日本に、50年も住んでいるチャック・ウイルソン(73)。


「今のアメリカは壊れてる。病気だらけで、人種差別はずっと続いてる。人間性のない国になってる。日本人は仕事に対する考え方が正しいと思う。それに心。日本には“人のため”という柔道精神がある。1978年から「ジャパンタイムズ」やYMCAと協力して、障害者やIT弱者のためのチャリティ駅伝大会を企画してきました。47年やってきて、一度も人やお金が集まらなかったことがない。日本には心があると思います。」

と語っている。

「日本には、心がある」

という言葉が印象的だ!

日本人は、このような外国人を大切にしなければならない!

21世紀に、日本が世界に向けて躍進するには、このような外国人の貢献が欠かせない!

(c)harbeman 200625
 “Deep thinking yields imagination”


SmartNews を引用するーーーーーーーー

「世界まるごとHOWマッチ」チャック・ウィルソン、50年の日本生活で実感「日本には心がある」

1日12時間、毎日働くチャック・ウィルソンさん【写真:荒川祐史】

テレビに出たおかげで“信用”がうまれた

 厚切りジェイソンやパックン(パトリック・ハーラン)など、多くの外国人タレントが流暢な日本語を駆使して芸能界で活躍している。もはや日本語が流暢な外国人は珍しくないが、欧米系でその先駆けとなったのが、1980年代に活躍していたチャック・ウィルソンさん(73)だ。クイズ番組「世界まるごとHOWマッチ」や特番「オールスター感謝祭」(ともにTBS)の相撲対決で人気だったチャックさん、今、どうしているのか。東京メトロ・赤坂見附駅で待ち合わせたチャックさんに聞いた。

テレビによく出ていた頃と、やってることはずっと変わりません。「チャックウィルソンエンタープライズ」という会社の経営者。運動、食事、生活習慣、性格、家族……あらゆる面を考えて心身をケアして、健康づくりをするお手伝いをする会社。具体的にはトレーナーの派遣、総合スポーツクラブの企画提案、健康カウンセリング、2000年からパーソナルトレーニングもやってます。これが本業。経営者だから週7日、1日12時間仕事。“休む”という言葉はチャック・ウィルソンの辞書にはありません! お客さんに責任があるから。

「チャックウィルソンエンタープライズ」は「世界まるごとHOWマッチ」に出ていた1987年に作りました。それまで、アメリカ人が作った麻布のスポーツジム「クラークハッチ体育センター」の共同経営者で、北アジアの本部長でした。テレビに出て信用を得られて、独立する勇気ができました。それまでは怪しい、何を企んでいるかわからない外国人だと思われてたけど、テレビに出たらガラッと周りの目が変わった(笑)。僕はひとつのスポーツジムだけじゃなくて、できるだけたくさんの所で運動の正しいやり方を指導して、たくさんの人を健康にしたいから、独立して自分の会社を作りました。

バブル崩壊直後は倒産寸前に!

 テレビに出たきっかけは、「クラークハッチ体育センター」の会員だった番組プロデューサーのスカウト。もともとテレビは興味がなくてほとんど見ない。だから、遊び半分の気持ちだった。ケント・ギルバートは弁護士で優しかったけど、僕は言葉が乱暴だったから面白がられたんだと思う。バブルがはじけたら、お金払ってテレビに出たい人が出てきて、僕の出演料を払う制作会社が減っていった。僕のギャラ? 「世界まるごとHOWマッチ」で1回10~15万円だったかな。共演した(ビート)たけしさんとかとは、番組外での付き合いはなかった。僕は食事会とか興味ないから。

バブルのときは20人ぐらい社員を雇っていました。でも、1990年にバブルがはじけたでしょ? 1990年6月15日には何十億円が動く仕事をしていたのに、6月30日にはゼロ! 倒産ギリギリだった。社員を3人までに減らして「来月、社員の給料どうやって払おう?」って思ってたら、たまたま友達の友達が名古屋の社長さんを紹介してくれて、その会社と契約して運動機器を病院に販売する営業を、月の半分を名古屋に単身赴任して5年間やった。その後、友達の紹介で茨城や東京の病院に生活習慣病の予防のための運動施設を作って、プログラムを作って、アドバイスしたり指導したり。こんな感じで会社を続けてきました。去年から会社の事務所は大田区の自宅。ほんと、波瀾万丈ね!

