上海気象博物館にやっと行けました!

 

「やっと」と書いたのは、この博物館は完全予約制で、予約をとるのが本当に難しいのです。

土日の予約はかなり競争率が高いので、春休みの平日に予約がとれて行くことができました。

(予約方法は最後に書きます。)

 

気象博物館は、徐家汇天主堂(教会)の近くにあります。

天主堂の向かって左の通路を進むと、「上海市気象局」と書かれた入り口があります。

10時~予約したのですが、10時少し前には受付に列ができていました。

 

 

博物館の建物です。

徐家汇エリアは、1840年代にカトリック・イエズス会が拠点として活動始めた場所で、教会や修道院などさまざまな施設がイエズス会によって建てれました。そのひとつが、徐家汇観測所で、今の博物館は、1900年に建てられたレンガ作りの建物が利用されています。

この観測所では、清の時代の1872年に気象観測を始めて以来、現在も観測を続けています。当時は世界でも有数な気象観測所として知られ、標準時刻の基準点として、1926年と1933年に国際経度共同測定に参加し、世界三大基準点のひとつとして役割を果たしました。

建物上の鉄塔は風力測定塔で、当初は木造でしたが、破損により金属製に建て替えられました。


建物の2、3階の各部屋にさまざまなものが展示されています。

見学はツアー形式で、ガイドさんがいろいろ解説してくれたのですが、もちろん中国語・・・残念ながら何を言っているのか理解できないので、最後尾で付いていくことしかできませんでした。

 

 

1階の入り口です。方位を表すイラストが床に書かれています。16方位(南南東、北北西・・・など)より細かい32方位が示されています。ほかには、過去の測定器の絵が飾られています。

1階の廊下です。測定開始時(1870年代)~現在に至るまで100年以上の気温の観測記録が展示されています。

気温がどんどん上がっていること、この観測所が気候変動に関する重要な観測記録を残してきたことがよく分かります。

外灘信号塔の模型です。この信号塔はフランス・イギリスによって建てられ、観測所で得られた情報を黄浦を通る船に気象情報を提供していたそうです。信号灯に吊り下げられた旗や風球の形状によって、気象情報を伝えていました。特に、台風が襲来したときは、風向や強さなど細かい情報を示したそうです。1956年に役目を終えましたが、外灘信号灯は今も残っているそうなので、今度外灘行くときに確認したいと思いました。

昔使われた温度計や気圧計がいくつも展示されています。

19世紀はじめ、20世紀はじめのフランス製温度計

1900年ころのスイス製気圧計

 

気象観測の起源とは?という展示。1850年代のフランスで、クリミア戦争時に嵐でフランス艦隊が全滅したことをきっかけで、フランス人のルビエースという方が気象観測の必要性をフランス政府に要求したそうです。その後、フランスが世界最初の気象情報サービスの提供を開始しました。

 

1階奥の一番広い部屋には貴重な資料がずらり!!

この測定所は各国と資料を交換していたそうです。

1878年にアメリカで作られた北半球の平均温度、平均気圧の図

日本から送られた資料もありました。1943年の日本の気象図。戦時中だからか、台湾や朝鮮半島も含まれていますね。

1949年7月24日の天気図。台風が上海付近にあります。東アジア全域の測定所の観測データが地図にポイントされています。天気図を書いたことがある身としては、大変興味深いです。

昔の観測記録や使われた望遠鏡、外灘信号塔の観測記録や信号塔に送った電報など。

天体観測もしていたようで、観測所が出版した天文に関する本も展示されています。

ほかにも、過去の観測記録や1895年に観測所が初めて書いた東アジア圏の天気図もあります。

1826年ドイツ、1840年フランスがぞれぞれ作成した東アジアの地図。すっごく精巧で驚きました。

 

3階に上がります。

3階の廊下には、過去数千年の地球の気温変動のグラフ、ハワイのマウナロア観測所で長く続けられている大気中の二酸化炭素濃度の測定結果のグラフが飾られています。

過去にも自然現象として地球の温度は変動していたこと、昨今の温暖化は二酸化炭素濃度上昇が関連しており、人為起源だと観測データから考察できることを子どもに説明してみましたが、理解してもらえたかな??

 

 

敷地外には現在も使われている風力計や百葉箱など測定機器があります。

 

気象博物館の隣にある徐家汇天主堂も見学しました。観測所同じく、カトリック・イエズス会が建てたもので、1910年に完成したものです。外観も建物のなかもすっごく素敵で立派です。教会にあまり入ったことがない子どもも、壮大さに驚いていました。

 

 

<基本データ>

場所:上海市徐汇区蒲西路166号

   地下鉄1号線「徐家汇」3番出口から徒歩約5分、徐家汇天主堂の左隣に入り口あり

定休日:月曜

開館時間:10:00~または14:00~

予約:WeChat公式アカウントより予約必要(下記参照)

パスポート:予約時にパスポート番号入力必要。来訪時は不要でしたが、念のため持参した方がよいでしょう。

料金:無料

トイレ:不明

日本語表示:なし

英語表示:一部あり

所要時間:1時間程度 ※スタッフの方のツアーは1時間程度あります。 

 

<予約方法>

We-Chat(微信)の「上海気象博物館」公式アカウントをフォローする

→トップページ左下の「展館預約」⇒上海気象博物館をクリック

→出行人信息にて、入館希望する人全員の情報(氏名、パスポート番号、携帯番号)を登録する

→希望の日と時間(10時または14時)を選択して、人数分予約

→入館時は、予約時に発行されたQRコードをスキャンする必要あります。

 

※毎週月曜の午前11時、その日から1週間後までの予約が開始されます。

土日の予約は11時開始直後に埋まってしまいます!平日でさえも、予約開始から数時間程度で埋まってしまうことあります!

参観したければ、行きたい日の直前の月曜午前11時に携帯を構えてください。

 

※予約は1アカウント、3人以下しかできません。入館するすべての人の情報を登録して予約するので、誰が行くか事前に決めておきましょう。

 

<おすすめポイント>

我が家の小学生の次男は、自由研究で天気観測をやったことがあり、天気に興味があり、ひとつひとつの資料を興味深そうに眺めていました。私自身も気象は好きな分野なので、とても楽しめました(次回は子どもなしで一人でもう一度訪れたいです)。

気象図や観測機器は普段目にすることが少ないので、子どもが天気に興味をもつキッカケになるかも知れません。

 

展示物にあまり興味がない方でも、歴史的な建物である気象博物館と徐家汇天主堂を見学する価値あります。

 

※2024年の情報です。