つい先日(8月9日)にも苦い薬の飲ませ方を紹介しましたが、本日は「どんな味なら苦みを誤魔化しやすいか」という論文がありましたのでご紹介します。何事にもしっかり調べて証拠を得るという姿勢は必要だと思います。まずは引用を。

 

『Q:苦い薬の味を最もマスクできるのは、甘味、酸味、塩味、旨味のどれ?

 

A:甘味が最も苦味をマスクできます。

 

解説:人間には味覚として5大要素があるといわれています。それは、甘味(sweet)、酸味(sour)、塩味(salty)、苦味(bitter)、そして、旨味(umami)です。旨みだけ日本語のローマ字読みですが、実は諸外国には長い間、旨味という概念が存在しておらず、20世紀後半になってからようやく論文に登場します1)。それぞれの味を感じる受容体が判明したのも2000年初期であり、どのように味を感じているかわかったこと自体が、つい最近の出来事なのです2,3)。

さて、生後6ヵ月以内は甘味、旨味、塩味を好むとされています4,5)。母乳にはグルタミン酸などの旨味成分が含まれていることから、粉ミルクなどにも配合されています。生後6ヵ月を過ぎますと甘味、塩味を好むようになり旨味に関する感受性はやや低下します。塩味の感じ方に関して成人と同様になるのは、生後4ヵ月以上が経過した後とされており、同じ味でも味覚が成人と同様というわけではありません。また、小児は苦味を成人よりも強く感じる時期であり、とくに出生直後の数時間は非常に強く忌避するとされます。本来、苦い物質は人間にとって有毒であることが多いので、避けるように自然と備わっているのです。このように、年齢によって味覚は変化することと、次第に記憶力・学習力がついてくることから、最初は飲めていた薬であっても1~2歳ごろから吐き出すようになったり、食べ物の好みが変わってきたりします。

苦味の受容体は複数存在することから、甘味などと比べて複雑といわれています。塩味や砂糖、旨味で苦味をマスクする方法は成人だけでなく小児でも有効なのですが、カフェインやデナトニウムの苦味を「成人は塩味でマスクできるのに対して小児ではマスクできない」、という報告もあり、苦味の原因物質ごとにマスク効果は異なります(表)3)。そのため、大半の苦味成分を程度の差はあれ確実にマスクできるのは甘味となります。さらに、苦味の感じ方には遺伝子多型があることがわかっており、TAS2R38に変異がある場合は6-n-propylthiouracilの苦味を強く感じるとされています。また、同じ変異があったとしても成人よりも小児のほうが強く苦味を感じることがわかっています6)。

甘味が最も苦味をマスクできます。

人間には味覚として5大要素があるといわれています。それは、甘味(sweet)、酸味(sour)、塩味(salty)、苦味(bitter)、そして、旨味(umami)です。旨みだけ日本語のローマ字読みですが、実は諸外国には長い間、旨味という概念が存在しておらず、20世紀後半になってからようやく論文に登場します1)。それぞれの味を感じる受容体が判明したのも2000年初期であり、どのように味を感じているかわかったこと自体が、つい最近の出来事なのです2,3)。

さて、生後6ヵ月以内は甘味、旨味、塩味を好むとされています4,5)。母乳にはグルタミン酸などの旨味成分が含まれていることから、粉ミルクなどにも配合されています。生後6ヵ月を過ぎますと甘味、塩味を好むようになり旨味に関する感受性はやや低下します。塩味の感じ方に関して成人と同様になるのは、生後4ヵ月以上が経過した後とされており、同じ味でも味覚が成人と同様というわけではありません。また、小児は苦味を成人よりも強く感じる時期であり、とくに出生直後の数時間は非常に強く忌避するとされます。本来、苦い物質は人間にとって有毒であることが多いので、避けるように自然と備わっているのです。このように、年齢によって味覚は変化することと、次第に記憶力・学習力がついてくることから、最初は飲めていた薬であっても1~2歳ごろから吐き出すようになったり、食べ物の好みが変わってきたりします。

苦味の受容体は複数存在することから、甘味などと比べて複雑といわれています。塩味や砂糖、旨味で苦味をマスクする方法は成人だけでなく小児でも有効なのですが、カフェインやデナトニウムの苦味を「成人は塩味でマスクできるのに対して小児ではマスクできない」、という報告もあり、苦味の原因物質ごとにマスク効果は異なります(表)3)。そのため、大半の苦味成分を程度の差はあれ確実にマスクできるのは甘味となります。さらに、苦味の感じ方には遺伝子多型があることがわかっており、TAS2R38に変異がある場合は6-n-propylthiouracilの苦味を強く感じるとされています。また、同じ変異があったとしても成人よりも小児のほうが強く苦味を感じることがわかっています6)。

以上です。面白い研究をする人がいるものですね。酸味や塩味が強いと子どもが嫌がりそうですし、旨味で苦味が誤魔化せるとはちょっと考え難いです。大人、特に酒好きの人は旨味と苦味があるものが好きそうな気もしますが。あとここには書いていませんが、カレーや唐辛子などの辛いものなら結構苦みを誤魔化せるかもと思いました(それも子どもが嫌がりそうですが)。まあいずれにせよ予想通り、苦みを誤魔化すには甘いものがいいようです。