#2-2


「口コミとかめっちゃ評判良かったから選んだんだけどさ。すっげえな、この店。」


「うん、翔さんにしてはちゃんとしたお店選べてるからそっちの方がびっくりだよ。」


「え、今の褒めてくれたよね?ありがとう♡」


「…別に全然褒めてない…!」


俺が選んだのは落ち着いた雰囲気のカフェ。

都内だというのに外は緑が豊富で、マイナスイオンをはちゃめちゃに感じられる。


植物好きの潤にはぶっ刺さるだろうと思ったら、案の定これよ。

…流石俺!!潤のこと知り尽くしてるだけあるわ。


そんな緑豊かなカフェで注文した小洒落た料理も美味しくて。

まぁ潤の手料理と比べたら天と地程の差があると言っても過言ではないんだけど。


「わ、ジェノベーゼパスタ凄い美味しい。どんなソースのレシピなんだろ。…翔さんも食べる?」


そう皿を差し出してきた潤のフォークまでも受け取り、しっかりと間接キス…いや、潤大絶賛のパスタをひとくちもらった。

そしてフォークも一緒に潤に渡し…ふふふ、間接キスからの間接キス…キャー恥ずかしー!


だが…ふんふんと鼻息を荒くする俺には目もくれず、潤はカトラリーケースから未使用のフォークを取り出し、普通の顔をしてその取り出したフォークでまたジェノベーゼパスタを食べ始めた。


「………あ、俺のも食べる?ビーフシチュー。」


ここで、食事器具の終着点を俺にすれば二重間接キスが出来ると気付いてしまった賢過ぎて誰もが頭を抱えてしまうほどの天才櫻井翔。

すぐに思いついたことを行動に移した。


ビーフシチューの入った皿を動かし、俺が使っていたスプーンを潤に手渡すと、潤はその受け取ったスプーンを左手で持ったまま、右手ではまた別のスプーンをカトラリーケースから取り出した。


「わ、コクが深くて美味しいね。ビーフシチューなんてレトルトでしか食べないからさ。」


再び取り出した未使用のスプーンを使い、満足気に頷いて微笑んだ潤は、皿と一緒に使わずに終わった俺が使っていたスプーンをこちらに手渡した。


「…あ、、、、、じゅーんーくん。そのスプーンかーしーて。」


子供が友達相手におもちゃを貸りたい時に言うようにして、俺は満面の笑みで右手を潤の前に差し出した。

潤の右手に握られているスプーンは潤の口の中に入って今まさに出てきたところ…。それ俺欲しい!!!欲ーしーいーーーー!!!!!


「あ、すみません。このスプーン下げてもらってもいいですか?」


「かしこまりました。」


「ありがとうございます。」


…OMG!!!!!!!!


あろうことか潤はタイミングよく横を通りかかった店員さんに、潤が口をつけたスプーンを差し出したのだ。

スプーンひとつだけを下げるなんて…と店員さんも少し困惑した表情を浮かべていたが、お客様のお願いを断ることは出来ず、、、


行き場を失った俺の右手は仕方なく潤から返されたスプーンを手に取った。


ーーー


ランチを終え、デザート代わりにとコンビニでアイスクリームを買った。

たまにはコンビニアイスもいいだろう。

俺はただのバニラソフト、潤はアイスキャンディーである。


購入後、コンビニの外で袋を開ける。


「コンビニのアイスも久しぶりに食べると美味いな。」


「ひとくち食べる?グレープ味。」


普通にソフトクリームを食べていた櫻井翔の元に突如として訪れた"ひとくち食べる?チャンス"!!

今回はさっきみたいに食器具がある訳でもなく、100%間接キスが可能。。。

…神様どうもありがとう。この恩は多分返します!!!


「いいの!?ありがとう!!!」


潤からアイスキャンディーを受け取った俺は人目なんか一切気にせず、アイスキャンディーをベロベロと全体を余すことなく舐めてから、先をじゅうぅぅぅと吸った。


「…ぅわ、、、、、」


まさかここまでとは思っていなかっただろうか。

潤は完全にゴミを見るその目をしていた。


そんな目で見られたって気にしない!

潤オタクはこれぐらいしないと務まんないよ♡