【 己巳換局 】 ( 1690年 ) に 據り 【 西人派 ( ソインパ ) 】 の 【 仁顯王后 閔氏 】 が…




廢后せられ 王子 【 李昀 ( 後の景宗 ) 】 を 出產せし 【 南人派 ( ナミンパ ) 】 の…




【 禧嬪 ( ヒビン ) 】 【 張玉貞 ( チャン ・ オクチョン ) 】 が 正妃に 立后せらるるも…




【 謄錄類抄 ( トゥンノンユチョ ) 】 讓渡未遂事件 卽ち 【 甲戌換局 】 ( 1694年 ) に…




據り 【 西人派復權 】 と 共に 【 仁顯王后 】 が 正妃に 復位し 【 オクチョン 】 は…




【 ヒビン 】 に 降格せらるる 故に 第 53話に 於きて 【 オクチョン 】 及び 其の母…




【 尹氏 ( ユンシ ) 】 竝びに 其の兄 【 張希載 ( チャン ・ ヒジェ ) 】 は 【 痿疾 】 を…




患ふ 【 李昀 】 の 【 世子 ( セジャ ) 】 廢位を 囘避するべく 【 淑嬪 ( スクピン ) 】 …




【 崔同伊 ( チェ ・ ドンイ ) 】 及び 其の子 【 延礽君 ( ヨニングン ・ 後の英祖 ) 】 の…




暗殺計畫を 實行に 移す 然し 乍ら 【 ヨニングン 】 を 庇護したる 【 トンイ 】 は…




背中を 斬らるる 者の 奇跡的に 命を 取り 畱め 其の 結果 【 ユンシ 】 及び…




【 ヒジェ 】 は 捕縛後 流刑賜毒と 爲り 【 オクチョン 】 は 【 肅宗 ( スクチョン ) 】 …




最後の 配慮なる 自害を 拒否し 服毒を 以てして 刑死せらるる 事を 選擇する…























未の刻…




【 ヒビン 】 【 チャンシ 】 の 処刑を 行なう… ( 【 鄭貴禮 ( チョン ・ グィイェ ) 】 )























… ( 【 銀今 ( ウングム ) 】 )




… ( 【 時非 ( シビ ) 】 )























準備を 進めよ…




はい 尚宮 ( サングン ) 様… ( 【 南貞任 ( ナム ・ チョンイム ) 】 )











『 庚鴛釋解 』 に 云ふ 臣妾 案ずるに 此處に 謂ふ 【 尚宮 ( サングン ) 】 とは…




【 監察府 ( カムチャルブ ) 】 の 【 最高尚宮 ( チェゴサングン ) 】 を 指す 者なり…




【 鄭貴禮 ( チョン ・ グィイェ ) 】 は 新 【 最高尚宮 】 として 【 監察府 】 の 責任者…




に 就任し 前 【 最高尚宮 】 の 【 劉米來 ( ユ ・ ミレ ) 】 は 【 トンイ 】 の 處分に…




據り 死罪を 免ぜられて 壹般の 【 尚宮 】 に 降格せられ 新しく 【 尚宮 】 へと…




昇進してゐる 【 南貞任 ( ナム ・ チョンイム ) 】 と 同じき 職階と 爲る 譯で 在るが…




刑場に 於ける 立位置を 鑒るに 【 チョン最高尚宮 】 の 左鄰に 【 ナム尚宮 】 が…




佇み 更に 【 ナム尚宮 】 の 左鄰に 【 ユ尚宮 】 が 佇みて 居れば 恐らくは…




品秩的に 【 ユ尚宮 】 よりも 【 ナム尚宮 】 の 方が 上位級なる 者と 推察せらる…























王命により 未の 刻に 刑を 執行する! ( 【 車天壽 ( チャ ・ チョンス ) 】 )




行くぞ!!




はっ!!!























どけ!




行かなければ…




会わねば ならない 者が いる…




なりません…




どうか 御戻りください…




聞こえぬのか!!




早く どけ!!!




行く 所が あるのだ…




早く 通せ!!!!




通さぬか…




通せと 言うに…























母上!…




【 セジャ 】 !!…























通しなさい!




最後に 【 ヒビン 】 様に 会うぐらい…




止めることは 無かろう!!




【 セジャ 】 様を 会わせて 差し 上げろ!!!




御言葉ですが それは 絶対に なりません…




頼む…




何をしている?




【 セジャ 】 様を 東宮殿に 御連れしろ…























【 スクピン 】 !




