第16回『時事ビブTV:本屋の未来』を観戦しました
8月10日、第16回『時事ビブTV:本屋の未来』を観戦しました。
番組の裏のつとめに、
・「民主主義の砦」といわれる図書館に選書のヒントを提供する
・どんなテーマでも本を選び、案内できる選書のプロを育成を掲げ、『デモクラTV本会議』の膨大な映像資料からテーマを選び、まずはビブリオバトルを展開します。
今回は、いつも板書をしてくれているAさんが体調不良のため欠席で板書はなし。
そして、名古屋から参加のZoomがなかなか繋がらず、25分遅くれてスタート。
バトラーは6人もいて、選書でショーは77冊を披露。
帰り着いたらクタクタでした。
図書館と本屋の話は4月16日の鼎談「図書館の現状と改革の課題 〜図書館職員の地位向上をめざして」にも話が出てきて、4月17日のブログでも紹介したし、
Webコラム123回でも紹介しました。
今回ビブリオバトルで紹介された本は、以下の6冊。◎がチャンプ本です。
○『世界の書店を旅する』ホルヘ・カリオン(白水社)
数々のエピソードとともに世界各地の書店をめぐる紀行エッセイ。
〇『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』福島聡(dZERO)
「ヘイト本」をめぐる自問自答の軌跡を披歴。書店だって置きたい本を置けばよいとの話がでた。
〇『橋本治「再読」ノート』仲俣暁生(破船房)
小説家、橋本治の中期から後期の評論的エッセイを軸に読み解き、彼の「思想」に迫る試論です。デジタル書籍もあり。
バトラー曰く「装丁にこだわらず地方の発信や作家にも出版のチャンスを感じた」
最近電子書籍をにトライしたから、私も納得。
〇『本屋と図書館の間にあるもの』伊藤清彦・内野安彦(郵研社)
珍しく我が家の本棚にもある本。お二人とも亡くなって、ちょっと胸が締めつけられた。
〇『朝のガスパール』 筒井康隆 (新潮文庫)
朝日新聞の朝刊に連載された記事の毎日の読者の反応やパソコン通信を翌日の連載に反映させてできた作品なんだそうな!
◎『南天堂 松岡虎王麿の大正・昭和』寺島珠雄(皓星社)
「南天堂時代」と呼ばれる、伝説の階上喫茶店考。人々とその時代を点綴しつつ、店主・松岡虎王麿の生涯を辿る。そして、今もあるのだそうな。
フランスやドイツでは、人の交流の場として書店と喫茶店があったのだそうな。今流行りのサードプレイスは実は古くからあったのね~
観戦者に岩波書店の元社長で雑誌『世界』元編集長のOさんがいて、ビブリオバトルの質疑応答だけでなく、普段は聞けない話が時々挿入され、たとえば、
・岩波書店は古本屋から始まった
・最初の出版物は漱石の「こころ」だったとか。
そんな話も聴けるのが、この場所の面白さです。
「選書 de Show」のコーナーでの選者のことばがこちら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まずはウンベルト・ エーコとジャン=クロード・ カリエールという世界中の誰もが認める知性と教養の権化のようなお二人の対談『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』の、とっても緩くて能天気なスタンスに勇気をもらって、踏み込んでいきます・・・
で、線文字A線文字Bの時代からブックセラーの歴史を紐解き、日本の江戸時代の輪読会や、昭和初期の貸本文化、柳田國男に「本屋風情が!」と賎しめられた時代(まさに岩波茂雄の時代)を駆け抜け、神保町の変遷から古本屋や書店をすこぶる愛する方々、人生を変える読書体験の数々を浴び、徐々に〈本屋の未来〉に向けた前段を温めていきます・・・
で、いよいよ20〜10年前くらいに続々と現れてくる、「本屋になりたい!」という熱い想いだけで、各地に湧いてくるように出来た、宝石のようにキラキラ輝く独立系の小さな本屋さんや、大手チェーン店のカリスマ書店員たちの奮闘を紹介(ポイントは、エーコとカリエールに共通する脱力と緩さ=レジリエンスだよね)…
間に中高生向けの物語に描かれる書店および書店員の姿、日本および世界中の珠玉の本屋さんを確認・・・
で、今、現在、全国に生まれてきている新しい感覚の独立系書店の胎動と、それらを底支えするキーマンに注目(この人たちがいる限り、本屋の未来は明るいのだ!)…で、“本屋の危機”を叫ぶ人たち、紙の本とデジタルの行く末を案じる人たちの言挙げの中から、いくつかのキーワードを抽出…アフォーダンス、サードプレイス、セレンディピティ、エディターシップが、これからの〈本屋の未来〉を考えるための、よって立つ柱かなと・・・
で、いよいよ大団円ですけど、大手の本屋チェーンや、出版関係者から政府まで、〈本屋の未来〉についてアレやコレや、いろんな事をいって、ジタバタしておりますが、それはそれで良いことだと…
今、語られてたり、いろんな動きがあることは、全てこの業界や、知識基盤社会が多様化するという意味で、あたしゃ全て拍手ですよ…
けど、20年ぐらい前に流行った“ファスト風土化”するニッポンと同じ轍を踏んでませんかね?…
で、最後はエーコとカリエールに戻ります…ファスト風土化したニッポンは20年もすれば消えてなくなりますが、〈本屋の未来〉はこの先、何百年も、いや未来永劫続きますよ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とうことで、
いきなりでっかいサイズが3冊でて、圧倒されたのがこちら。
気合いがはいったところで、神保町の変遷から古本屋などの本が並び。
本屋になりたい小さな本屋さんや、大手チェーン店のカリスマ書店員たちの奮闘記。
イギリスや韓国などの本屋事情
こちらは書店員を扱った小説。やっぱりイメージが定着しているのね~
子どもが小さい頃お世話になった友達は学校の先生だったけど、学生時代にモデルのバイトをしていたぐらい綺麗な人で、ショッキングピンクに身を包み、「ガハハハッ」と笑う方でした。そのくらいイメージを払しょくしないと書店員も図書館司書もダメですね。
最後はもう一度立ち返って、ほんとに本屋は消えるのか?
