映画 Film264 『ミリオンダラー・ベイビー』 | 隊長のブログ

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中国上海に2003年12月から2008年1月まで、商社マンとして駐在していました。趣味はヒップホップダンス、旅行、映画、スポーツ観戦です。野球は阪神タイガースのファンです。

隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第264作品目は、『ミリオンダラー・ベイビー』をお送りします。

 

 

 


『ミリオンダラー・ベイビー』(原題: Million Dollar Baby)は、2004年12月15日公開(日本公開:2005年5月28日)のアメリカ映画。配給:ワーナー・ブラザース(Warner Bros. Entertainment Inc.)。上映時間:133分。


本作品は、ボクシングに希望を見い出そうとする女性と、そのトレーナーの心の葛藤(かっとう)を丹念に描いた、ヒューマン・ドラマです。


原作は、F.X.トゥールの同名小説。脚本:ポール・ハギス。


クリント・イーストウッドが、監督・出演・音楽を務めたことでも、話題になりました。


尚、「隊長のブログ」では、クリント・イーストウッドの映画作品を、これで11本を紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい  。


第77回アカデミー賞(2005年)で、作品賞、監督賞(クリント・イーストウッド)、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)の主要4部門制覇を始め、第62回ゴールデン・グローブ賞など、各映画賞を受賞した、問題作でもあります。


モーガン・フリーマンの出演映画は、『ウォンテッド』 などを、取り上げています。

 

 

あらすじ:ロサンゼルスの寂れたボクシングジムのオーナー兼トレーナーのフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)は、あまりに選手を大事にするため、早くチャンピオンになりたい者は次々とジムを去ってしまいます。残っているのは、元ボクサーで雑用係をしているスクラップ(モーガン・フリーマン)だけ。


そんなジムの門を叩いたのが、田舎育ちのマギー・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク)です。フランキーは、彼女を拒んでいましたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなります。お互いに父娘の関係をなくしている二人は、激しいトレーニングの中で深く心を通わせます。


プロボクサーとしてデビューしたマギーは連戦連勝し、卑怯な手を使うことで知られるボクサーのビリー(ルシア・ライカ)と、100万ドルの賞金が掛けられたタイトルマッチに臨みます。マギーは、優位に試合を運びましだが、ラウンド終了後にビリーが放った反則パンチから、コーナーにあった椅子に首を打ちつけ骨折し、全身不随となってしまいます。


意識ははっきりしているものの体の自由が効かないマギーを、フランキーは懸命に介護します。しかし、完治の見込みがないマギーは家族に見放された事から人生に絶望し、尊厳死を希望し、フランクに幇助を懇願します。しかし、フランクに断られ、自分で舌を噛み切り自殺を図ろうとします。


彼女を愛しているからこそ苦しんだフランキーは、宗教的なタブーとのはざまで苦悩した末、彼女の願いを叶えるという選択をします。フランキー自身でアドレナリンの注射を打ち、人工呼吸器をはずし、彼女にお別れをしたのでした。その後、彼の姿を見たものはいない。。。

 

 

感想:興行的には期待が出来ず、やもすれば、映画にすることがタブーとされていた尊厳死というテーマに、真っ向から切り込んだ作品です。


映画化が難しいと思われた原作小説を、ポール・ハギスの脚本、クリント・イーストウッドの演出、そしてヒラリー・スワンクの好演で、興行収入 $216,763,646のヒット作となっただけでなく、アカデミー賞など、各映画賞を総なめしました。


安楽死・尊厳死の問題は難しく、ブログでも 『安楽死問題を考える』 で、記事にしたことがあります。


キリスト教が生活に寝ずいているアメリカでは、日本以上に賛否が分かれていることからも、問題の難しさが分かります。


特に、アイルランド系カトリック教徒のフランキーは、背中にゲール語で「モ・クシュラ」と書かれた緑色のガウンをマギーに贈るほどですから、その苦悩ぶりがフランキーを演じたクリント・イーストウッドの表情からも、読み取ることが出来ます。


また、アイデンティティもこの映画の隠されたテーマだと言えるでしょう。フランキーが、アイルランドを訪れたことがあるかは定かではありませんが、アイルランド系移民としてのアイデンティティを強く意識し、ゲール語で書かれた緑色のガウンをマギーに贈ったり、死の旅に向うマギーにゲール語の詩集を読んで聞かせます。


クリント・イーストウッドが、若い頃に演じた 『夕陽のガンマン』 や、『ダーティーハリー』  の主人公のような格好良さはありませんが、本作品にはクリント・イーストウッドの映画観が体現されていると言ってよいでしょう。

 


 

 

 


==「映画」バックナンバー =
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Film1~250  省略

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