そなた…




【 セジャ 】 を 傷つけないと 言ったのは…




あれは 本心なのか?























そなたに 会いたかった…




できることなら 最後に…




そなたに…




運命ではなく…




私が 選んだことだと 言ったな…




そうだ…




それならば…




自分が 選んだことの 代償は 払おう…




だが 【 セジャ 】 だけは…




絶対に…




私の 過ちの 犠牲にする わけには いかぬ…























【 ヒビン 】 様…




教えてくれ…




【 セジャ 】 には まだ 機会が あるのか?




まだ 私に 何か 方法が…




【 セジャ 】 を 王に つける 方法が…




何か 残されているのか?




そうだ…




私は そなたを 殺そうとした…




何度も 殺そうとした…




だが 最後に…




【 セジャ 】 を 守ってくれと 頼めるのは…




そなたしか いない…




私が あれほど 憎み 続けた…




そなた だけだ…




私の したことは…




すべて 私の 死を 以て 償う…




だから 頼む…




【 セジャ 】 の ことだけは…




あの子 だけは…




そなたが 守ってくれ 【 スクピン 】 …




頼む 【 スクピン 】 …




どうか 【 セジャ 】 を 守ってくれ…




最後の 願いだ…




どうか 私の 最後の 願いを…




どうか 【 セジャ 】 を…




私の 子を…




守ってくれ 【 スクピン 】 …




どうか 御願いだ 【 スクピン 】 …




この 通りだ…




どうか 最後の 願いを 聞いてくれ…




【 スクピン 】 …




【 スクピン 】 …




どうか 最後の 頼みだ…




【 セジャ 】 だけは 守ってくれ 【 スクピン 】 …























準備が できました…























分かった…




行くぞ…























御出でですか 王様…




どこかで 私を 御覧になっていますか…




あの 言葉は…




本心では ありません…




御慕いしたことを 悔やむと 言ったのは…




偽りです…























王様の 御心…




その すべてを…




望んではいけないと 知りながら…




手にしようとしたのは 間違いでした…




そこまで 想ってしまった 私が…




愚かだったのだということは…




よく 分かっております…




そう 知りながら…




最後まで 王様を 傷つける 私を…




どうか 御許しください…























最後の 姿を 見て 欲しいという 私の 願い…




捨てることが できない この 最後の 願いこそ…




愚かです…




それでも 覚えておいて 欲しいのです…




私を…




私の 最後の 姿を…




誰よりも 王様に…




ですから 王様…




どうか 覚えておいてください…




私を…




ずっと…




この 私を…























【 オクチョン 】 の 刑死後 【 南人派 】 が 急速的に 衰退すると 其の 對抗勢力なる…




【 西人派 】 が 必然的に 擡頭するも 【 庚申換局 】 ( 1680年 ) 時から 旣に…




【 西人派 】 は 事實上 【 少論派 ( ソロンパ ) 】 と 【 老論派 ( ノロンパ ) 】 に 分裂して…




をり 其の 關係上 【 少論派 】 が 【 セジャ ( 景宗 ) 】 を 支持し 【 老論派 】 が…




【 ヨニングン ( 英祖 ) 】 を 奉戴し 兩派閒の 權力鬪爭が 顯在化するに 從ひ…




【 トンイ 】 の 王妃立后問題を 以て 朝廷内は 不穩の 樣相を 呈するに 至るも…




【 トンイ 】 は 【 セジャ 】 【 ヨニングン 】 の 貮人を 守る爲 王妃辭退を 決意する…























【 セジャ 】 様を 労わって あげて ください…




御願いします…




今回のことで…




誰よりも 傷ついたのは 【 セジャ 】 様なのですから…























【 トンイ 】 …




私は…




王妃に なる つもりは ありません…




しかし 【 トンイ 】 …




でないと…




王室の 悲劇は 終わりません…























側室には 王妃に なる 資格が ある…




それゆえに…




【 ヒビン 】 様は 欲に 苛まれ 苦しまれたのです…




そのせいで…




皆の 心に 傷が 残りました…




ですから 私が…




側室から 王妃に なれば…




王室の 悲劇は…




また 繰り返されることに なるでしょう…























だから…




そなたが 終わらせようというのか…




そなたが 手にできる…




すべてを 捨てても 良いのか…




もっと 尊いものが あるのです 王様…




高い 地位や…




富を 手にするより…




もっと 大切なものが…




それを 失わずに 済むように させて ください…




意味の ない 地位や 権勢では なく…




【 心 】 を 尽くして…




その 大切なものを 守りたいのです…




王様の 力で これ以上…




悲劇を 招かぬように…




どうか…




そうしてください 王様…























【 セジャ 】 様は…




必ず 王位を 継がねばなりません…




それが…




私の 望む 所です…




でも それでは… 【 沈雲澤 ( シム ・ ウンテク ) 】




そして…




【 ヨニングン 】 も 同様…




王位を 継がせます…




【 ヨニングン 】 が 生き 残る 道は…




それしか ありません…




それは どういうことです?























