2025年、レムナントの初遠征。

冬の釣れない間に傷付いた私達の心を癒してくれるリザーバーへと向かった。


ノーバイト、ノーフィッシュが日常と化した私たちにとって、この地はまさにオアシス。

今回はジュニアが不在のため、強力助っ人、ナオ先輩が同行してくれた。


​夜明け前の静寂を切り裂くように、KTGの車は2艇のジョンボートを載せ、まだ眠る街を走り抜ける。


目的地に着く頃、空はうっすらと白み始め、朝まずめの貴重な時間を逃すまいと、私たちは急いで出艇の準備を整えた。

2日間にわたるこの釣行。
2日目の夕方には、スダチの国へと戻る予定だ。

初日はコジャとKTG、そしてシャックとナオ先輩という乗り合わせ。
長い坂道をボートを引きながら下り、準備が整うとそれぞれ上流と下流へと分かれていった。


​上流へとボートを進める私たち(コジャとKTG)の竿には、FREIHEITの新作トップウォータープラグ「SOLOIST」が結ばれている。

今回の遠征の最大の目的は、このルアーでバスを釣り上げること。
それはおそらく、レムナントメンバー全員の共通の目標と言ってもいいだろう。

​流れ込みや駆け上がりといった、いかにもなポイントを丁寧に撃ちながら釣り上がっていく。

やがて、シャローにアシが絡む絶好のポイントが視界に入った。
KTGのSOLOISTが、アシ際へと静かに着水する。間を置いて響くポップ音。
振り向いてしまうようなポップ音を出したその瞬間、水面が大きく割れた。

レムナント2025、遠征初バスはKTG。
冷静に合わせ寄せてきたバスをネットに収める。



(サイズこそないが腹の出た見事なバスFREIHEIT/SOLOIST)

「今日はスローちゃう?」と、私たちはこの日のパターンを探る。

KTGのアクションを真似て、私もSOLOISTをキャストする。
ポップ音から長めのステイ。
途端に水柱が立ち、ルアーが吸い込まれる。

初遠征でのバイトに、早くなる鼓動を抑え、まるで何でもないようなフリをしてバスをキャッチ。
先ほどのバスと同じく、サイズは小さいが立派な腹をしている。


(ごっつぁんバスもFREIHEIT/SOLOIST)

私たちは「今日はスローに、シャローのアシ際やな」と意見が一致。

お互いに早々とバスをキャッチできたことで、顔を見合わせ「ほなデカバスを狙いに行こうか」と、まるでユニゾンのように声が揃った。

​バイトは多いがサイズが出ないエリアから、バイトは少ないがデカいバスが潜む上流へとシフトチェンジ。

先ほど釣れたポイントに似た場所を探し、キャストを続ける。要所要所でバイトはあるものの、なかなかフックアップしない。
困った状況で、私が頼るのはFREIHEITのダブルスイッシャー「RIFF」。

沖に張り出したアシの奥へ、そっと送り込む。相変わらずスローに2度3度と首を振らせる。

次の瞬間、水中が破裂したかのような強烈なバイト。予想外のトルクで暴れ回るバスに、バレんといてよー。と祈りながらやり取りを続ける。

ロッドを左右に煽り、バスが疲れて動きが鈍るのを待つ。観念したバスが大きな口を開けて近づいてきたところを、ハンドランディング。

50センチには届かないが、これまた腹がパンパンに膨れた立派なバスだ。

(48cmの腹パンバス FREIHEIT/RIFF)



2本目のバスを手にはしゃぐ2人。
その上空、厚い雲が広がる空から、大粒の雨が叩きつけ始めた。私たちは昼食を兼ねて一旦陸へ。シャック・ナオ先輩ペアと合流し、それぞれの釣果を報告する。

ナオ先輩が見せてくれたスマホの画面には、50アップの見事なバスが写っていた。


(遠征先での50UP FREIHEIT/BLUEPRINT)

私たちが「さすが」と声を上げると、シャックは「俺だけ釣れてない」とアゴ…じゃなくて唇を尖らせた。


昼休憩に食べたおやつにどこか親近感を覚えつつ、昼からの巻き返しを誓うシャック。

しかしその意気込みとは裏腹に、雨は強まる一方。
ボートを出せるようになった頃には、すっかり夕まずめの時間だった。

朝バイトがあったポイントを探るも、急な増水の影響か、バスからの反応はすっかり途絶えていた。

夕食の席で、KTGが「明日、俺らが釣れたポイントをシャックさんに案内するよ」と申し出てくれた。
もちろん私もナオ先輩も快諾し、翌日に備えた。

​迎えた2日目。曇天は相変わらずで、期待と不安が入り混じる。
前夜さらに強くなった雨は、ボートに溜まった雨水の量で察することができた。



下流へと下った私たちは、あの手この手でバスを探すも反応がない。

大きなカーブの先に、増水で沈んだ木の枝が水面に顔を出していた。
バスがつきそうな場所。
ナオ先輩が枝の間をペンシルで探る。

まるで生きているかのように泳ぐルアーに、思わず見入ってしまう。その時、横から黒い影が飛び出し食らいついた。

ナオ先輩は慣れた手つきでバスをいなし、あっという間にハンドランディングしてしまった。


(グッドコンディションのバス FREIHEIT/BLUEPRINT)

撮影のために出したスマホを片付けようとした時、「また出たわ」と横から声が聞こえた。振り向くと、弧を描くナオ先輩のロッド。先ほどのバスと見紛うほど、長さも体高も似ていた。


(さっきとは違う個体の腹パンバスもFREIHEIT/BLUEPRINT)


「僕にも釣らせてくださいよ」と急いでキャストするも、反応はない。
一瞬のチャンスを逃さない、それが腕の差なのだろうか。

​振り返ってみれば、これがこの日のハイライトだった。
2日間4人で6フィッシュ。しかし、陸に上がったシャックの目には光がなかった。
2日間、何の反応も得られなかったのだから無理もない。

意気揚々と引き上げる3人と、ため息交じりのシャック。

どうしても諦めきれないシャックは、翌日ナオ先輩を誘い、地元の野池で延長戦。
私は鳴らないスマホに痺れを切らし「釣れた?」と尋ねると、1枚の写真と「全てはプロセス」の一言が返ってきた。

憎たらしいシャックのドヤ顔と、大きなバス。
その口には、シャックが最も信頼するADHOCがしっかりとフックアップしていた。


遠征では釣れなかったものの、執念の一匹に脱帽だ。