記憶をたどれば2002年頃、#0として本格的に活動をし始めたころだったと思う。ぱんぱんに詰まったタックルボックスの工芸品を思わせるプラグたちの中に、うっすらぼやけた色の拙い形をした手作り感満載の、そっと寝ているプラグが数個あった。Naoとサインの入ったプラグ達。手に取ってみると思ったよりも重量感があって、でもどことなく水に馴染みやすそうな、使い勝手のよさそうな雰囲気だったことを記憶している。


いわゆる“屋号”を決めるまでのプロセスは個人的にとても興味があって、いろいろな事情が加味しているはずで、じっくりと時間をかけて聞いてみたかった。そこにある個人的な思い入れを公にさらすわけにはいかないので割愛するが、ルアーマンの琴線に触れるプラグ作りへの熱量を思い知るきっかけとしては十分濃密な時間だった。



フライハイト。名の響きってとても大切だと思っていて、記憶にとどめてもらう事はもちろん、愛情をもって呼称してもらえるいい名前だねと賛同したこともずいぶんと遠い昔の話しとして記憶の片隅に置いている。




世に出る事はブログの釣果情報でしかなかった時代に、2度ほど公に目にしてもらえる機会があった。冗談とも本気ともわからない取り留めのないルアーマンとの会話の中から、使ってみたいとの言葉が今でもプラグ作りの原動力だと思っている。褒めてもらった時のあのはにかんだ表情がずっと忘れられない。


ただただ好きで作っているだけだからと考えていたあの頃から、これまで生きた証、ブラックバスとの時間を大切にしてきた事実を形として残してみたいと思いを巡らせるまで、時間の猶予は幾ばくかあれど、フライハイトの思いをまとった処女作を手にした時の感慨深さは、心の奥底を巡り巡って涙腺に語りかけてきた。



そこにいるブラックバスとの知恵比べに理屈はいらない。約20年の時を経て、若かりし頃の♯0突貫小僧たちもいい大人になった。子を持ち、家族を守り、トップウォーターフィッシングの奥ゆかしさを伝えようと虎視眈々と狙っている。モンスターに出会えたあの興奮、あの感動を、仲間で、家族で、みんなで共有したい。フライハイトの存在、トップウォータープラグとして認められる場所はそこしかない。フライハイトには七色バスを色めき立たせる魔力があるはずだから。











Ruka-i、ADHOC、BLUEPRINT。それぞれのプラグを操り、遠く遥か彼方の聖地で出会えた50UP3本を含めた複数のブラックバス達。2023年10月27日、フライハイトのポテンシャルを余すことなく伝えるために。紛れもない事実として私たちの記憶に深く刻まれた。


 心の師TopWaterJunky内藤さん、全力でサポートを約束してくれたWildFish渡邊社長、天才ROTTON永田店長をはじめ、ここに行きつくまでの長い年月の間、様々な出会いがあった。良き友、良き師、嘘偽りのない幸せを噛みしめながら大きく羽ばたくフライハイトを、いま夢見ている。


(Declaration )

フライハイトを屋号として、プロビルダーとして活動を始めてから後、♯0は一歩引いてフライハイトを見守っていくつもりでした。人様から評価していただく以上、身内の遊びではないと思ったからです。でも、本気で情熱を発信する覚悟をもって私たちの基から巣立ったからには、応援しない理由がないことに気付きました。

そこにあるパッション、ボルテージを余すことなく伝えるために。



♯0は全身全霊をかけてフライハイトを応援します。