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XXX年 使徒誕生。
1939年
ナチス南極探検隊が南極のノイシュヴァーベンラントにて最初の使徒アダムを発見。
1940年
アダムの研究、調査を目的として親衛隊(SS)内に特別部隊ヒュドラ(後のゲヒルン) が発足。
1945年
ベルリン陥落。ヒュドラ、南極に脱出。
1960年
ゲヒルン発足。
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ジオフロント<7番ゲージ>
通称:聖域



4つの巨大な瞳が二人の少女を見下ろしている。

厳密には少女達を見ているわけではない。
何故なら、その目に光が灯る事はもはや有り得ないからだ。

最終決戦で徹底的に破壊されたエヴァンゲリオン弐号機。だが、サードインパクト後に、無傷の状態でジオフロントに横たわっていた。

それもまた、リリスと鳥の人の癒しの一部なのだろうか?

ネルフ及び、国連が下した決定は無期限凍結。

弐号機はゲージに安置され永遠の眠りに就いた。

美星学園の制服の腰に手を当て弐号機を見上げるアスカ。

「…また来ちゃった。私もまだまだ弱虫ね、ママ」

無論、答えは返って来る訳がないのだが構わない。

「弱虫....か」

もう一人の黒髪の少女が呟く。

視線を左に向ける。

ただ安置されている弐号機と違い、硬化ベークライトと鎖で厳重に封印されたエヴァンゲリオン初号機とVF-1Sが目に入った。見えるのは紫色の頭部とイタリアンカラーのバルキリーのコクピットだけ。その眼窩にも光はない。

「バカシンジ…」
「ジェームズ........」

無意識のつぶやきは誰の耳にも入ることはなくケイジに消えていった。

ネルフ本部<リツコの研究室>


「アスカ~クラリスいる~?」

旧友の研究室に入るなりミサトは言った。

この部屋は正確には技術局一課研究室とか言う名前だが、「リツコの研究室」という名前がもっとも実状に即しており、本部内の通称もそれに準じている(一部ではマッドサイエンティストのjik(ryゲッフンゲッフン)。

そのまま遠慮せず中を見回していたミサトは、目的の人物がいないのを確認した。

「....ここでもないか」

そこでやっとモニターから顔を上げる研究室の主。

「どうしたのミサト?今日はもう上がりでしょ」

私はこれから残業だけどね、という皮肉を込めて尋ねるリツコ。

「へいへい~残業ご苦労様。まぁリツコあってのネルフだもんね~」

そういってミサトはご機嫌をとった。
 

実際問題として相も変わらずリツコは忙しい。

使徒の殲滅とゼントラーディ戦、プロトデビルン戦を終えて暇になった作戦部と違ってネルフのオーバーテクノロジーを管理している技術部の仕事量は以前とさしてかわらない。研究・開発に専念できるようになっただけマシなのだがリツコには更に忙しくなる理由が別にあった。その為、毎日ネルフに来ているわけではないし、一日中仕事に専念出来るわけでもない。下手をすると使徒やゼントラーディ軍やプロトデビルンが襲来していた昔の頃の方が暇だったかもしれない。
 

「…心にもないことは言わないことね」

それらの事情を反映したリツコの言葉はそっけなかった。眼鏡の奥の目が冷たい光を放っている。

「ごめんちょ。ところで、アスカとクラリス見なかった?一緒に帰ろうと思ったんだけどどこにもいないのよ」

「ミサトの車に乗る危険性をやっと認識したんじゃないかしら?」

「なによ!今日はやけにつっかかるわね」

ミサトは口を尖らせた。

「…別に」

リツコは素知らぬ顔でモニターに向かう。

(…むっかつくわねぇ)

ミサトの頭脳がリツコに反撃する方法を捜すべく猛回転を始める。同時に情報を集めるべく無意識に思考をさまよわせる。すると答えがあっさりと導かれた。

「あ、そっか」

「何?」

「確か碇司令、今日は珍しく早くあがるって話よねぇ」

ミサトの顔が独特のニヤニヤした何か企んでる笑顔に変わる。

ゲンドウのニヤリ顔とは違うが、ろくでもないことには変わりない。

「…そ、それがどうかしたのかしら?」

顔は冷静だが声は動揺しているリツコ。

「結婚してまだ1年だもんねぇ~早く帰りたいわよねぇ?」

ミサトはずいと身を乗り出しリツコの机に肘をついた。

「べ、別にそんなことないわよ」

「…じゃ、この料理の本は何よ」

書類の山の中に手を無造作に突っ込むと一冊の本を取り出すミサト。

「こ、これは…そ、そう、科学者だからって料理の一つもできないというのは良くないから、知識だけでもね」

(…まったく、妙なところでめざといわね)

