに耳を(目を)傾けていただけたら嬉しく思います。

アメリカ軍に入隊したら、まず通り抜けなければならないのが新兵ひよこ訓練です。 

米軍下士官の新兵訓練(ブートキャンプ)の中で最も体力的に辛いのは
マリーンだと言われています。他のブランチの訓練期間はアーミーが9-10週、ネイビーが7-9週、エアフォースが8週1/2という中で、マリーンはダントツの12-13週間です

マリーンの訓練が体力的にきつい理由は、やはり"First to fight"という彼らの使命によるものと思われます。

マリーンは、敵地に真っ先に上陸して①アーミーのために道を切り開き、②ネイビーのために船が着けられる場所を確保し、③エアフォースの飛行機が無事着陸できるようにするという任務を担っています。

だから、かなり過酷な状況で、しかも時間の制約を受けながら結果を出さないといけないんですね。

マリーンが時に『殺戮マシーン』と称されてしまうことがあるのは、祖国を水際で守る、自分の家族を守るという強力な動機付けがあるためで、目前の相手が女性や子供であろうと危険とみなした場合には、瞬時で排除する決断を迫られるからだと思います。

マリーンのモットーであるラテン語の"Semper Fidelis" ="Always Faithful" 
つまり『常に(祖国に)忠実であれ』というフレーズがこのことをよく表しています。

このような理由から、他のブランチが陸上、海上、空中での任務遂行のためそれぞれ特化した技術に重点を置いた訓練をする中で、マリーンは戦闘行為とメンタル面の強化に重点が置かれるのではないでしょうか。

前置きが長くなっちゃったけど。
そんなマリーンのブートキャンプの内容が描かれる映画で最も有名なものが

Full Metal Jacket (1987)。

$San Diego 15

ベトナム戦争を題材にした映画ですが、
マリーンたちの中でも、ブートキャンプのリアリティはお墨付き。

新兵を訓練するのはドリル・インストラクター(DI)と呼ばれ、
彼らも特別な訓練を受けた上で仕事についています。

ものすごい音量で新兵を怒鳴るのも仕事なので、DIに
なる頃にはしゃがれ声になっている人も多いようです。

この映画のDIも、怖いの怖くないのって…。
演じたのは実際にマリーンでDIの経験を持つ人でした。だから余計迫真。
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矢印ちびちゃんのオフィスでDIハートマン人形発見
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訓練を受ける場所は自分が入隊した州によって、二つに分かれます。
この映画のブートキャンプはサウス・カロライナ州パリス・アイランド。

もう一つはここ、サンディエゴです。
オレゴン州で入隊したちびちゃんも、ここで訓練を受けました。

この映画では、頭が弱くて太った新兵が、訓練の厳しい環境に
精神を病んでいく過程が描かれていて、観ていてかなり辛いものがあります。
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映画を見終わる頃には、精神的に疲れきること請け合いです。色々考えさせられますが、
監督(スタンリー・キューブリック)としては反戦の意味合いを持たせたつもりはないとのこと。


さて、他にもマリーンのブートキャンプが描かれた映画がありますが、
その中で私が好きなのが

Jarhead (2005)。

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http://www.availableimages.com/movies/1987/fullmetaljacket/pictures.html

タイトルは、以前ブログに書いた通り、マリーン特有の"High and Tight"というヘア・スタイルの
ことです。ビン映画は元マリーンが書いた湾岸戦争時の回想記をもとに作られています。

この映画のブートキャンプでも訓練中にパニクって亡くなっちゃうマリーンが出てきたと思うんだけど、実弾弾丸を使うって聞くだけですでに本当に怖い。私には、やっぱり想像がつきにくい世界。

この映画、他の戦争映画とは異なり、実際の戦闘シーンが(殆ど)出てこない からか
ちびちゃんは余りお気に召さないようでしたが、
元になったお話の、自身もマリーンだった作者の視線で切り取られた
マリーンや戦争の姿が、現代の戦争の意味の一面を確かに伝えていると
私は思いました。

$San Diego 15余談① 主演のジェイク・ギレンホール、最初は体毛剃ってたみたいなんだけど、
だんだん増えてくるのが怖い。まっくろくろすけゾゾゾそんで他の映画で観たとき
ものすご剛毛だったんでびっくりしちゃった。私、剛毛無理です。いやーー
http://www.allmoviephoto.com/photo/2005_Jarhead_photo.html

余談②。
日本のTVCMなどにもなっていたことがあるのでご存知の方もいるかもしれませんが、
訓練中にDIと新兵が歌を歌いながら走ることがあります。(映画にも出てきます)
これは『ケイデンス』と呼ばれ、走っているとき、または行進のとき、
リズムを一定に保ったり、士気を高めたりする目的があるみたい。

ちびちゃんの本棚になんと『歌詞本音譜』がありました。
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…歌詞は、想像したとおりアハハ 『運動運動ダンベル? 毎日ー』とか、『おまえのかーちゃんでーべそー音譜
ぐらいに大したことないのが多かったです…。 バカボン