11月14日(月)から11月20日(日)まで、
世界保健機構(WHO)が提唱しているもので、抗生物質の適切な使用についての啓発活動が中国を含め世界で実施されます。
現在の大きな問題は、抗生物質などの薬が効かない薬剤耐性菌が世界中で増加していることです。現在、耐性菌による死亡者は年70万人と推定されています。しかし、2050年には年間1千万人が耐性菌によって死亡するとの予測があります。
特にアジアで死亡者が多くなる(473万人)と推定されています。アジアの中で特に危険なのがインドと中国と考えられています
薬剤耐性菌による年間死亡者数の2050年における地域別推定。アジアが群を抜いて多い。
地域の色は1万人あたりの死亡者割合を示す(濃い色ほど多い)。The Review on Antimicrobial Resistance 2014から引用。
薬剤耐性菌(紫色)による年間死亡者数の2050年における推定。他の主要な死亡原因より多い。時計回りにがん、コレラ、糖尿病、下痢を起こす疾患、はしか、交通事故、破傷風。引用元は上図と同じ。
現在、中国は世界最大の抗生物質消費国です(これについて過去の記事はこちら★。なお日本では抗生物質使用量は減少傾向にあります)。
おそらく本当は禁止されているのでしょうが、中国では処方箋なしで薬局で抗生物質を買うことができます。日本ではこれはできません。
先日もある患者さんが、自分で買って飲んでいた抗生剤をみせてくれました。第3世代セフェム系に分類されるお薬を買ったそうです。でもあまり効かなかったので、当クリニックを受診されました。ご自身で薬を判断して飲むのはやはり難しいでしょう。医療機関に行く手間を省きたいという気持ちはよくわかるのですが、有効でない抗生剤治療は耐性菌の生まれる原因になりますので、お勧めできません。
耐性菌が生まれて広がるしくみ。この図では家畜など農産物を介する経路と、人間を介する経路が書かれている。WHOのサイトから引用。
中国政府も様々な対策に乗り出しているようですが、まだ十分効果は出ていないようです。これからも腰を据えた啓発が必要なようですね。