図書館総合展2013 その4:フォーラム「首長が語る地方行政の現状と図書館への期待」 | しゃっぴいおばさんのブログ

図書館総合展2013 その4:フォーラム「首長が語る地方行政の現状と図書館への期待」

「首長が語る地方行政の現状と図書館への期待」のフォーラムは1029日に開催されました。

講師は特色ある地域づくりをめざす以下の方々でした。

福井県鯖江市 牧野百男市長

島根県海士町 山内道雄町長

沖縄県恩納村 志喜屋文康村長

地域づくりのなかで図書館が果たす役割という切り口で、図書館に限らず、視点がグローバルなフォーラムでした。


・鯖江市

鯖江市はメガネの町として有名ですが、漆器や繊維などの産業もある自然環境豊かな町です。とはいえ、どの産業もこのままでは衰退の一途をたどると、町長が目指したのは、「オープンデータによるITのまちづくり」でした。

公衆無線LAN「Wi-Fi」の整備、議会情報や統計情報、施設情報などを公開し、市民との情報共有をはかっています。

観光地西山公園へ行く「つつじバス」のアプリは、バスの運行状況をパソコンやスマートフォンなどでリアルタイムに確認することができます。


図書館は、文化の館としての機能を担っています。

こどもの読書支援やビジネス支援のほかに、市民との共同事業が鯖江市の大きな特長です。

さばえライブラリーカフェは、「おいしいコーヒーとケーキを楽しみながら、新書のような手軽さで、皆で学べる定期的な場がほしい」という市民からの提案で始まり、すでに100回以上開催されています。

ボランティア活動がとても活発な町なのです。

人と人、人と本を繋ぐ、そして未来を担う子どもたちのこころを育む図書館であり続けたいとのことでした。

スローガンは、「市民とつくる、市民のための市民の図書館」です。


・海士町

海士町は、私も以前訪れた町です。

超加速化、超少子化、超財政悪化の中、海士町が下した決断は、「合併」ではなく「自立への覚悟の単独町制」でした。

生き残るための守りの戦略として町長をはじめ職員・議員の報酬をカット。

並行して攻めるための対策を次々と打ち出し、現場第一主義の体制づくりから産業振興のために「CAS」という新技術を導入し、島ブランドを売り出していきました。


それらの活力になったのはIターンの若い力です。

彼らがIターンを決意した動機に、「島に図書館があったから」というのも大きな要素だったようです。

島では「町じゅう図書館」の名のもとに、老人ホームなどに図書館の本が並べられどこでも貸出・返却が可能です。

図書館司書のIさんも又、Iターンで島を訪れ、島に居ついた人なのです。

島の玄関である港のターミナルでは島ブランド品が置かれ、小さな図書室があり、まさに町の情報の拠点となっています。


少子化の影響を受けて島前高校存続の危機の時も、「ピンチは変革へのチャンス」と皆で立ち上がり、魅力的な高校づくりに取り組み、今では島以外から1/3の志願者がくる高校へと変貌を遂げました。

自立に向かって小さな島が掲げたスローガンは、「ないものはない

なくてよい。大事なものは全てこの海士にあるとの生き方を発信するスローガンです。



・恩納村

恩納村は沖縄本島にある歴史と文化が香る村で、多くの観光ホテルが散在しています。

最近の観光は、パック旅行から個人旅行や家族旅行へと変化しているようで、単にレジャーを楽しむだけでなく村を深く知りたいと客層も変化をしています。

村長からは、「観光とリンクした文化情報センターの設置を目指して」との題でお話がありました。

この村の基本理念は、以下の4つです。

①優しさと誇り

②人づくりと協働

③交流と活力

④共生と持続

全国の観光アンケートで沖縄県が評価が高いのも普段のこころがけからでしょうか。

確かに、沖縄の人って優しいですよね。


今、この村では2つの大きな取り組みがあります。

一つは、恩納村文化情報センターです。

村民が集い・学び合い・育つ情報センターをめざし、10月に起工式が行われました。

施設には観光情報フロアを設置し、隣の博物館とも行き来ができるようになります。

また将来をみこしてEV充電器の設置も行われるそうです。

図書館もこの中に入り、リゾート村らしい情報発信拠点となることでしょう。


そして、もう一つは、沖縄振興事業で設立された国立施設「沖縄科学技術大学院大学 」です。なんでも講義は全て英語だそうです。

私なんか敷居が高すぎて近づくこともできませんが、これからの人たちは公用語である英語が必須条件なんですね。

そんな人たちとも文化情報センターは連携をしていくことになります。


丁度12月8,9日にかけて、「ライブラリーキャンプ2013イン恩納村 」なるものが企画されています。

興味あるけど、参加料がそれなりにするので目下思案中です。

懐にゆとりのある方は是非お勧めします。


どの首長も、「町はひとがつくる」「ひとが財産」を大事にしているように感じました。

行政って「長」の意向で本当に変わるんですね。