実は最近、眠れません。


だいたい寝るのは3~4時くらいです。


会社に行くのも、ギリギリの状態です。


毎日「私よくこの状況で会社に行ってるな」と誉めたくなるくらい。




でも、辛いとか死にたいとか思ってしまう原因は


彼氏の白血病のせいではありません。




きっかけは白血病だけど・・・




ここ1週間ほど、姉から夜中に電話があります。


この3年間、姉とは絶縁状態にあったのに、


沈黙を破り、電話地獄が始まりました。




夜中の1時、電話がなります。


母さんの声が聞こえます。


「ピピがどんな辛い想いで、今まで必死に生きてきたと思っとるん!?


ピピは家族に愛されんかった分、友達に愛してもらっとるんじゃろ!!」


と聞こえてきます。




辛くて眠れません。


自分の人生を呪います。


死にたくなります。


私の人生は何がおこっているのだろう、、、と思います。




結婚してやっと幸せになれるとおもった矢先、


なぜ今 白血病なのだろう、


なぜ今 姉から連絡があるのだろうと思います。


神様は、とにかく私に「幸せになってはいけない」と言っているのだろう思います。

【8月25日】カウンセリング


予約していたカウンセリングに行った。


先生に相談する内容がまとめられず、行った。


とりあえず、起きたことを伝えた。


「私は何をしたらいいのか見失いました。」と言ってみた。


先生は


「不安になって当然。そのくらいの出来事が起きてますよ。


不安になったら悩んだり必死になるのは自然なことだから心配しないで」


と言われた。


「心配なのは、彼の方です。


病名だけ告げて友達に会いに行く行動は無責任です。


気持ちは分かってあげたいですが、


現実逃避した行動をとってますね。


自分には家族と婚約者がいる、という責任から逃げたらいけません。


彼が自分で病気を勉強したり婚約者と真剣に話をする、という行動が取れなければ、彼のために良くないと思います。


それに、病気を受け入れなられない人なら、結婚という壁はもともと乗り越えられない人だと思います。


結婚ってそうゆうものです。」


と言われた。


少し救われた。




確かに、せーがる君は、白血病の疑いから病名確定までの期間、


何もしなかった。タバコを止めたくらい。


怖いのは分かる。


でも、調べてみようとか、


なんとかしようという行動がなかった。


私とも向き合ってくれなかった。




せーがる君と落ち着いて話し合おうと思った。


せーがる君に、これからの生活をどうしたいか、うっすらでも考えて欲しいと思った。


酷だけど、現実から逃げないで、病気と向き合って、


生きてほしいと思った。




せーがる君は


「ピピと結婚したい気持ちに変わりはない。


でも、苦労とか不幸とか考えられない。迷惑がかかる。」と言った。


私は


「結婚はしたい。


でも、治療と結婚準備が辛いなら、治療を優先してほしい。


今の生活のまま、親と治療していく方法も、


私と結婚して治療していく方法も、


他にもたくさん良い方法はあると思う。


一番良い方法を考えるためにも病気を受け入れていこう。」


と話した。




「私も現実を受け入れないと」と思った。




【8月26日】映画


気分転換をしないとと思った。


私もせーがる君も精神的にギリギリだった。


「アベンジャーズ見に行こう」と誘ってみた。


私もせーがる君もアメコミ大好きだったので、


アベンジャーズがこの時期に上映してくれて助かった。


せーがる君はすごく興奮していた。


楽しかった。


久しぶりにせーがる君の笑顔が見れた。


「こうやって、普通の生活をしよう。


病気のことは真剣に取り組む。でも日常は日常で普通に過ごさないと」


と思った。




【9月4日】臨床試験


せーがる君は親と病院に行った。


まだハイドレアという効き目のない薬を飲んでいた。


グリベック、タシグナ、スプリセルという白血病の薬を、いつから飲むかという話をするために病院へいった。


臨床試験に参加することになった。


前日私は「婚約者にも話を聞かせてくださいって先生に相談してな。


あと子どもも作れるかできたら聞いて欲しい」とお願いしていた。




ところが、


せーがる君は先生に聞いてくれなかった。


私は先生から直接話も聞けず、


結婚生活が始まるかもしれないのに臨床試験に参加するサインをしてしまったせーがる君を、責めてしまった。


臨床試験では副作用がでても薬の変更ができないと言われた。


せーがる君は土木の過酷な仕事をしているから、


副作用がでれば仕事を辞めないといけないかもしれない。


そうなると高額な治療費を払っていけない。


どうして先生に、「結婚する予定です。仕事が続けられなければ婚約者と生活できません。臨床試験については考えさせてください。」と言ってくれなかったのか。


「薬を飲み始めて子どもは作れますか?精子を冷凍保存しておかなければいけませんか?」となぜ聞いてくれないのか。


「恥ずかしくてそんなこと聞けない」とせーがる君は言った。


また現実逃避。




私は通勤途中の駅で、せーがる君と電話しながら泣いた。


座り込んで泣いた。


その日の夜、友達から連絡があって、


「駅前でX-manの撮影しとったな!


