先日、「風邪薬を飲んで運転した男が首都高速道路で死亡事故を起こした」というニュースがありました。初耳の方もいらっしゃるかもしれませんので、まずは引用を。

 

『埼玉県戸田市の首都高速道路池袋線で7台が絡み、炎上した乗用車3台の3人が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反容疑で逮捕された運送会社社員降籏紗京(ふりはた・さきょう)容疑者(28)=相模原市=が「体調が悪く、風邪薬を飲んで運転した」と供述していることが16日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁交通捜査課は事故との関連を調べる。

 捜査関係者によると、付近のカメラには降籏容疑者のトラックが、減速せずに直進して乗用車に追突する様子が写っていた。当時は勤務中で「ぶつかった時は意識がなかった」と供述している。

 事故は14日午前7時35分ごろ、美女木ジャンクション近くで発生。別のトラック2台の2人もけがをした。

 降籏容疑者は同法違反の過失致死容疑で現行犯逮捕され、15日に同法違反の過失致死傷容疑に切り替えて送検された。』

 

以上です。痛ましい事故ですが、この件で「風邪薬は悪だ!」と決めつけるのは流石に早計かと思われます。そもそも人は何の原因もなくても不注意や居眠り運転で事故を起こすことがありますし、風邪をひいていたら当然、判断力が鈍っていた可能性もあるわけです。

ただ、市販の風邪薬の中には抗ヒスタミン薬を含むものが多く注意が必要です。抗ヒスタミン薬というのはアレルギーを抑える薬で、風邪の場合は主に鼻水を減らす目的で使われますが、眠気を催すものがあり注意が必要です。今ちょっと調べたところによると、市販の総合感冒薬の中にはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩という第1世代の抗ヒスタミン薬が入っているものが多くありました。したがって、やはり風邪薬を飲んだら運転すべきではないですね。いや、そもそも風邪の時は運転すべきではなく、家で寝ているのが一番です。

ちなみに医者が処方する風邪薬でも、抗ヒスタミン薬は出されることが多いです。ただ私たちが出す抗ヒスタミン薬の多くは、第2世代と呼ばれる眠気を催す作用が少ないものです。ただ医者の中には(私的にはあまり意味が分かりませんが)第1世代の抗ヒスタミン薬を出す人もいるので、基本的には処方薬でも市販薬でも風邪薬を飲んだら運転しない、それ以前に風邪の時は運転しないで自宅安静を心掛けていただくと良いでしょう。

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