給湯器の故障問題はまだまだ続いている。
神がかった仲介業者の親切心につけ込んで
部屋への立ち入りを拒む入居者の対応を委ねた。
時刻は21:30.あれから約1時間が経った。
俺は少し落ち着きを取り戻し、友人との会話を楽しんでいた。
プルルルル♪ そこへまた電話が鳴る。
仲介業者からの電話だった。
気にせず行け行けというジェスチャーをする友人。
俺はまた店を出て電話で話せる静かな場所を探す。
「○○不動産です。現状の報告をしようと思い電話しました。」
「ありがとうございます。如何でしたか?入室をOKしました?」
「いや、ダメですね。頑なに入室は拒んでらっしゃいます。
ですが、それを理由に本日のシャワーは諦めてもらいました。」
なるほど、さすが神だ。
部屋への立ち入りを許可してくれたら、
給湯器の故障は直り、お湯が出るかもしれない。
しかし入室を拒むのなら直したくても、直せないという事か。
先方の主張をうまく利用し、直せない理由を相手側に被せる。
素晴らしい交渉テクニックだ!
相手の言葉を逆手にとってこちらに有利なものとしてしまう。
まさに言葉の合気道だ!
俺とした事が完全に自分を失っていた。
事態の収束を急ぐあまり、今日中になんとかしようとしていた。
この時間に右往左往するより、明日仕切り直した方が利口だ。
幸い明日は週末なので俺も朝から動ける。
ガス会社を手配できるかもしれない。
最後に仲介業者に聞いてみた。
「それにしても部屋への立ち入りを拒む理由は何なんでしょうね?」
「先方が言うには、散らかっているからの一点張りなんですよ。」
そうだった。あの部屋は確かにすごい荷物だった。
外から見ただけでも、ごみ屋敷になっているのは歴然だ。
俺は改めてこのお礼はすると言って仲介業者との電話を切った。
そして、翌日。
俺は自宅で朝からガスの工事会社を調べていた。
得意の電話帳を使って、大田区のガス工事業者に電話する。
7,8件あっただろうか。
すべての業者に当日の工事は全ていっぱいと断られた。
翌日の日曜日はお休みとの事。 八方ふさがりだ。
しかし、ある業者から給湯器の型番を求められた。
そんなこと知るわけもない。 仕方ない現場に行くか。
ちょうど入居者にも直接会ってお詫びもした方が良いだろう。
しかし、不動産投資は不労所得なんて言うけれど、
どこが不労所得じゃい!
週末返上でクレーム対応に追われているじゃねえかぁ。
この時ばかりはもうアパート経営はしたくないと思った。
そして、この話はまだ終わらない。