身長176センチ、107キロだが体脂肪率は18%!【写真:荒川祐史】

麹町にトレーニングセンターをオープン!

 朝5時に起きてすぐに企画書作ったり、メールしたりして仕事を始めて、7時とか9時とかからパーソナルトレーニング。全部で10人ぐらいに指導している。企画から関わった「スポーツクラブNAS赤坂」とか「YC&AC(横浜カントリー&アスレティッククラブ)」に、自宅から車かバイクで行って指導しています。会社の社長さんとか空手の指導員、会社員もいますよ。真面目にやらない人は指導しません。僕は厳しい先生ですよ!

6月9日に、麹町の日本テレビの旧本社の近くに、自分のトレーニングセンターをオープンしました。広さは18坪。狭いけど、バイクもダンベルもストレッチするスペースもあります。入会金5000円、指導料は1回4500円、指導なしで1人でトレーニングするときは施設使用料1回3000円。今、会社のホームページを作り直していて、7月1日から本格的にスタートします。

 仕事は夕方5時まで。サッと切り上げて家に帰ります。家に帰って、女房の面倒みて、1日の出来事を話して、10時には寝る。女房と話するのが一番楽しい。価値観が合うし、気が合う。女房は27歳のとき、通っていたプールで知り合った、同じ年のアメリカ人。ハッキリ自分の考えを言う人。僕にないものをもっていると思って、付き合って1か月でプロポーズして、その次の日に大使館と区役所に行って届けを出しました(笑)。

アメリカに戻りたいと思ったことはない

 子供は作らなかった。他人の子供を見たらかわいいと思うけど、自分の子供を育てるのは責任が大きすぎて自信がなかった。僕は子供の頃、いじめられたし、家族の縁も薄かったからいい思い出がない。子育てする自信がもてなかったのは、そのことも関係あると思う。心の余裕は自分とあと1人分……女房の分しかない。だから、子供を作ったら、子供に悪いと思った。

子供の頃は悪いグループに入って、ケンカして少年院に入ったこともある。15歳から筋肉トレーニングを始めて身体が変わって、自信がついて自尊心ももてた。それからレスリング、柔道、空手、パワーリフティング、マラソン……。筋肉トレーニングと柔道が僕の人生を救った。1970年にスーツケース1つに柔道着と5000円だけ持って来日しました。アメリカに戻りたいと思ったことは、まったくありません。残してきたお母さん、お姉さん、妹2人、どうしているかまったくわからない。30年前からお互い連絡とってない。お父さんは僕が幼い頃にどこかへ消えた。みんな僕に興味ないと思う。

日本には“人のため”という柔道精神がある

 今のアメリカは壊れてる。病気だらけで、人種差別はずっと続いてる。人間性のない国になってる。日本人は仕事に対する考え方が正しいと思う。それに心。日本には“人のため”という柔道精神がある。1978年から「ジャパンタイムズ」やYMCAと協力して、障害者やIT弱者のためのチャリティ駅伝大会を企画してきました。47年やってきて、一度も人やお金が集まらなかったことがない。日本には心があると思います。

 今、コロナでスポーツジムのグループレッスンはできません。パーソナルトレーニングだけ。復活まで早くて1年はかかると思う。でも、持続化給付金もらった、雇用調整助成金ももらう、助かりますね。ダメになった分、いろいろ工夫すればいい。大丈夫! 今は時間が少しできたぶん、自分のトレーニングを増やして、1日2時間。100キロ以上のバーベルだって上げられますよ! 長年のトレーニングで肩や膝の関節は良くないけど、病気はない。トレーニング中に心臓麻痺とかで死ぬのが理想だね(笑)!

□チャック・ウィルソン(ちゃっく・うぃるそん)1946年10月26日、米マサチューセッツ州ボストン生まれ。ボストン大学在学中、柔道を始め1970年、同志社大学に柔道留学。全日本パワーリフティング選手権大会チャンピオンや柔道全米体重別選手権入賞などの成績を残している。1973年、「クラークハッチ体育センター」共同経営者に。1983年、クイズ番組「世界まるごとHOWマッチ」(TBS)に出演し、筋肉ムキムキの身体と陽気なキャラクターで人気者に。1987年、スポーツ関連事業を営む会社「チャックウィルソンエンタープライズ」を設立し、スポーツビジネスに注力している。

愛車にまたがったチャック・ウィルソンさん