【 世弟 ( セジェ ) 】 のことを 仰っているのだ… 【 徐龍基 ( ソ ・ ヨンギ ) 】




【 スクピン 】 様は…




【 ヨニングン 】 様を 【 セジャ 】 様の 後を 継ぐ…




【 セジェ 】 にする 御つもりだ…




えっ!?




確かに いい 方法です…




【 ヨニングン 】 様が 【 セジェ 】 に なれば…




【 ヨニングン 】 様も…




【 セジャ 】 様も…




守ることができます…




それが 私の 考えです…




そうやって…




【 セジャ 】 様と 【 ヨニングン 】 の命…




どちらも 守ります…























1701年10月07日 【 スクチョン 】 は 【 嬪御登后妃禁止法 】 を 宣布發令し 此處に…




初代 【 仁敬王后 金氏 】 竝びに 第貮代 【 仁顯王后 閔氏 】 に 繼ぐ 參番目の…




王后を 册妃するに 至る 世に 謂ふ 【 仁元王后 金氏 】 で 在る 更に 【 トンイ 】 の…




政敵と 謂ふべき 者も 現はる 【 張武烈 ( チャン ・ ムヨル ) 】 其の 人で 在る…











『 庚鴛釋解 』 に 云ふ 臣妾 案ずるに 【 禧嬪 張氏 】 に 於ける 刑死の 日時は…




1701年10月10日 と 認識せらるる事 殊に 多かりしと 雖も 此れは 【 肅宗 】 に 據る…




【 禧嬪 張氏 】 の 刑死公表日に 過ぎず 實際の 日時は 1701年10月07日 より…




以前の 可能性が 存すれば 韓國歷史劇 『 同伊 』 が 如き 時系列解釋も…




充分に 理解し 得ると 推察せられ 其の 攷證性は 殊の外 高き 者と 言へる…























【 スクピン 】 様…




【 スクピン 】 様の 御意志ですか?




王妃の 座を 拒まれたのは…




【 スクピン 】 様かと 聞いているのです…




えぇ そうです…




後悔なさることでしょう…




私の 手を 払い 除け…




掴み 掛けた 権勢を…




自ら 投げ 出したことを…




果たして そうでしょうか




私を 愚かだと 御思いかもしれませんが…




そちらも 同じでは ありませんか…



欲に 駆られて…




人を 裏切り…




争い…




血で 血を 洗うばかりが…




この 世の すべてでは ありません…




誰も 皆 そうするとは…




限らないのです…




人を 踏み 躙ることを 知らぬ 者は…




大勢 います…




自分の 物を 与え…




人を 暖かく 包む 方が…




より 幸せだと 想える 者は…




大勢 います…




政治だから…




宮廷だから 仕方ない?




いいえ…




それは 違います…




私が 証明します…




【 チャン 】 殿と 違う やり方でも…




意を 遂げることは できます…




この 宮廷で…




その 政治とやらを やってみます…























現實の 世界に 於きては 到底 出來さうにも 無い 事かも 知れませんが…




其れでも 【 心 】 を 何よりも 大切にする 其の 言の葉に…




「 唯只 涙が 止まりませんでした 」 と 書道敎室の 【 天風先生 】 に 話してゐましたら…




御稽古中の 【 ほなみちゃん 】 が 少し 微笑み 顏に 爲りてゐたので…




【 ほなみちゃん 】 にも 【 なさばな 】 を 喜びて 貰へたのかなぁ~って 想ひてゐますと…




いつもは 全くと 言ひて 良い程 おしゃべりしない あの 【 ほなみちゃん 】 が…







「 せんせ~ 半紙 」




「 せんせ~ さよなら 」







と 自分から 【 天風先生 】 に おしゃべりして 呉れてました…




そんな 【 ほなみちゃん 】 を 見て 何度も 何度も 頷きては…




又 亦 淚して 仕舞ふ 庚鴛くん なのでした~ 笑…























今日も 皆樣から…




たくさんの 元氣を 頂きました…







いつも 御裾分けして 呉れて…




心から 有難う…