「またね。」
と笑顔で手をふって、今日も一人で誰もいない部屋に帰る。
ふと携帯の時計を見ると
22:47-
「はぁ、、、」
最終電車は24時25分-
駅から歩いて10分もかからない場所でご飯を食べていたから
どれだけ余裕を見て店を出たって
あと1時間は一緒にいれたのに、、
お酒も飲んで、話だって弾んでた、、、
また今日も不発に終わってしまった
これで3度目だ
「またね」の次の予定も決まっていないから
また私からお誘いのメールをしないと会えないんだろうな、、
ここまでくると女としての魅力がないのだと
落ち込む以外なにもできない
彼とは4ヶ月前に友達の紹介で知り合った
いわゆる合コンだ。
前の彼氏と別れて半年とちょっと
そろそろ人肌が恋しくなってきたので
友達に頼んだところ、彼がメンバーの一人としてそこに座っていた
輪の中で目立つタイプの男子が好きな私からすれば
外見も、たぶん性格も、タイプとは全く似つかないような
「真面目そう」
という第一印象を必ず持たれるであろう
カテゴリーに属しているような人だった
今までの私から考えれば町ですれ違っても
視界にすら入らないような人なのに
1時間くらい時間を共にするに連れて、だんだんと気になりはじめていた
でも、よく分かっている
自分のことなので、当然なのだが
目立つタイプと付き合うことに疲れたら
真面目そうなタイプと付き合いたくなるのだ
これは私の中での一種の症状に近いものだ
高校生の時も、大学生の時も
この症状が現れて、痛い目に合っているので
「あ、、またこの症状がでたか、、」
「だめだ、、だめだ!!」
と自制することに勤めていた
痛い目というのは
その時は気になって仕方がなく、
手に入れたい一心でアタックするのだが
2週間くらいたつと
「やっぱり違う、、このまま付き合っていけない」
と1ヶ月もたたないうちに別れてしまうのだ
私の自分勝手な感情に
巻き込んでしまうのだから、
別れを告げる時はこんな私でも心が痛む
こんな自分勝手な別れを2回ほど繰り返し
自分の中で一過性の症状だからと自制する術を身につけていた
その術が身についてからはなんともない
その時の自分の気持ちに勘違いもすることもなく
1週間も会わなければ
自然と違うことに頭を働かせるようになってる
しかし、今回は今までの私の思考パターンとは少し違った
出会いが少ないから
思い過ごしているだけだろうとも思った
が、
1週間たっても、2週間たっても
彼のことが気になって仕方がなかった
この気持ちを払拭するために
別の合コンにも行ってみたのだが
やっぱりだめだった
時間がたつにつれて
彼への妄想が膨らみ、いてもたってもいられなくなった
彼と出会ってから23日目の水曜日に
やっと友達から彼の連絡先を聞きだした
まずは友達として
無理なアプローチは絶対にしない
妄想で膨れ上がった彼の正体を知るために
連絡先を聞き出してから3日後の23時すぎに
メールの送信ボタンを押した
何十回も躊躇った後、やっと押したボタンだったが
送信したとたんにプライドと後悔が一気に押し寄せてきた
合コンで連絡先を聞かれなかった男に
私からメールを送ることへのプライドと
返信がなかったら、、無視されたらどうしよう、、
という後悔
そんなプライドと後悔なんてお構いなしな彼からの返事は
1時間と12分後
返信が遅れたことへの謝罪の文からはじまり
連絡をしたことへの感謝と
連絡をしたことへの驚きの気持ちが綴ってあった
そう、このメールを送るまで
自分との戦いでどれほど葛藤したか
このメールが送られてくるまで
携帯を手放せず眠ることすらできなかったかなんて
知ったこっちゃない
ってくらいのあっさりしたメールだった
そこから何回かメールを交わし
3回、夜ご飯を一緒に食べて
そのうちの今日はご飯の前に映画館にも行った
しかも最新作のラブコメだ
いい感じじゃないか
私の中では結構いい感じに距離を縮め
例の一過性の症状ではないとこを確信しはじめていた
のに、、、
今私は一人でホームに立ち
終電よりも1時間も早い電車を待っている
いい年した大人だ
門限なんてあるはずもない
私はこの先、
芽生え始めたこの恋とどうやって向き合っていけばいいのだろう