「ほー科学者ねぇ~」

ミサトのニヤニヤ顔がさらにエスカレートする。

だが、このままやられているようではマッドサイエンティストもとい....天才科学者赤木リツコ博士とは言えない。ぼそっとつぶやく。

「…ミサトみたいにはなりたくないしね」

「どういう意味よ!」

バンと机を叩くミサト。

(…ほ~らすぐにムキになる)

口の端に笑みを浮かべるリツコ(ハッキリ言って目がイッてる)。立場は逆転した。

「さあ?一緒に暮らしているアスカかクラリスに聞いてみたら?........そうそうアスカとクラリスを捜してるんだったわね」

話が最初の用件に戻ったためミサトも追求を断念せざるをえない。

「テストの後、クラリスとケイジの方へ行ったみたいよ。少し調子悪いみたいだし、たぶんいつもの所じゃないかしら?」

「そう........ま、アスカも年頃の女の子だもんね。いろいろあるか。」

ミサトの顔が娘を心配する母親のような表情になる。

つられてリツコの表情も柔らかくなった。

「ふふ、あなたいい母親になれるわよ」

「てへへ」

少し照れて笑うミサト。

「そうそう、ちょうどいいわ。渡すのは明日にしようと思ってたんだけど…はい」

リツコは一冊のファイルを取り出すとミサトに渡した。

「何、これ?」

「いいものよ」

にっこり笑うリツコの言葉に胡散臭そうなものを感じるミサト。((((;゜Д゜)))

とりあえずファイルを開いてみる。

題名を見たミサトは軽い頭痛を覚えて顔をしかめた。

「…あんたって本当に悪趣味ね」

「あら、そうかしら」

表紙には『マルドゥーク機関及びUNITによる報告書』と記してあった。

<7番ゲージ>


「アスカ、マヤ~帰るわよ」

ケイジに入るなりミサトは声をかけた。

初号機を見ていたアスカとクラリスが振り返る。

「「ミサト(さん)」?よく居場所がわかったわね」

「ま、だてに3年も同居してないってところね」

ミサトはそう言ってアスカとクラリスの隣に並んだ。

「で、どうしたの二人とも?弐号機かと思ったら初号機とバルキリーを見上げて」

「う…べ、別に何でもないわよ」

ごまかすようにアスカは言った。

「ふ~~~~~~ん」

半眼になるミサト。

「何よ、その疑いに満ちた眼は?」

「ぶぇっつにぃ~~」

「さ、さぁ早く帰るわよ!ほら!」

アスカは足音も高らかにクラリスと一緒にケイジを出ていく。

(…シンジくんとジェームズくんのことを思い出してたのね)

アスカやジャスミンと同じように初号機とVF-1Sを見上げる。

 

サードインパクトを起こした初号機とVF-1Sは国連(地球統合政府)事務総長の名において永久封印が決定された。本来は解体したいところだがさすがに恐ろしくてできなかったらしい。形式上であれ国連(地球統合政府)安全保障軍事委員会の指揮下である特務機関ネルフはそれに従い、ネルフ本部に初号機とVF-1Sを封印した。ただ、大多数がターミナルドグマへの封印を提案したにもかかわらずゲンドウはケイジでの封印にこだわった。以来、7番ケイジが2体のエヴァと1機のVF-1Sの寝所とされ、一種の聖域とされている。ここに入ることを許されている者は少ない。

 

ミサトはこの紫の巨人に乗っていた少年とイタリアンカラーのバルキリーに乗っていた青年の事を思い出していた。傷つき苦しみ血を吐くような思いをしながらそれでも自分たちを救ってくれた少年と青年の笑顔を。

「ミサト!!」

「はいはい今行くわ」

ミサトは可愛い妹達の方へ歩き出した。

ハッチを出るときに………一度だけ振り返った。