アレルギー疾患の代表の一つとして、蕁麻疹があります。皮膚が地図上に盛り上がって痒くなるアレです。原因ははっきりしないことが多いですが、アレルギーが原因になることも多く、治療の基本は抗ヒスタミン薬でした。レボセチリジンやフェキソフェナジン、オロパタジンなどですね。まあわりと効きますし、症状が強かったり効果が不十分な時はステロイドもしばしば併用します。
本日ご紹介する論文は、その蕁麻疹に対し抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン役を併用すると有効だったというものです。抗ロイコトリエン薬は喘息などに使用する抗アレルギー薬で、抗ヒスタミン薬とは作用機序が違います。蕁麻疹には保険適応がなく、また作用機序的にもあまり効果が期待できないような気がしていたので私はこれまで蕁麻疹に対しては処方してきませんでした。では、引用を。
『急性および慢性の蕁麻疹に対するH1抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の併用療法とH1抗ヒスタミン薬の単独療法の治療転帰を、無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューとメタ解析で比較。蕁麻疹の活動性、そう痒、膨疹、睡眠、QOL、害に対する効果の推定値を変量効果モデルで統合し、証拠の確実性をGRADEで評価した。
RCT 34件、小児および成人患者3324例を解析対象とした。LTRAとH1抗ヒスタミン薬の併用療法は、H1抗ヒスタミン薬単独療法との比較で、蕁麻疹の活動性がおそらく中等度に低下し(7日間の蕁麻疹活動性スコア平均差-5.04、95%CI -6.36--3.71)、確実性は「中」だった。そう痒と膨疹の重症度、QOLについても同様の結果が得られた。有害事象は2群間におそらく差はなく(確実性「中」)、神経精神医学的な有害事象について報告したRCTはなかった。』
以上です。悪くない結果のようですね。今後は比較的症状の強い蕁麻疹に対しては抗ロイコトリエン薬併用も考えていこうと思いました(適応病名の問題はありますが・・・)。