◆◇◆◇◆
楽しげに、もみの木に飾りを付けていく少女を見下ろし、アルヴィンは「ふむ」と小さく声を漏らす。
今自分が居るのはカラハ・シャールの領主邸。
ミラがマクスウェルになって、しばらく経った頃。
今日は「クリスマス」と呼ばれる…街が妙に浮き足立つ季節行事。
その、クリスマスのパーティを行うから集まるように!と数日前にメールがあり、珍しく仕事が早く片が付いた為にこうしてシャール家のお屋敷に来たのだが…
今屋敷にいるのは、自分と、この屋敷の主であるドロッセルとその従者たち。
そしてこの屋敷で生活をしている…せっせと飾りを付ける少女、エリーゼだけだった。
まぁ、ジュードやローエンが準備に間に合わないのは想定内だったが…まさかレイアまで開始ギリギリになってしまうとは。
さっきメールで「今編集長にしごかれてて、『合格が出るまでは帰れないと思え!!』って言われちゃったのぉお」と泣きの連絡が入ったばかりだ。
…と、エリーゼが二つに結った髪を揺らし、アルヴィンを見上げて口を尖らせる。
「もう!アルヴィンもちゃんと飾り付けてください!!」
しまった、サボっていたのがバレてしまった。
アルヴィンは止めていた手を仕方なく動かし、しかし面倒臭さに思わずため息が漏れる。
───だが今はそんなアルヴィンに噛み付くあのぬいぐるみはいない。
今は宝物箱の中に眠っているとか言ってたっけか。
一応、と云った感じに飾り付けをするが、多分こんな端の壁なんか誰も見ないのに、真面目な彼女は相変わらずせっせと飾り付けをしている。
…飽きた。
いや、こんな事を思ってはいけないのはわかってはいるが…こんな年になってまで飾り付けに時間を費やすだなんて。
何せ今日はクリスマスだ。
「なぁ姫」
「なんですか?」
少しくらい、欲張ったって。
「あの日にさ、姫言ってくれたじゃん?」
「…あの日…?」
「ガイアス達と戦う前の日。仲良くしてくれるって」
ブランコに身を任せ、初めて心のままに弱音を吐きだした後。
彼女はアルヴィンの頬にそっと唇を落とし、確かに言ったのだ。
『アルヴィンとは、これからも仲良くしてあげますね』
あの言葉に、どれほど救われただろうか。
優しく、暖かな言葉。
そしてその言葉を思い出してか、エリーゼはほんのり頬を赤らめる。
「い、言いましたけど…」
それがどうしたんですか?と目が問い掛けてくる。
アルヴィンはそれに頷き、にっ、と笑みを浮かべた。
「仲良くって、具体的にはどんなことをしてくれるわけ?」
アルヴィンがずいっ、と顔を近付ければ、キョトンとしている彼女の頭に手を置く。
一拍間をおいて、エリーゼがわたわたと目をさ迷わせる。
「え、あ、あの、えっと…!」
そんなに慌てなくても良いと思うが…そんな彼女も何とも可愛らしい。だからついついからかいたくなるのだ。
「その…一緒に、お散歩したり…」
「ふむ」
「一緒に、お買い物したり…」
「うん」
「えと…あと、一緒にケーキとか、食べたいです」
「ほう」
もじもじと…恥ずかしそうに尻すぼみになりながらも言い、俯いた翡翠色の瞳でチラリとこちらを見上げる。
そんな視線を受け…アルヴィンはふっと笑みを零した。
「つまり姫様は、俺とデートしたいって事か」
「ふぇ!?!?!!!?」
「だってそうだろ?散歩して買い物してケーキ食べて…デート以外になんて呼ぶんだよ」
くしゃり。
アルヴィンはエリーゼの髪を掻き混ぜ、それからちょうど側を通りかかったドロッセルに声を掛ける。
「悪いんだけど、俺らちょっと買い出しついでにお茶でもしてくるわ」
「それは構わないけど…あんまり遅くなってしまったら…」
「ああ、それは大丈夫。ちょっとした気分転換のつもりだし、パーティの準備もまだ残ってるからそんなに長居はしないさ」
じゃあ行こうぜ。
エリーゼの返事も待たず、アルヴィンは彼女の手を掴むと大きな扉を押し開けた。
「ちょっ、アルヴィ…!!」
「デート行きたかったんだろ?遠慮すんなって」
「ち、違います!!っていうか、離し…」
「あんまり我が儘言うとお姫様抱っこするからな~」
「っ!?!?」
「そいじゃ、いってきまーす」
「あらあら…仲良しさんね」
ドロッセルの楽しげな声を背に、アルヴィンはエリーゼの小さな手を握り締めながらくくく、と喉を震わせる。
そして、
「最高のクリスマスになりそうだわ」
彼女に聞こえるか聞こえないかの小さな声で、そっと呟いた。
「…アルヴィンの、バホ…」
鈴の音が、二人を祝福するかのように、鳴り響く…
今屋敷にいるのは、自分と、この屋敷の主であるドロッセルとその従者たち。
そしてこの屋敷で生活をしている…せっせと飾りを付ける少女、エリーゼだけだった。
