2024年春の国東1日目:国東半島宇佐地域 世界農業遺産のクヌギ林の循環
遊び仲間の司書のHさんのご主人は大分県国東市の農家の生まれ。
東京大学で研究・教育活動をしていましたが20年前にUターンして、国東半島宇佐地域 世界農業遺産の認定や保全活動にも関わり、農林業活動をしています。
ユーザーでお世話になった国東市立図書館で高齢者・障害者への本の宅配サービス「グリーンバッグサービス」の話題は聞いていて、一度は伺ってみたいと思っていました。
そこで、今回、Hさんのご主人のエスコートで、1泊2日の弾丸ツアーをしてきました。
整理しながら紹介していきますね。
まずは、世界農業遺産のクヌギ林の循環から。
1日目は、朝早い飛行機で羽田を旅立ったので、9時半過ぎには大分空港に着き、Hさんの旦那様(以後、Hさん)が出迎えてくれました。
まずは、国東半島のちょうどど真ん中両子寺近くの自宅を訪問。
お母様の手作りの接待を受けました。ゴーヤの砂糖漬けは初めて食べました♪これは売れると思う!
家の周りを一巡。
雑草のない行き届いた庭の写真は取り損ねましたが、水仙が咲き、チューリップが出番を待っていました。
これはハチの巣箱。蘭の花の香りで女王バチをおびき寄せるのだそうな。
土筆がたくさん。
地衣類を見ちゃうと、ついKさんを思い出しパチリ。だいぶ洗脳されています(笑)
私達が帰った翌日にゼンマイは芽を出したそうです。
椎茸の乾燥は、この小屋でします。
乾燥には灯油を使います。
世界農業遺産とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)で、国東半島宇佐地域は、クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環で認定されました。
だから、CO2を排出する灯油を使った通風乾燥機で乾燥?にちょっとびっくりしたのです。
灯油の炎で直接乾燥しているのではなく、煙突を温め、周りの空気を温めて、シイタケを乾燥しているのだそう。
私はてっきり天日干しかと思っていました。
そこで、両子寺の山門の仁王像だけ見物し、
椎茸のクヌギ林を案内していただきました。
椎茸栽培には、原木栽培と菌床栽培があります。
菌床栽培はオガクズなどに菌を植え付けて栽培する栽培で中国産の乾椎茸が多いんだとか。
椎茸を買ったら、原料名の箇所に書いているので、ちょっと気にしてみてください。
原木栽培は手間がかかります。
まず、クヌギをほだ木用に伐採します。
そして、菌を植え付けるコマ打ち。
椎茸はコマ打ちした個所から生えてくるかと思っていたけど、違うんですね。
Kさん、これも地衣類?
そして。切ったその場所にほだ木を組み立てるのかと思いきや、それも違いました。
直射日光に当たらぬようにして栽培するのです。
ほだ木の生産サイクルは5年ほど。
伐採されたクヌギ林は15年ほどで循環していきます。
手入れをしているクヌギ林は凛としていました(右側の林は未手入れの林)。
ここで、先ほどのco2問題に戻るのですが、若木の方がCO2の吸収率が高いのだそうです。
HさんはトータルでCO2の排出量を計算していて、原木椎茸生産農家の環境への貢献度を謳っていました。
木を伐採して椎茸栽培が軌道になるまでの循環は最低でも4年かかり、しかも重労働ということで、後継者問題も抱えています。
消費者が賢くなって社会的課題に取り組む消費活動を「倫理的消費」というそうです。
椎茸の原木栽培は、11月の伐採に始まり、コマ打ちや伏込の3月までほぼ冬から春かけての作業。
6月に下草刈りはあるものの、春から秋にかけては稲作と、農林業で一巡する生活です。
椎茸の原木栽培でいくつも学ばせていただいた時間でした。