長らく探していた「黒田辰秋 木工の先達に学ぶ(早川謙之輔著)」を
amazonで検索してみたら、良品がわずか1,900円で出品されていたので
思わず購入した。以前はB級本でも5,000~8,000円もしたのだ。
著述家ではない木工家の早川謙之輔が出版したのは、
雑誌に寄稿したものと私家版の「木工」と「木工Ⅱ」を除けば、
僕が知る限り3冊ほどで、この「黒田辰秋」は以前から欲しくてたまらなかったものだ。
僕が「巨人だ」と考える早川謙之輔が、「巨人だ」という黒田辰秋が
どれほどの巨人であるかは、とても僕にはわからず、
彼が人間国宝であることや宮殿や高名な方々の依頼を受けて
数々の作品を残したことから推測するだけなのだ。
僕は芸術品を作るつもりも、作る才能もない。
それ以前に芸術そのものがわからない。わからないったらわからない。
「僕のものを収めるため」だけの、余計な装飾が一切ない実用品を、
この先作ろうと思っている。
かといって、装飾がまったく不要かというと、多少の装飾を施さないと
個性の発揮の場がなく、マスプロ製品と同じで誰が作ってもよいことになる。
黒田辰秋の作品には、卍を元にした花のような意匠が入れられたらしい。
この意匠を写真で見たが、とても凡人には考え付かないものだったので、
僕は深く深く感心した。いや、感心したってよりは、絶望的な敗北感ってことか。
だったら、まったく無個性でありつつ、全体になんとなく「僕」というものを
ジワジワ作っていくしか方法はなく、それが何かわからないから始末が悪い。