図書館総合展2013 その2:フォーラム「これからの図書館の資金調達」 | しゃっぴいおばさんのブログ

図書館総合展2013 その2:フォーラム「これからの図書館の資金調達」

今年もフォーラムは大盛況だったようです。

昨年に続き。話題の武雄市長登場のフォーラムもありました。

私が行けなかったフォーラムで知人が聴いたところは、感想をお願いしています。届いたら、順次お伝えしますね。


まずは、「これからの資金調達」のフォーラムからお伝えします。

図書館の資料費は年々減らされ、私の知っている図書館でもスポーツ雑誌がごそっとなくなってしまった図書館があります。

雑誌の資料費が全くなくなったわけではないけれど、「じゃ、どれを削るか」という話になると、オリンピックのレスリングじゃないけれど大変な話になるのです。

図書館が図書館以外から本を調達する時は、主に寄贈に頼っていました

このフォーラムは、クラウドファンディングや民間の力を取り入れた、図書館の新しい資金調達の話です。


講師は、以下の3人の予定でした。

クラウドファンディングのREADYFOR? 代表  米良はるか氏

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会  鎌倉幸子氏

地域NPO法人地域活性化プラザ 理事    石原猛男氏


察しの良い方は、「何かあったの?」と思ったことでしょう。

そうなんです、米良さんが登場できなかったのです。事故に巻き込まれたのではと心配してくださった方もいましたが、事故ではありませんのでご安心ください。

こんなこともあるんですね~

そんなハプニングにも関わらず、フォーラムが滞りなく行われたのは、実際にREADYFOR?を使った経験のある鎌倉さんがいたからでした。

個人的にも少し存じ上げているのですが、彼女は凄い!


前置きが長くなりましたが、話の内容にふれましょう。


シャンティの鎌倉さんは、飛び込みで「車ください!」と言えるほどの手腕の営業ウーマンです。

その彼女が、数億のボランティア事業の予算獲得を頼まれたとき、上司から言われた言葉が以下の言葉でした。

「金はないけど知恵がある。想像して創造しろ」

お金がないからできないなんて言い訳はしないで知恵を出し合う。

知恵だけ出しても形にはなりません。形にするためにみんなで想像し、今の状況での強みは何なのかを分析する。案外弱みと思っていることは強みであったりするものです。

そして、その目標に向かって強みを生かして創造していく過程の中で、事業(図書館)を応援してくれるファンを増やす、そんなサイクルを実践されているのです。

素直に想像して→強みを生かし→ファンを増やす

素敵なキーワードだと思いませんか?


地域活性化プラザの石原猛男氏は長く行政畑に在職していて、行政の裏の裏まで知り尽くした方です。

図書館は現金収入を扱うのをとても嫌がります。何よりその収入は、直接本の購入にあてがわれるのではないのです。

石原氏は図書館を応援するために雑誌スポンサー制度を採用しました。


雑誌スポンサー制度とは、事業者に希望する雑誌の購入代金を負担してもらい、雑誌コーナーに配架された当該雑誌の最新号のカバーや配架棚にスポンサーの名前などの広告表示するもので、相互にとって益のある制度です。

石原氏のNPOでは、企業と図書館の仲介を引き受けています。

既に埼玉県下をはじめ、多くの図書館で採用されています。

雑誌については、利用者と提携し、その利用者が読んだ雑誌を通年で寄贈してもらっている図書館もあります。1ヶ月遅れになりますが、図書館にとっては有難い話です。


石原氏がこの活動を始めるきっかけは、図書館の資料費が削減されている現実もありましたが、図書館活動そのものが固定化されているのに疑問をもったのもあったそうです。

他の部署と違い、図書館に予算が下りないのは図書館に圧力団体(ファン)がないため、予算が削りやすいなど、行政側の本音もチラリ聴かせてくださいました。


企業は「寄付してください」だけではお金を出しません。

企業に喜んでお金を出してもらうプログラム環境を用意することが必要です。

例えば市長から感謝状がくれば会社としてはCSRにも貢献できます。

要は、図書館関係者の努力が足りないということだと、私は解釈しました。

私達民間人は業績が上がらなければ賃金は出ません。否が応でも競争しないと食べていけないのです。仕事をしていたとき、図書館の方々とギリギリ感のギャップを感じたことは何度かありました。

たぶん、石原さんが皆さんに期待することも、鎌倉さんがやっていることも、同じようなことなのかと思って聴いていました。


READYFOR? を利用して、期間中夕食を共にしたIさんのいる海士町図書館も現在クラウドファンディングを募集しています。

https://readyfor.jp/projects/ama-library

実際にやられてみて、こんなことでお金が集まるのかと疑心難儀なところもあるそうですが、応援メッセージなどが直接届くので、自分たちも励みになると話していました。

余談ですが、海士町 もまた弱みを強みにして「ないものなない」のスローガンを掲げて活性化を図っている町です。


クラウドファンディングは寄付ではありません。

プロジェクトは達成金額や目的を意思表明して始まります。期間内に達成しなければプロジェクトは解散です。寄付ではないので、金額に応じて引換券が用意されています。

知らなかった方は一度覗いてみてください。


覗いてみて興味を持たれた方には、タイトル付けのアドバイスがありました。

タイトルは、「今どんな状態で、どうしたいのかを明確に書くのがミソだそうです。

悩んでいる図書館はトライしてみては如何でしょう!