第13回『時事ビブTV:裏とか闇とか』を観戦しました | しゃっぴいおばさんのブログ

第13回『時事ビブTV:裏とか闇とか』を観戦しました

2024年2月10日開催の第13回時事ビブTVのテーマは「裏とか闇とか」でした。

今年から偶数月第2週開催になったのだけど、画面表示が追い付いていない!

それぐらい忙しく飛び回っていて食事もとれないほどの疲労度にも関わらず、

途中何度か放送事故もありながら、ほぼ3時間の長丁場。

今回も密な時間でした。

あとで、「選書 de Show」は集中力が続かないので本の数を絞ってほしいと嘆願しました(笑)

 

番組の裏のつとめに、

・「民主主義の砦」といわれる図書館に選書のヒントを提供する

・どんなテーマでも本を選び、案内できる選書のプロを育成を掲げ、『デモクラTV本会議』の膨大な映像資料からテーマを選び、まずはビブリオバトルを展開します。

 

テーマ「裏とか闇とか・・・」といっても、いろいろな視点の本が出揃いました。

今回のビブリオバトルで紹介された本は、以下の4冊。◎がチャンプ本です。

○北村滋『外事警察秘録』文藝春秋

警察官僚、前国家安全保障局長として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたインテリジェンス・マスターが『見えざる敵』との戦った裏面史との触れ込み。
「しかして典拠は?」との質問に、本人の思い出話で裏付けはないとの回答。

司書の視点の質問と、読んだ本人から「これはこのあとブックオフいき」に、ちょっと笑えました。

 

◎萩尾望都『一度きりの大泉の話』河出書房新社

「大泉に住んでいた時代のことは封印していました。しかし今回は、当時の大泉のことを初めてお話しようと思います」(前書きより)。

全352頁、12万字書き下ろし「人間関係失敗談」だそうな。

スタジオでは『下山事件』に軍配が上がっていたのですが、Web投票で逆転してチャンプ本に。

私は漫画は読めない人で、でも、なんとなく、どんな本かは想像がつき、チャンプ本になったのは人間関係で悩んでいる人は多いからかなあと。

 

伊藤亜紗・渡辺淳司・林阿希子『見えないスポーツ図鑑』晶文社

バトラーの本の写真を撮り忘れたので、リンク貼りました。

視覚障害者の方々にスポーツの臨場感をどう伝えるか、から始まった研究。

十種目の競技のエキスパートとタッグを組んで「人力VR」の開発に挑むことになった結末は!?

「経験した人でないと本当のところは伝わらない」の一言もあり、心理的なものを伝える難しさも感じました。

 

〇森達也『下山事件(シモヤマ・ケース)』新潮文庫

昭和24年7月5日、日本橋三越から忽然と姿を消した初代国鉄総裁下山定則が、翌日未明常磐線の線路上で轢断死体となって発見された下山事件。

自殺か? 他殺か? 戦後最大の怪事件の謎なんだそうな。

私の生まれる前の話。混沌とした時代だったのね~

 

どの本も読みたくなるほど、バトラーの紹介は素晴らしいものがありました。

 

「選書 de Show」のコーナーでは、当初は50冊のつもりが本棚をあさっていていきなり100冊に変身したという、今回も長丁場でした。

闇と一言で言ってもいろいろな闇があります。今回のテーマの引き金になった汚職関係。

闇バイトなどの本は、図書館のYAコーナーにもあってもよいのではとの意見も。

最近の犯罪は、ごく普通の若者が簡単に犯罪に手を染めるのです。

今読んでいる坪内祐三『慶応三年生まれの七人の旋毛曲り』で初めて知った宮武外骨の本も紹介されました。

春を売る赤線本やキャバレー事情。これらの本なども歴史を知る上で図書館では重要とのことでした。

全ての闇は、明治時代や満州に通じているのだそうな。

戦後のGHQや統一教会の闇

松本清張の『日本の黒い霧』は丹念な取材の元に書かれたとか。

小説にもなっている闇。

今村省吾『童の神』を読んだばかりだったから、サンカにたどり着くまでの遷移を教えてもらいました。

三角寛の本は、若干の妄想があるとのことで、『サンカと三角寛』などと併用して読むように薦められました。

ゴミやお金にまつわる大きな組織の闇。

生活の中だって表通りと裏通りがあります。

今読んでいる室橋裕和『ルポ新大久保 移民最前線年を歩く』も路地裏の話が出てきます。

歴史舞台には、勝者のことしか残されていない闇。

最後は科学の闇が語られて、『ミシェル・フーコー 近代を裏から読む』の哲学書で終わりました。

 

幾つかお薦めや気になった本をランダムに紹介します。

・山本聡美『闇の日本美術』ちくま新書

→絵巻や掛幅画に描かれた闇について、日本人は生老病死をどうとらえ、どう描いてきたのか。暗闇からの日本美術入門。

・伊勢正義『タクシー裏物語―現役ドライバーが明かすタクシーの謎』 Paperback Bunko

→血まみれのヤクザ客、乗客は幽霊などなど、知られざるタクシーの裏側を現役ドライバーが暴露する。 

・宮武外骨『滑稽漫画館』河出文庫

→「知らなくてもいいこと」がたくさん詰まっている、結局社会に対する憤懣や皮相やエログロナンセンスの洪水だそうな。

・ヴィトルト・シャブウォフスキ『独裁者の料理人』白水社

→五人の独裁者に仕えた料理人たちの悲喜こもごもの人生。気に入らなかったら首が飛ぶかもの恐怖もあったのかなあ。

・伊藤昌亮『ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代』青弓社

→政治・文化・社会問題・運動など、日本社会に全面展開するネット右派の現代史

・太田尚樹『満州裏史 甘粕正彦と岸信介が背負ったもの』講談社

→日本人が満州に託した新興国家建設という夢。汚れ役の甘粕とエリート官僚の岸は、脆弱な国家経済を磐石にするためにいったい何をしたのか?

・高山文彦『宿命の子 笹川一族の神話』小学館

→競艇の創設に尽力し「日本のドン」の汚名を背負った故・笹川良一氏と、ハンセン病制圧を中心とした慈善事業を担う三男の笹川陽平。日本財団の父と子の物語。

日本財団は国立国会図書館のデジタルアーカイブ作成にも橋渡しをしたことを知り、本も気になりました。

・青山透子『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』河出書房社

→先輩を失った元スチュワーデスが当時の警察・自衛隊・政府関係者、医師、遺族、目撃者らに取材を重ねた先に見えた新事実。墜落の真相解明に拘り続ける理由と事実を見つめる勇気を伝える。

・重田園江『ミシェル・フーコー 近代を裏から読む』ちくま新書

→正常と異常の区分を生み出す「知」の体系と結びつき、巧妙に作用する「権力」。そうした秩序が社会の隅々にまで浸透する近現代の魂を揺さぶる革命的入門書。

 

バトルが2か月に一度になったから、せめて月1冊ぐらいは読めるかなあ。

皆さんも気になる本があったら是非。

 

闇をすべて暴いてクリアにすればいいってもんでもないのよね~

ちょうどクドカンの「不適切にもほどがある」のテレビにはまっている人は、そんな気持ちなのかなあと思ったり。

 

無料公開なので、ぜひアクセスしてみて下さい!

▼視聴はこちら↓↓↓

 

 

★次回の4月13日(17:00~)は、まだお題は決まっていません。

遠くの方もZoom参加できるので、図書館の皆さんの参加もお待ちしています。

帰り際に、バトラーのIさんから、「今度はHさんを誘ってきて~」と所望がありました。

しっかり営業しなきゃ(笑)