「ふぅ…。
全部挿 入ったよ。」
「…え、、、、、」
恐る恐る瞑っていた目を開けた潤が上体を起こし、なにか不思議なものを見るような顔をして結合部を覗き込んだ。
「ほんと、だ、、」
すると、ツー、と一粒綺麗な涙が頬を伝って落ちていった。
…潤がどんな気持ちでセッ クスをしたいと言ったのかは分からないが、涙が出るほどのことだったのだろうか。
まさか、、、いや、、、、、
でも、涙なんて流されたら勘違いしてしまいそうになる。
俺らは初めてひとつになれて、涙を流すほど歓喜するような恋人ではない。
スタッフと客。
これはヒアソビにも近いような、あくまでもサービスのひとつ。
「…痛かった、か?」
「いや、、、嬉しくて…。」
嬉しくて?
嬉しくてってなに?
…切れて血が出なくて、か?
いや、そんなことないだろう。
「おい、潤。お前まさか、」
「ん、動いていいよ?気持ちよくなりたいでしょ?時間もないし…。」
まさか俺に気がある訳じゃないだろうな。
そう最後まで言い切ることは出来なかった。
また改めて言い直すことも出来たが、確かに潤の言う通り時間も僅かだし、なにより客である潤がそう言っているんだからその通りにするしかない。
「…。
痛かったら言えよ。」
「うん。」
そうして、ゆっくり慎重に腰を動かし始めた。
「…あ、、っ、あ、、、」
規則的に白い身体が揺れ、か細い喘 ぎ声が口から漏れる。
「…、、っ、」
意図してなのか、そうではないのか分からないが、時々キューっとナカが収 縮して、すぐにでも果ててしまいそうになる。
「ん、しょおさん…、、、」
ギュッと背中に腕を回され、向かい合う形になり、強く抱き締 められる。
お互いの息がかかる程の距離がもどかしくて、貪 るように唇を重 ねた。
「…っふ、んぅ、、、」
舌と舌が絡 み合い、全て溶 け込んでしまいそうな程深く、激 しく。
腰を動かしていることが慎重な分、全部こちらにぶつけるようにしてキスに没頭した。
「、、っ、はあっ、」
キスに溺れて息苦しくなったところで、唇が離される。
そしてもう一度唇を重ねようとしたところで、タイマーの音が断続的に鳴り響いた。