Farruca of Autumn night [ 秋の夜のファルーカ ] Hideo Ito (Analog Sound)
秋の夜のファルーカ(オリジナル曲) - 伊藤日出夫とフラメンコ・グループ

伊藤日出夫さんは京都府立第一中学校から甲南大学へと進み、ギターは中学時代から手にしていましたが、やがてフラメンコの魅力にとりつかれ、自学自習でこれをマスターしました。当時から彼の技倆を絶賛し、本邦最高という折り紙をつけて後援を惜しまなかった人に、のちにシュヴァイツァー博士の許へ行って働かれた仙台の高橋功博士があります。
フラメンコは、歌と踊りとギターの三者が一体となって生み出す、エキサイティングな世界です。歌い手は、ノドをふりしぼるような発声で、ドラマチックな歌を聞かせます。踊りては、指をピチピチならすピトーや手拍子のバルマーダをまじえ、あるいはカスタネットを打ちならしながら、サパテアード(靴の足ぶみ)を使って、ダイナミックに踊ります。そして、ギターは、ゴルぺ(響板を叩く)やラスゲアード(弦を爪でかきならす)などのテクニックをふんだんに織りまぜて、力強い演奏をくりひろげるわけです。
「情熱のフラメンコ・ギター」LPから永田文夫さんの解説

伊藤日出夫さんは1932年生まれで、1946年(中学時代)からギターを始められました。当時、日本にはフラメンコ・ギターを演奏する人は皆無でしたから、独学でフラメンコ・ギター奏法をマスターされたことは並大抵なことではありません。来日されたカルロス・モントーヤ氏にも師事されていて、自身のギター奏法にさらに磨きをかけられていた御様子には、敬意しかありません。享年84歳。斯界の巨星はいま天におはします。

このオリジナル曲の「秋の夜のファルーカ」のメロディーに、日本の抒情と詩情を感じます。晩秋の田舎の風景の中で聴きたいと想う素晴らしい曲ですね。柿の樹の枝に数葉残っている黄葉の葉。風にゆれて私の心もゆれて、そこはかとない淋しさを慰めてくれる名曲です。

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