本日ご紹介するのは、コーヒー好きの方には残念なお知らせです。これまでコーヒーに関しては肯定的なレポートが多く、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下することがコホート研究で明らかになっていますし、大腸がんや肝がんの予防、2型糖尿病の血糖値の改善、脂肪燃焼促進による肥満防止など様々な効果が報告されています。私もコーヒー好きで1日に3~4杯飲むのですが、どうやらそのコーヒーも新型コロナに対してだけはちょっとよろしくないようで・・・。まずは引用を。

 

『国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学・予防研究部のZobida Islam氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株の感染が流行中の2022年にSARS-CoV-2 mRNAワクチンを接種した同センター職員2,110例を対象に、コーヒーおよび緑茶の摂取量と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症リスクとの関連を検討。その結果、コーヒー摂取量の増加に伴いCOVID-19発症リスクが有意に上昇した一方、緑茶摂取量との関連は認められなかったとJ Epidemiol2024年2月10日オンライン版)に発表した。

 

 対象は、2022年6月にSARS-CoV-2抗体検査を受けた国立国際医療研究センター職員のうち、COVID-19発症またはSARS-CoV-2抗体検査陽性の既往がなく、コーヒー・緑茶の摂取に関する質問票に回答した2,110例(18~76歳)。大部分(90%超)がSARS-CoV-2 mRNAワクチンを3回接種していた。

 同センターのCOVID-19診断登録データを2022年12月まで6カ月間追跡した結果、225例(10.6%)がCOVID-19を発症し、うち213例がmRNAワクチンを3回以上接種済みだった。

 多変量調整後のCox比例ハザードモデルによる解析の結果、コーヒー摂取量の増加に伴いCOVID-19発症リスクが有意に上昇していた。1日1杯未満群に対するCOVID-19発症のハザード比(HR)は、1日1杯群で0.92(95%CI 0.62~1.35)、2杯群で1.48(同0.99~2.22)、3杯以上群で1.82(同1.20~2.76)だった(全て傾向性のP=0.003)。

 サブグループ解析では、コーヒー摂取量の増加に伴うCOVID-19発症リスク上昇が全てのサブグループで一貫して認められ、年齢、性、BMI、飲酒習慣の有無、バランスのよい食事の摂取頻度、ベースラインのSARS-CoV-2スパイク蛋白質に対する抗体価との有意な交互作用は認められなかった(全て傾向性のP>0.2)。

 

 一方、緑茶の摂取量にはCOVID-19発症リスクと有意な関連が認められず(傾向性のP=0.85)、いずれのサブグループでも結果は同様だった。

 Islam氏らは「動物実験ではコーヒーの抗炎症作用が示されているのに対し、ヒトのデータでは1日200mLを超えるコーヒー摂取によりC反応性蛋白などの炎症マーカーが上昇し、ウイルス感染に対する免疫応答が低下する可能性が示唆されている。今後の研究で、コーヒー摂取とCOVID-19発症リスクを関連付けるメカニズムを解明する必要がある」と述べている。

 また、同氏らは研究の限界として、「コーヒー・緑茶に含まれる生理活性物質の濃度は製法により異なる可能性があるが、今回の研究では製法に関する情報は収集しなかった」と指摘。さらに、「日常生活で摂取する緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(ECGC)の濃度は緑茶抽出物を用いた実験と比べて大幅に低く、経口摂取されたECGCは不安定で吸収率が低い」と説明している。』

 

以上です。1日3杯以上コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて1.8倍ほど新型コロナに罹りやすかったということになります。まいったな・・・。ただ面白いことに、1日1杯飲む人は1杯未満の人に比べてハザード費が0.92ですから、有意差は出ていませんがむしろちょっとだけ感染のリスクが下がる可能性があります。というわけで新型コロナ感染を予防したければ、コーヒーは1日1杯にすべし・・・って話になりそうですが、私にはちょっとそれは出来ない相談ですね。

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