聞きなれない病気ですが、主にアフリカと中近東で流行しているリフトバレー熱(Rift Valley fever、中国語で裂谷熱または立夫特谷热)患者さんが北京でみつかりました。
患者さんはアフリカのアンゴラで感染して帰国した中国人です。アジアにはこの病気はありません。
別の病気ですが、アンゴラ帰りの中国人計11名が黄熱病を発症したもの、最近のことでした。
リフトバレー熱の分布。青が流行地域。緑はときどき発生する地域。図はwikipediaから。
以下はこちらのHPから引用。
北京でリフトバレー熱の患者確認、アンゴラから帰国 (2016.07.26)
> 北京市の衛生当局は23日、人獣共通伝染病のリフトバレー熱(RVF)の患者1人を確認したことを明らかにした。中国でRVFの感染者が確認されるのは初めて。香港星島日報が伝えた。
> 患者は河南省の男性(45)で、アンゴラで作業員として働いていた。14日、現地で発熱や関節痛などの症状が現れたが改善せず、21日夜、飛行機で北京に到着した。重症のため、専門病院で検査したところ、RVFの感染が確認された。(以下略)
この病気は人から人には感染しませんので、感染拡大の心配はないようです。
この病気はウイルス感染によっておこります。もともとはウシ、ヤギ、ヒツジなどの病気ですが、動物についた蚊や昆虫を介し人へも感染します。また、食肉加工などで動物の体液などを吸い込んで人間に感染することがあります。
リフトバレー熱はウシやヒツジでは100%近くの流産を起こす。写真はアフリカのブルンジでのリフトバレー熱発生を扱った記事から引用。
この病気になると、インフルエンザのような症状がでます。通常は予後は良好で、軽症で経過して1週間程度で回復します。網膜炎が起こるのも特徴です。数%程度の患者さんは重症化し、出血熱といわれる症状をおこすことがあります。こうなった場合死亡率は50%程度にもなります。今回の北京のケースも重症化しているらしいです。
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アンゴラは原油などの取引で中国と密接な関係があります。アンゴラと中国については以前の記事★もみてください。
中国人が世界中で活躍するのはいいですが、アジアに今までなかった病気を広めることがないようにしていただきたいものです。
また、やっぱり蚊には刺されないのが一番ですね。