ありふれた教室 2024.5.31 シネスイッチ銀座1 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 考えてみると学校は他の何より他人が行き来し長い時間を共にする場所だ。しかもある程度学生らを統制しなければならない。統制が強制に繋がるのは自然な流れで、昔は学生は先生の言うことを聞かなければならなかった。体罰も平然とあった。

 

 最近の学校は分からない。やはり自分のことを参考にするしかないが、古すぎて比べようがない。しかもドイツは、手強そう。フランス映画では学校がよく出てくる。思い切り気軽にやってるって感じ。ドイツはどうだろう。

 

 ドイツ人は日本人に似て融通がきかなそうだ。決まりを守る保守的な感じがする。だが昨今の流行りの考え方には理解を示さないといけない。移民や難民が増えたことは問題が増したことの大きな要因だ。日本はそもそも移民難民はアウト、門前払いだ。賢いやり方とも言える。中途半端に受け入れでもしてごらん、後に引けなくなるし、右翼の出番となる。

 

 移民、難民、受けて立とう。人権的観点からして排除は考えられない。この意見は分かるし、是非そうしてほしい。だけど身近に見かけの異なる人たちが増えてきて、会社に学校に社会に浸透してきたら、意見を変えるか放棄するかもしれない。理想と現実の乖離にとまどい、眼をつぶるしかない。これはそうなって見ないとわからない。今はまだヨーロッパの一部にある排他的な扱いを非難するけど、同じような事態になったらどうする?

 

 カーラ・ノヴァクはこの学校の新任のクラス担当教師。生徒の民族違いもあるが、なんとかまとめている。それも強制的な対応ではなく、言葉で理解させるように務めているように見える。ここのところ校内で盗難が多発していて、犯人は誰なのか気になる。

 

 疑う、調べる位ならまだしも、盗撮はダメだ。写っていたものが証拠として相手に直接問いつめると言う最悪最低の方法を使ったのが最悪かつ最低だった。この人思ったら即行動する。時間的に差し迫ったことなら分かるが、一応彼女には画像があるじゃないか。使い道はあると思う。盗難があって犯人と思われる人物のシャツの模様が写っている。これこそ証拠だ。

 

 警察の捜査は手順を踏んで慎重に行われる。しかしあのビデオ映像では決定的な証拠にはならないだろう。着てる服が同じなら、その服が誰に売られたのかを調べるなど、警察はプロだ。疑われたフリーデリーケ・クーン以外の人物の可能性100パーでしょ。いくら疑わしくても決めつけてはいけない。これは常識、一般人でも警察でもおんなじ。特に警察+特権は危険、先生が行き過ぎてもこうなっちゃうんだからね。

 

 と言っても先生が間違ってるとは言えない。まぐれで当たってるかもしれない。それはそれで置いとく。この映画では最後部で種明かしはしない。ポワロはいないし、その役を務める人物もいない。カーラが突然ポワロ然として犯人当てをし始めたら、映画の趣旨が変わってしまうけど、面白いかもしれない。

 

 真実を追求することはいい。最終的に同じ回答を得るにしてもやり方がある。初めから犯人扱いで追及されたら、クーンでなくてもああなってしまう。あれではむしろカーラが犯罪人に等しい。難しいね。プライバシーは誰もが持ってるし、プライバシー対プライバシーでは勝負はつかない。どうすれば良かったのだろう。あなたならどうしましたか、との問いを突きつけられた思いがする。

 

監督 イルケル・チャタク

出演 レオニー・ベネシュ レオナルト・シュテットニッシュ エーファ・レーバウ ミヒャエル・クラマー ラファエル・シュタホビアク ザラ・バウアレット カトリン・ベーリシュ アンネ・カトリン・グミッヒ

2022年