さよなら上海(留守女士)1992.12.5 テアトル新宿 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 中国といっても広い、昨日見た「少女香雪」が現代だなんて信じられない。地域格差がとてつもなく大きくて、まるで違う世界が展開しているのが中国という国だ。上海は大都会だし、貿易港のある世界に開けた街だ。したがって、浮き足だった心と、外国に向いた目を持った人が多そうだ。この映画に出てくる人はそういう人たちだ。

 

 その目は近くは日本に向けられ、この映画でも日本に出稼ぎに行っている女性が出てくる。彼女は銀座でホステスとして働き、いい稼ぎをしているようだ。旦那は上海でタクシードライバーをしているが、稼ぎは知れたものだ。国際的出稼ぎが幅を利かせる街、上海。とはいえ、誰もが自由に外に行けるようになっているわけでもないと思うし、完全な自由化には程遠い国だから、まだまだこの辺は流動的な状態だろう。

 

 さて、この映画の主人公はインテリの女性で、研究所のような所に勤めている。彼女の夫は現在アメリカに留学している。離れ離れではお互いを束縛することがないかわりに、かえって自由に行動できるので、心も離れてしまうことも多くなりがちだろう。それは当たり前のことで、彼女の夫がアメリカで、女性と同棲していることが分かったことの反動で、彼女にも大いなる動揺が走り、あやまちをおかしてしまう。夫が浮気をしたんだから、こっちも浮気だ。

 

 だけど、こんな目には目を、は普通は通用しないが、そうなってしまった不自然な生活形態を改善するようにすればよい。それはすなわち彼女もアメリカに行けば良いのである。彼女が煮え切らない態度なのは理由があった。

 

 だが、何もかも解決を見ない限り先に進まないのでは、解決も未来もないだろう。いろいろと、解決させなければならない事柄があったとしても、心残りの人がいたとしても、その全てをクリアーしてからなんて言ってたら、いつまでたっても出発出来ない。万事うまく納まる解決からはほど遠い「解決」をもって、良しとしましょう。家族ばらばらの現状維持に未来はない。

 

監督 フー・シュエヤン

出演 シウ・チンシュアンスン・チュン チャオ・イン チンモン トゥ・ポンシー リー・チーシン

1991年