敷金交渉の結末!最後は退去者にも感謝 | 30代リタイヤ 英会話子育てフィリピン移住戦略

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30代でサラリーマンを辞め、アパート経営を軸に英語教育のため子育てセミリタイヤ生活をフィリピンで実現するまで。
現在進行形のお話です。


Achieve


長い沈黙が続いていた。 相手は窮地に陥っていた。


言葉を失ってしまったかのように時間だけが過ぎて行った。


ニッカポッカと作業着と娘は何かを考えているというよりも、


俺からの最後の言葉を待っているかのようだった。



孫子の言葉 「窮寇は追うなかれ」 を知っているだろうか?


窮地に陥っている敵をそれ以上追いつめるのは危険で、


相手は死に物狂いとなって普段以上の力を発揮するから、


と孫子は言っている。 もっと平たく言うと、


四方を囲んだら必ず一方を空けて逃げ道を作るべきであり、


窮する敵を更に追いつめることはするなと言う意味だ。



俺はこの言葉を信じているし、何度も救われた経験がある。


いま敵はまさに4方を囲まれて、窮地に陥っていた。


ここで俺が調子に乗って敷金以上の請求をしようものなら、


相手はどんな手段に出てくるかわからない。


そもそも彼らは敷金の全額返還を求めてやって来たのだから。


なので、今回も孫子に従った。 逃げ道を差し出したのだ。


俺はまず独り言のように、ボソッとこういった。


「あー、でもラジコンの廃棄は費用が掛かるんだよなー。」


ニッカポッカは聞き逃さなかった。 


「大家さんもラジコンの趣味があるんですか?」


相変わらず子供っぽい声だった。 まあ、今更どうでも良いか。


「いえ、ないです。なのでこのままだと廃棄するしかないです。」


「ラジコンはそのまま捨てられないので、結構掛かりますよ。」


「やっぱりそうなんですね。 実は今そのことを考えていたんです。」


「じゃ、どうせなら、今日撤収させてもらっていいですか?」


「わかりました。 外階段の下にある散らばった空き缶の撤収も


お願いできますか? お礼に日割りの家賃の事は忘れますよ。」


「ええ、もちろんです。ついでなんで全然問題ないです!」


もともとあの空き缶の中身はラジコンを趣味とするような


人以外は所持するような代物ではない事はわかっていた。


俺はニッカポッカが犯人と知りつつも、言わせておいた。



俺はさらに続けてこう切り出した。


「敷金の清算ですが、契約書には現状回復とありますけど、


よく読むと借主が貸主に許可無く工事した場合とあります。」


ここぞとばかりに、今後は作業着が話し始めてた。


「そういえば、ちゃんと前の大家さんには連絡したよな?」


ニッカポッカにその先を促している様子だ。


「あ、う、うん、そうだった。工事の前に電話した、した。」


「ほら、大家さん、ちゃんと許可もらってやったことだよ。」


作業着はいつのまにか、もとの元気に戻っている。


それは、それで、ちょっと気に障るが、我慢して言った。


「そうなんですね。 なるほど許可は取っていたんですね。


うーん、じゃ、どうしたらいいかなー?」 


俺は考える振りをした。 そう、もちろん演技だ。


「大家さん、じゃ、こうしよう。 今の敷金でチャラにしようよ。」


作業着が言った。 覚えているだろうか? 


俺が最初に設定したゴールはなんだっただろうか?


そうだ23万円の敷金の没収がゴールだった。


つまり、俺はこの言葉を待っていた。


この言葉を言わせるために状況を操っていたのだ。





本当の交渉のプロは相手を説得などしない。


相手にこちらの希望をオファーさせるよう仕向けるのだ。






「うーん、わかりました。 そうしましょう。 」


3人に初めて笑顔がこぼれた。 俺もホットした。


ま、あのままの勢いで追加請求しても


払われることはないであろうから、良い結果だと思う。


この退去者は元オーナーの時代とはいえ、


この部屋に10年も住んでくれていた。


同じ物件の所有者として、俺は敬意を払うべきだろう。


そういった事も考えても、今回の交渉は妥当だったと思う。


いろいろあったが、最後はこの3人に感謝してお別れした。



そして、この後にここに入居したのが、


先日ご紹介したお中元を贈ってくれる姉妹なのだ。


アパート経営は本当に人間味があるビジネスだ。


皆さんも、参考にしてくれたらと思う。