仄暗き森に棲む悪魔【28】 | 銀のスズメバチ

銀のスズメバチ

失敗作 欠陥品 不良品 劣化レプリカ
ってなじられてきましたが
ひとりみつけられたらもうそれでいいのです

To be alone is to be different.
To be different is to be alone.

Suzanne Gordon

2011年11月05日開始


読む前の注意:必ず以下の説明書に目をお通しください

「仄森」読み扱い説明書

ご理解いただけた方のみこのままどうぞです

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─



 ぎぇあああぁぁぁぁ………
       
              ひぃぃ……

        
夜の森に響き渡る、人々の呻き苦しむ声と、炎が何かを喰らう音。

紅く燃え上がった村を丘の上から見つめながら、
ロッテはうっすらと笑っていた。

燃えてる…みんな燃えてる
おにいちゃんを殺した悪魔たちがみんな燃えてる…

「っふふふ…あはははっ!」
ロッテは笑った。
ただひたすら。

そのまま踊るように、村はずれの川辺のほうへ走っていく。



あんなヤツら、死んで当然なんだ
おにいちゃんじゃなくてあいつらが悪魔なんだ
生きてちゃいけない悪魔、それを私がちゃんと燃やしてやった

……最高の気分!



「……ロッテ!」
不意に呼び止められ、ロッテは立ち止まった。
ゆっくりと振り返ると、ルイスがこちらに走ってくるところだった。

「よかった…お前も無事だったんだな、
 いきなりいろんなところから火が出て…まるで油でも」


どっ! 


思い切り突き飛ばされて、ルイスが草の上に倒れ込む。
「っ…あ!?」

がッ!

起き上がる前に、ルイスの頭を鋭い衝撃が襲う。
「……な…」

「きもちわるい」


ロッテの手には、いつの間にか大きめの石が握られていた。
───殴られた…?


「な、なに…」

「……きもちわるい」

がつっ!

「……!?」

わけが判らず、混乱しているルイス。
ただ、防衛本能なのだろう、ロッテの攻撃から逃れようともがいている。

ロッテはルイスに近づいた。
こいつも、おにいちゃんのこと殺して作ったパンを食べて笑ってた。



許せない



背を向けて地面を這いずっているルイスの背を押さえつけ、
ロッテは何度も石を持つ腕を振り降ろした。

気持ち悪い きもちわるい キモチワルイ …、 …、


…一体何度殴っただろうか。

ロッテはゆっくりと立ち上がった。
もう動かないだろう…そう思ったからだ。

「……ぅあ…ぁ」

予想に反し、ルイスはまだ生きていた。
溜め息をついて、ロッテが再び石を振り降ろそうとしたその時。
「あ…くま…」
消え入りそうなルイスの声に、ロッテは手を止めた。

「ぁ…あく…ま…、…………?」

その瞬間に、ロッテの瞳に憎悪の火が灯る。
ロッテはルイスを蹴り飛ばして仰向けにすると、馬乗りになって
顔面に向かって両手で掴んだ石を振り降ろした。

今度は、動かなくなるまで。



何度も、何度も…