ここ2年ほど、不動産プロジェクトの展示やプレゼンテーションを見ていて、最も大きく変わったと感じるのは、完成予想図がより華やかになったことではありません。むしろ、誰もが「展示の効率」を以前より重視するようになったことです。
以前は、プロジェクトのマーケティング用プレゼンテーションを行うために、まず大量の資料を準備する必要がありました。敷地情報、周辺道路、周辺施設、建築パース、模型、紹介動画など、使えるものはできるだけ揃えるというやり方です。
資料の量は多くても、実際に顧客と打ち合わせをしたり、経営層に報告したり、投資家に説明したりする場面になると、昔からの問題に直面します。長時間説明しても、相手の頭の中にプロジェクト全体のイメージがうまく組み上がらないのです。
特に、まだ完成していない新規開発プロジェクトでは、「想像に頼るしかない」ことが大きな課題になります。
「こちらが商業施設で、あちらが学校です。正面には景観軸があり、後方には主要幹線道路があります」と説明しても、相手は話を聞くことはできます。しかし、こちらが意図した通りに理解しているとは限りません。
このようなとき、プロジェクト周辺の環境、敷地との位置関係、建物のボリューム、さらには完成後の空間全体の雰囲気までを、一度に目の前へ提示できれば、コミュニケーションにかかるコストは大きく下げられます。
まさに、この問題を解決するのがAIモデリングです。
これまで、展示で最も大変だったのはモデルの準備
不動産の展示と聞くと、「完成予想図を何枚か作る」「プロモーション動画を制作する」といったイメージを持つ人も多いと思います。
しかし、実際に最も時間がかかるのは、準備段階でのモデリング作業であることが少なくありません。
展示するのは、単独で建っている一棟の建物ではなく、プロジェクト全体です。周辺道路、近隣の住宅地、商業施設の位置、地形の高低差、敷地境界などを、すべて一緒に再現する必要があります。
そうしなければ、顧客が見るのは何もない場所に浮かんでいる建物だけになり、実際の環境をイメージしにくくなります。
従来の方法では、この作業にかなりの時間がかかります。周辺環境の簡易モデルを作るだけでも、資料を整理し、手作業でモデリングを行い、何度も調整しなければなりません。
プロジェクトのスケジュールが厳しく、販売開始が迫っていたり、社内報告の期限が近かったり、複数の案を比較検討する必要があったりすると、時間的なプレッシャーは非常に大きくなります。
多くの場合、設計のアイデアがないのではなく、モデルの準備が追いつかないことが問題なのです。
AIモデリングの価値は、全体の骨格を素早く作れること
AIモデリングの最も実用的な価値は、すべての細部を最初から高精度に仕上げることではありません。プロジェクト展示に必要な空間的な骨格を、まず素早く作れることにあります。
不動産プロジェクトの初期段階で、特に明確にしておきたいのは、通常次のような点です。
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プロジェクトは具体的にどこに位置しているのか
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周辺道路や生活利便施設との関係はどうなっているのか
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敷地そのものにはどのような空間的条件があるのか
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建物を配置したとき、全体のボリュームバランスは自然か
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VRや没入型展示にしたとき、空間として成立するか
これらをすべて従来の方法で一つひとつ作っていくと、制作期間はかなり長くなります。
AIを活用すれば、多くの基本的なモデリング作業を大幅に効率化できます。特に、これまで最も人手と時間を要していた周辺環境や敷地モデルを、早い段階で形にできるようになります。
簡単に言えば、以前は「まず多くの時間をかけて土台を作り、それから展示を始める」という流れでした。
今は、「まずシーン全体を素早く立ち上げ、その後で細部を補っていく」という進め方に近いでしょう。作業のテンポがまったく違います。
マーケティング展示に特に適していると思う理由
不動産のマーケティング展示は、本質的には、相手がプロジェクトをより早く理解できるようにするためのものです。
ここでいう理解とは、単に建物の外観を見ることではありません。そのプロジェクトが都市全体の空間の中で、どれほど説得力を持つのかを理解することです。
顧客が物件を見るとき、建物の外壁デザインの細かな線よりも、次のような点を気にすることが多いと思います。
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建物は周辺の建物とどのくらい近いのか
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日当たりに影響はないのか
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近くの商業施設までどのくらいの距離があるのか
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建物から駅まで歩くと、どのような感覚なのか
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メインエントランスから入ったとき、動線はスムーズなのか
こうした疑問は、平面図と数枚の完成予想図だけでは十分に説明するのが難しいものです。
しかし、周辺環境を含めた完全な3Dシーンがあれば、細かく説明しなくても、相手が自分でその空間を歩き回りながら理解できます。
現在、多くのプロジェクトがVR内覧や没入型展示へ向かっているのも、そのためです。
「私が説明するので聞いてください」という方法よりも、「実際に中へ入って自分で見てください」という方法のほうが、明らかに効果的です。
これは顧客向けの説明だけでなく、投資家へのプレゼンテーションにも当てはまります。投資家が重視するのは、プロジェクト全体の価値や、実現できる可能性です。
敷地と周辺環境の関係、そして計画されている建物の形や規模を直接示せるモデルのほうが、ばらばらに並べられた資料よりも、判断材料として使いやすくなります。
Shapezoのようなツールは、軽量であることが便利
私が特に注目しているのは、Shapezoのような軽量型のAIモデリングツールです。
仕組みはそれほど複雑ではありません。まず地図上で対象エリアを選択し、その後、AIが対応するモデルを生成します。
この方法の最大のメリットは、持ち運びやすく、手軽に使えることだと思います。
もちろん、後から細かな修正や仕上げが必要になる場合はあります。しかし、プロジェクト初期の打ち合わせ、案の比較、マーケティング準備といった段階で、最初から大規模なモデリングに多くのコストをかける必要がなくなります。
多くの場合、まず対象エリアを指定し、周辺環境と敷地の位置関係を生成するだけでも、プロジェクト展示を大きく前進させることができます。
不動産プロジェクトは、もともと変化が多いものです。計画が修正されることもあれば、敷地境界が調整されることもあります。展示で強調したいポイントが変わることもあります。
変更のたびに従来の手順を最初からやり直していたのでは、効率はあまり良くありません。
一方で、エリアを素早く指定し、基本モデルを生成し、それをもとにさらに加工していければ、プロジェクト全体の流れはかなりスムーズになります。
顧客に見せるだけでなく、社内で認識を共有するのにも役立つ
もう一つ、見落とされがちなポイントがあります。AIモデリングは、マーケティング部門を支援するだけではありません。社内の連携にも役立ちます。
不動産プロジェクトは、土地の取得から販売までの間に、企画、設計、施工、マーケティング、投資など、多くの部門が関わります。
全員が同じプロジェクトについて話していても、頭の中に描いているイメージが同じとは限りません。
ある人は商品企画を重視し、ある人は収益性を見ます。また、展示方法を重視する人もいれば、都市景観との関係を重視する人もいます。
認識が統一されていないと、会議で同じ話を繰り返すだけになり、なかなか結論にたどり着けません。
このような状況では、3Dモデルが非常に分かりやすい「共通言語」になります。
モデルがあれば、多くの問題を抽象的な言葉だけで話し続けるのではなく、具体的な空間関係に落とし込んで議論できます。
特に、投資家向けの報告や社内での計画説明を行う際には、このように認識を共有できることが大きな効果を発揮します。
