がんばれ!ベアーズ 1976.10.5 虎ノ門ホール | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 どうも野球が苦手で、やるのも見るのもダメ。ルールさえよく知らない。ところが映画ではよくある。でもこのようにスポーツそのものではなく、そこに集う人たちを面白おかしく描いているので楽しめた。

 

 クズの寄せ集めみたいなチーム、ベアーズと、そのコーチ、モリス・バターメーカー(ウォルター・マッソー)が、文字通り悪戦苦闘の末、優勝まであと一歩(ここが大事なところ)優勝は来年までお預けの、先を目指して励みましょうという、にくい設定のお話。

 

 モリス・バターメーカーは昔すこしは野球をやっていたようで、知り合いから頼まれた少年野球チームのコーチを引き受けるが、野球には縁のないような奴らばかり集めたのではないかと思うくらいで、太りすぎや近視、喧嘩早いのや、野球の知識だけはある頭でっかち、運動神経なし、などなど、手の施しようがない。これではいくら優秀なコーチが付いても向上は見込めない。

 

 最初の試合もベタ負けだった。これは即解散するしかないかと思いきや、コーチは続けるという。何か勝算があるらしい。

 

 知り合いの娘、アマンダ(テイタム・オニール)と、ケリー・リークという少年をチームに加え、猛練習を始める。

 

 テイタム・オニール以下、子役たちの統率のとれたずっこけ(これは鼻持ちならないと思う人もいるかもしれない)に、思わず笑ってしまう、手を叩いてしまう。子どもの達者さに拍手をしたい。弱い方を応援するのは自然な気持ちだし、私たちはみんなベアーズを応援してしまう。Bless the beasts and the children 「動物と子供たちの詩」という映画を思い出した。

 

 世間からダメを出された子どもたちが、彼らなりに、彼らの感じた考えたことをやり遂げようとしたこと、これがそれなんです。

 

 コーチ兼監督の作戦には大人の狡さがあるが、不思議と子どもたちは一様に素直だ。欠点といえばそのことだ。どうも、この映画、大人の作った子どもの映画で、子どもたちも悪く言えば、スレていて、大人の考える子どもになりきっているようだ。「思春期」のトリュフォーのように、さりげない調子でなく、露骨に大人の子どもを見せている点で、少々嫌味な感じもしないではない。だが、今の子どもたちは、こんなものなのかもしれない。むしろ素直で可愛いくらいだ。と物事素直に受け取れなくなった私、反省。

 

監督 マイケル・リッチー

出演 ウォルター・マッソー テイタム・オニール ビック・モロー ジョイス・ヴァン・パッテン ベン・ピアザ ジャッキー・アール・ヘイリー

1976年