まぁ、ジュードやローエンが準備に間に合わないのは想定内だったが…まさかレイアまで開始ギリギリになってしまうとは。
さっきメールで「今編集長にしごかれてて、『合格が出るまでは帰れないと思え!!』って言われちゃったのぉお」と泣きの連絡が入ったばかりだ。
…と、エリーゼが二つに結った髪を揺らし、アルヴィンを見上げて口を尖らせる。
「もう!アルヴィンもちゃんと飾り付けてください!!」
しまった、サボっていたのがバレてしまった。
アルヴィンは止めていた手を仕方なく動かし、しかし面倒臭さに思わずため息が漏れる。
───だが今はそんなアルヴィンに噛み付くあのぬいぐるみはいない。
今は宝物箱の中に眠っているとか言ってたっけか。
一応、と云った感じに飾り付けをするが、多分こんな端の壁なんか誰も見ないのに、真面目な彼女は相変わらずせっせと飾り付けをしている。
…飽きた。
いや、こんな事を思ってはいけないのはわかってはいるが…こんな年になってまで飾り付けに時間を費やすだなんて。
何せ今日はクリスマスだ。
「なぁ姫」
「なんですか?」
少しくらい、欲張ったって。
「あの日にさ、姫言ってくれたじゃん?」
「…あの日…?」
「ガイアス達と戦う前の日。仲良くしてくれるって」
ブランコに身を任せ、初めて心のままに弱音を吐きだした後。
彼女はアルヴィンの頬にそっと唇を落とし、確かに言ったのだ。
『アルヴィンとは、これからも仲良くしてあげますね』
あの言葉に、どれほど救われただろうか。
優しく、暖かな言葉。
そしてその言葉を思い出してか、エリーゼはほんのり頬を赤らめる。
「い、言いましたけど…」
それがどうしたんですか?と目が問い掛けてくる。
アルヴィンはそれに頷き、にっ、と笑みを浮かべた。
「仲良くって、具体的にはどんなことをしてくれるわけ?」
アルヴィンがずいっ、と顔を近付ければ、キョトンとしている彼女の頭に手を置く。
一拍間をおいて、エリーゼがわたわたと目をさ迷わせる。
「え、あ、あの、えっと…!」
そんなに慌てなくても良いと思うが…そんな彼女も何とも可愛らしい。だからついついからかいたくなるのだ。
「その…一緒に、お散歩したり…」
「ふむ」
「一緒に、お買い物したり…」
「うん」
「えと…あと、一緒にケーキとか、食べたいです」
「ほう」
もじもじと…恥ずかしそうに尻すぼみになりながらも言い、俯いた翡翠色の瞳でチラリとこちらを見上げる。
そんな視線を受け…アルヴィンはふっと笑みを零した。
「つまり姫様は、俺とデートしたいって事か」
「ふぇ!?!?!!!?」
「だってそうだろ?散歩して買い物してケーキ食べて…デート以外になんて呼ぶんだよ」
くしゃり。
アルヴィンはエリーゼの髪を掻き混ぜ、それからちょうど側を通りかかったドロッセルに声を掛ける。
「悪いんだけど、俺らちょっと買い出しついでにお茶でもしてくるわ」
「それは構わないけど…あんまり遅くなってしまったら…」
「ああ、それは大丈夫。ちょっとした気分転換のつもりだし、パーティの準備もまだ残ってるからそんなに長居はしないさ」
じゃあ行こうぜ。
エリーゼの返事も待たず、アルヴィンは彼女の手を掴むと大きな扉を押し開けた。
「ちょっ、アルヴィ…!!」
「デート行きたかったんだろ?遠慮すんなって」
「ち、違います!!っていうか、離し…」
「あんまり我が儘言うとお姫様抱っこするからな~」
「っ!?!?」
「そいじゃ、いってきまーす」
「あらあら…仲良しさんね」
ドロッセルの楽しげな声を背に、アルヴィンはエリーゼの小さな手を握り締めながらくくく、と喉を震わせる。
そして、
「最高のクリスマスになりそうだわ」
彼女に聞こえるか聞こえないかの小さな声で、そっと呟いた。
「…アルヴィンの、バホ…」
鈴の音が、二人を祝福するかのように、鳴り響く…
…────────────…
HAPPY MERRY CRISTMAS!!!
…綴りあってるかこれ?(笑)
というわけで、久々に短時間で書き上げました、クリスマス記念のアルエリでございます!!!!
ちくせうアルエリ末長く爆発しろ!!!!
構想自体は随分前から出来上がっていたのですが、中々…
今回はテンポだけはむちゃくちゃ良いですね、もっと精進します。
そしてみなさまの所にも幸せが溢れることを祈って…
クリスマスにも負けず、仕事しますね←
ではでは、毎度の事ではありますが。
ここまで読んでくださったあなた様に最上級の感謝を。
また次の機会にも読んでもらえたなら幸いです。
そしてそして、誤字脱字乱文ご容赦下さいませ。
幸せ溢れる素敵な日になりますように。
…2013.12.25…
……柊皐月……