ヒュー・ジャックマンかっこよかったな~!」と言われた。


「撮影!?私が駅に行ったときは撮影してなかったよ。見たかったな~~」と言った。


すると


「え?でも、撮影現場の前で座り込んで電話しとるピピちゃん見たよ。


真剣そうだったけ話かけんかったけど。」といわれた。


電話に真剣すぎて、ハリウッド映画の撮影していることに気づかなかった。


人だかりでニュースになるくらいの盛り上がりだったのに、ハリウッドスターに気づかなかった。




エックスメンの駅のシーンで、


泣きじゃくりながら電話して素通りしてるエキストラがいたら、


それは私です。




【9月15日】両親へ報告


せーがる君が白血病になったことを私の両親に報告した。


恐ろしいほどの勇気がいった。


せーがる君は婿養子に来る予定だった。


父さんはひどく落ち込んだ。


結婚を反対された。


延ばせと言われた。


死んだらどうするつもりだと言われた。


苦労は目に見えとると言われた。




そんなこと、私とせーがる君が一番良く分かってる。


でも父さんの気持ちも分かる。


はじめて娘が結婚する、孫ができるかもしれない、


父さんと母さんの気持ちを考えると、そう言いたくなる気持ちは分かる。




でも私はせーがるくんを諦められないし見捨てられない。


それよりも私はせーがる君に見捨てられたくない。


10年 一緒にいた


これからも一緒にいたい




辛いけど


これから


やっぱり一緒に生きていく。




これから


なんとしても


幸せを見つけていきます。

【8月13日】両親へ結婚の報告


せーがる君が私の両親に会いに来た。


結婚のあいさつをしてくれた。


「結婚の準備をさせていただいてます」とせーがる君が言うと、


母さんは涙ぐんでいた。


父さんは照れ隠しに笑っていた。


私たちは10年付き合っていて、


私の両親はずっと反対していた。


それをやっと許される時がきた。


でも、、、病気のことは言ってなかった。


病名が決まるまでは、普通に結婚準備がしたかった。


普通の人たちと同じ幸せを感じたかった。


病気によっては私たちは結婚できないと思った。


親へのあいさつが済んで、幸せと恐怖と混じり合ったなんとも言えない気分になった。


私たちほど幸せで、私たちほど不幸なカップルはいないだろうと思った。


時間が止まって、永遠に家族と友達とせーがる君と一緒にすごせたらいいのにと思った。




【8月14日】指輪


婚約指輪と結婚指輪を最終的に決めて、注文した。


文字を入れてもらった。


2012/12/31


付き合ってちょうど10年になる日を、入籍日として刻印もらうことにした。


私たちが12/31に入籍できるかは、まだ分かりません。


神様、私たちを見捨てないでください。




【8月15日】花火大会


毎年恒例の花火大会を見に行った。


付き合う前から、せーがる君と毎年見ているこの花火。


あと何回見れるのだろうと思った。


花火は過去最高の盛り上がりで、思わず口を手で覆ってしまう美しさだった。


この瞬間瞬間を せーがる君と生きたいと思った。




【8月23日】病名確定


せーがる君の病名が分かった。


慢性骨髄性白血病だった。


せーがる君から電話がかかってきて、病名を聞いたとき、


本当に良かったと嬉しくて嬉しくてたまらなかった。


「生きられる可能性がある」


「なんとしても幸せな日々を送ろう」と涙が止まらなかった。




でも、私の喜びとせーがる君の気持ちは違った。


あたりまえだった。嬉しいはずがない。


私はなるべく落ち着いた声で


「治療法があるし、病名が分かってよかった。一緒に勉強していこう。」


と言った。


「仕事が終わったらゆっくり話聞かせて。」と言うと、


せーがる君は「今日はこれから友達と飲みに行く。お前と重い話はしたくない。」と言われた。




驚いた。




私を一番に頼ってくれると思った。




どうゆう治療方法なのか、実際のところ助かる見込みがあるのか、


少しでも安心させてくれると思っていた。


「命はとりあえず大丈夫。一緒に戦ってくれる?」なんていう言葉を期待していた。




「お前と重い話」というワードが傷ついた。




「結婚目前に婚約者が白血病になった私の気持ちは?」と思った。


私はその「重さ」に立ち向かってきたつもりだった。




向き合ってもらえなかった。




病名だけ告げられて、逃げられた。




私はこの一ヶ月間、


必死だった。


耐えようとした。


自分を「弱いと」自分で傷つけた。


でも立ち向かおうとした。




せーがる君を愛してるからだと思った。




でも、


せーがる君に愛されてないと感じてしまった。




「重い話をしたくない」せーがる君の気持ちを理解しようした。


どうしても理解できなかった。


裏切られたと感じてしまった。


がっかりしてしまった。




私は必要ない人間だと思った。


たかが婚約者がでしゃばっていたのだと思った。




せーがる君にはたくさんの選択肢がある。


私は、


「せーがる君は私と結婚して一緒に病気を乗り越える」のが幸せな選択だと勝手に決めつけていたんだと、


すごく恥ずかしい気持ちになった。


私はクズで、弱くて、あつかましくて、


なんと惨めな女だろうと思った。


せーがる君の幸せを考えていたんじゃなくて、


自分の幸せを考えることで頭がいっぱいだったんだと思った。


私たちは結婚できないだろうと思った。


せーがる君はせーがる君の道を選んで


幸せになって欲しいと思った。


「死」を感じているせーがる君に、幸せになって欲しいと思った。


せーがる君の人生は私の人生じゃないことに気付くことができた。




人生の道はあくまで別々のもの。


二人が一本の道を一緒に歩くのではなくて。


二人が歩いている別々の道が、同じ方向に向かっているかどうかなのだと思った。