2人一緒にシャワーを浴び終えた後、またお互い裸のままベッドに飛び込んだ。
そのまま2人で甘い一時を過ごすかと思えば、「風邪ひく…。」なんて呟いた潤が布団を手繰り寄せた。
そんな雰囲気のかけらもない言葉に、思わずぷっと吹き出してしまう。
「、、、なんで笑うの…。」
むっすーと頬を膨らませた潤は、せっかく俺と向かい合って横になっていたのに、ぷいっと体ごと顔を逸らしてしまった。
「あ、いや…だって、なんつーか…そのー…潤らしいな、って。」
「…翔さんにそんなことが言えるほど、俺らまだ過ごした時間は短いと思うんだけど。」
あ、これはやばい。
あんなちょっと吹き出してしまっただけでも怒らせてしまう引き金になるのかと、内心焦る。
今までのどんな試験勉強よりも難しい、乙女心(彼女心?いや、潤心?)というのは。
「ごめんって、、」
潤の好きな耳元で囁くように言って、布団から露出している肩を抱き込んだ。
「……っ、、、る、」
「え?なんて?」
「…あたってる。」
「…。」
「翔さんって意外とスケベだよね。」
「…いや、それとこれとは関係な、」
「俺寝るね、おやすみ。
翔さんも明日仕事なんでしょ。早く寝なよ。」
「…おやすみ、、、」
危うし…俺と潤の未来…。
ーーー
M side
ブルリと寒気がして、眠っているものの意識はある中、布団を肩口まで手繰り寄せた。
そういえば今日は翔さんが隣に居たなと思いつつ、警察官だから寒さに強いだろうという謎理論でまぁいいやと自分を納得させた。
再び眠りの深淵に落ちていこうと意識を手放しかけたところ、左手の指に違和感を感じて右手で指を触ると、あることに気がついて目を開けた。
「……!」
…明け方でぼんやりと明るい室内。
隣で眠る翔さんの顔と、違和感を感じた左手"薬指"の付け根を交互に見た。
………きらりと輝く小さなダイヤモンドのついたブラックのリング。
世間一般的に、左手薬指は婚約指輪や結婚指輪を嵌める指である。
「嘘、、、」
割と大きめの声が思わず漏れてしまい、隣で寝ていた翔さんの瞼がぱちりと開いた。
「…翔、さん…、これ、、、、、」
「………んぁ…?
、、じゅん、おは、よ。。。」
再び瞼が閉じ始めた翔さん。
慌ててその撫でた肩を乱暴に揺さぶった。
「ねっ、これ、どういう、こと、っ!」
また瞼が持ち上がったものの、いつものくりくりな目の半分以下にしか開いていない。
「………。。。あー!」
かと思えば、突然思い出したかのようにしてガバっと起き上がった。
被せていた布団が勢いで剥がれ、朝の生理現象によって元気になっているソレが見えたが、今はそれどころじゃない。
「…翔さん?」
「ごめんごめん忘れてた。」
「…忘れてたって…これを?」
「へへ、、、」
こんな粋でかっこいいことをしたのに忘れて寝てたとか…。
「なんか…あんまり性に合ってないかもしれないんだけど。潤との結婚指輪ってことで。
この仕事してるから左手薬指にはつけられないだろうけど…。ま、潤の隣は誰にも渡さないって意味…もあったり…。」
「…しょう、さんのは、?」
「俺?俺ももちろんあるよ。潤とおそろいのやつ、ほら。」
そうして見せてきた翔さんの左手薬指にも、俺と同じ指輪が嵌められていた。
「俺もこれ見た先輩にあんまし絡まれるのは嫌だから、、、うーん、ネックレスとして首につけるつもり。」
「………本当に結婚したみたい…。」
「…、、、したみたい、じゃなくてするんだよ。」
「…え?」
「ふふ…。
………ほら。おいで、愛してるよ。」
ふと仰向けに寝転がった翔さんが、隣で座っている俺に向かって両手を伸ばした。
これ、、、この前お店で…。
「俺も、愛してるよ。。。」
溢れそうになる涙を必死に堪えながら、その胸に飛び込んだ。
終