最近Yahooニュースでも紹介されたのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、クシャミを無理に止めるのは非常に危険です。そのために気道が破裂した症例の報告がありましたのでご紹介します。まずは引用を。

 

『【1月16日 AFP】くしゃみを抑えると、喉の裂傷や鼓膜の損傷、脳血管の破裂などを引き起こす可能性があると、研究者らが15日、警鐘を鳴らした。

 多くの人は、くしゃみが出そうになると、本質的にくしゃみの爆発力を抑え込もうとして口や鼻などをすべてふさぐ。だがこうした行為が場合によっていかに危険かということが、英レスター(Leicester)にある病院の救急外来を最近受診した34歳の男性の症例で明らかになった。この男性は、首の腫れと激痛を訴えていた。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の症例報告データベース「BMJ Case Reports」に掲載された論文によると、担当医師らは、「患者は鼻をつまみ、口を閉じてくしゃみをこらえようとした後、首の辺りで破裂するような感覚を覚えたと話した」として詳細を説明。CAT(コンピューター断層撮影)のスキャン画像を見ると、抑制されたくしゃみの力によって喉の後部が破裂していたことが確認できたと述べている。

まれな症例ではあるが、くしゃみを抑制したことにより両肺の間に空気がたまってしまった例や、脳血管が膨張した状態にある脳動脈瘤(りゅう)の破裂が起きた例さえあるという。

 医師らは、「鼻孔や口を覆ってくしゃみを抑制するのは危険な行為であり、避けるべきだ」と結論付けている。』

 

以上です。くしゃみは上気道から1キロパスカル(=10hpa=10㎝H2O)の空気を噴出させるパワーがあると言われていますが、出口にフタをされた状態だと、その気道内圧は5~24倍になると言われています。通常、人工呼吸をする場合、吸気圧(肺を膨らませるときの圧)は15~25㎝H2Oですから、50~240㎝H2Oの圧がどれほどとんでもないものかが分かります。通常はそんな圧で呼吸管理すると確実に肺が破れます。ただくしゃみをするときは胸腔圧が同様に上がるので、肺の方は守られますが胸腔から出ている部分、すなわち上気道や鼓膜が破れるということですね(鼓膜は耳管で気道とつながっていますので)。

というわけで、クシャミを無理に抑えたから気道や鼓膜が破裂したという話は多くはありませんが、十分にそのリスクはあるということです。だからクシャミを無理に抑えることはせず、ティッシュやハンカチ、間に合わなければ服の上腕部分で口元を覆ったうえで、きっちりクシャミをすることが必要です。

くしゃみ抑制すると脳血管や喉、鼓膜が破裂する恐れ 医師ら警鐘 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News