※こちらのお話は潤翔です※
「衣食住…必要最低限のものが揃えられているとはいえ、ずっと正気でこんなところにいられる訳ないだろ。
…あんただって昔監禁されてたんだろ?気持ち、分かんない?」
「…。」
「なにがあの人とは違うだよ。お前の言う"あの人"がどんな人なのかは分からないけど、俺にとってはこんな生活監禁と一緒。
…とか言っても分かんないか。実際200歳超えてても、中身は人の気持ちを考えられない子供だからな。」
全てを言い終えてからようやく、しまった、と思った。
だがもう遅い。
考えるようにして視線を動かした潤は、
「………わがまま言ってごめんなさい。もう…迷惑かけないから、、、」
と、震える声で言って出て行ってしまった。
「…はぁ、、、、、」
いくら嫌でも、流石に言い過ぎたとは思う。
でもこれって、、、もう解放されたってこと?
うーん…でもなんか、後味悪いっていうか…。
そりゃ解放されることになって嬉しいは嬉しいんだけど、、、
言い過ぎたことだけに関しては謝りたいっていうか…、、、
なんか、そうじゃないと人としての俺が許せなくって。
思わず勢いのままに言っちゃったってところもあるし。。。
とりあえず雅紀の家に戻って、荷物を持って帰ってきて、で、潤のことをここで待とう。
どうせすぐ帰ってくるだろ。
ーーー
…なんて言ってたのが3日前。
ぜんっっっっぜん帰ってこない。
帰ってくる気配すらもない。
一体、なにをしているんだろうか。
俺が欲しくないのかな。
…いつもは俺が帰ってきたらすぐに
「お腹空いた。」
って縋って、構わず押し倒して…って。
…俺にあんなに依存してたくせに、そんな簡単に離れていく訳?
心のどこかで勝手に、お前には俺しかいない、って思ってたの俺だけだったの?
…ほら早く、いつもみたいにお腹空いた、って帰ってこいよ。
「………あ"ーもう!なんで俺が捜しに行かなきゃいけねーんだよ!…これじゃまるで、、、、、」
俺があいつのこと、好きみたいな…。
結局、夜も遅いというのに、必要な荷物だけを持って家を飛び出した。
ーーー
最初に向かったのは、潤が働いているバーである。
俺ともここで出会って、、、
でもハズレ。
店内に潤特有のあのオーラを纏っている者は居なかった。
が、カウンターの内側でのんびりとグラスを拭いているオーナーらしき人に尋ねてみる。
「あの、潤ってバーテンダー来てませんか?」
「潤…ああ、松本くんね。
それが最近来てないんだよ。おかげで彼目当てに来ていたお客様もどこかつまらなそうで。」
オーナーもすっかり困っているらしい。
元々のハの字眉をさらに下げて答えた。