結論は、大型書店の金太郎飴書店は危ういけど、独自性を貫く書店は生き残るとの結論となりました。
幾つかお薦めや気になった本をランダムに紹介します。
・ジャン=イヴ・モリエ『ブックセラーの歴史』原書房
古代から今日まで、書籍という商品について、どのように人から人へと伝わり、交換・販売されてきたのか、その歴史をたどる。
・鹿島茂『神田神保町書肆街考』筑摩書房
フランス文学者で作家が”本の街”神田神保町の誕生から現在までを社会・歴史的に解明した大著『神田神保町書肆街考』の待望の文庫版
・『街の書店が消えてゆく』創出版
全国の街の書店が消えてゆく現状を徹底取材!
・岡茂雄『本屋風情』角川ソフィア文庫
自らを「裏木戸の出入り人」と呼んだ本屋(出版業)しか知りえなかった、貴重な近代日本の出版事情がわかる回想記録。
・辻山良雄『しぶとい十人の本屋』朝日新聞社
読書バリアフリー的視点からすると、表紙は読めない。でも、いろいろな本があって良いのです。
・久住邦晴『奇跡の本屋をつくりたい』ミシマ社
「中高生はこれを読め! 」「ソクラテスのカフェ」……
ユニークな企画を次々と生み出した、地元はもちろん、遠方からも愛された札幌・くすみ書房の店主が残した遺稿を完全収録。
・久禮亮太『スリップの技法』ひるねこBOOKS
本に挟まれている、あのスリップ、ただものではないそうな!
・岩田徹『「一万円選書」でつながる架け橋』竹書房
メディアでも話題になっているから私でも知っている。
・田口幹人『もういちど、本屋へようこそ』PHP研究所
全国の「あきらめの悪い書店員たち」が語る、読書と書店の面白さとは——。
・ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー』白水社
スコットランド最大の古書店の店主が書き綴った日記がベース。
・ジェーン・マウント『人生を変えた本と本屋さん』
「世界の本好きたちに愛されている本」1000冊以上をかわいらしいイラストとともに紹介。
・内沼晋太郎『これからの本屋読本』NHK出版
本と人とをつなぐ本屋の可能性を照らす、著者の集大成。「本の仕入れ方大全」も収録。
本の角は取っているし、文字も独特のこだわり。出版文化は装丁も含むいう典型ですね。
・高橋文夫『スマホ社会と紙の本』論創社
グーテンベルクVS.デジタル化の争闘。
・小島俊一『2028年待ちから書店が消える日』有隣堂
本屋再生!識者30人からのメッセージ~
・三浦展『ファスト風土かする日本』光文社新書
コンビニ、ショッピングセンターに書店。地方に建ち並ぶ、全国一律の「ファスト風土」的大衆消費社会。
・純岡曜彰『悪魔は涙を流さない』瓦塔院出版
シェア型書店仕入専用(本体表記無し)ということで、定価が書かれていない本!
第16回【時事ビブTV】テーマ〈本屋の未来〉は、無料公開中なので、ぜひアクセスしてみて下さい!
▼URLこちら
https://youtube.com/live/SOYH8xGQlfk
「デモクラTV」ホームページのトップからでも
ログインなしで見ることできます。
▼URLこちら
★次回は10月12日(17:00~)、お題は「五輪と万博」もしくは「テロと暗殺」
直接会場に来れなくても、バトラーも観戦者もZoomで参加可能です。
皆さんのお越しをお待ちしています。
追伸
せっかく紹介されたから、1冊ぐらいは読みたいのだけど、
いまちょっと緊急性のあることが発生しています。
それが落ち着いたら、備忘録に添って読んでみます。
Oさん、皆さん、ありがとうございました。