今年のバレンタインデーのお話として、「「初めて」はあなたのために」の番外編を用意しました!

前編後編の2話構成で、日付が変わるタイミングでのアップとなります。


本編を読んでいない方でもなんとなくは分かると思いますが、本編を読んでからこちらを読みたい方、本編を読み返したい方のため、1話はこちらから。

アメ限のない本編なので、比較的読みやすいかなと思います^^













M side


「ちょっこれいとぉー、ちょっこれいとぉー、ちょこれいとぉはぁめぇーいーじー…。」


季節はすっかりバレンタイン。

テレビでも人気のチョコレート特集が組まれていたり、大型商業施設でチョコレートフェアがやっていたり。


俺もテレビで昔よく流れていたチョコレートのCMを口ずさんでしまう。


さて、そんなバレンタイン。

なにも考えていない訳がなく。


「んーーー。ニノ、相葉さん、社長は義理チョコでいいけど、やっぱり翔さんは本命じゃないとね。。。」


みんな大好きなのはもちろんなんだけど、事務所の主要人物()3人に対する"好き"と、翔さんに対する"好き"は全くの別物である。


手作りをしてもいいかも知れないが、やっぱり美味しいチョコレートを食べてもらいたい、という思いのほうが強い。

そもそも手作りがダメな人がいたら申し訳ないし。


ーーー


チョコレートは嫌いじゃない。

むしろ好きな方だ。


なんか、高校生の時に放送されていたショコラティエの恋愛ドラマがすんごい面白くてね。

その影響で、一時期ショコラティエに本気でなろうと思ってたもん。


バレないように変装をしつつ、とある商業施設で行われているチョコレートフェアに来てみた。

幅広い年代の女性たちに紛れて、自分もどんなチョコレートをプレゼントしようか考える。


それぞれのイメージにあったチョコレートとかどうだろう。


社長はガトーショコラっぽい。

あ、なんとなくね。


相葉さんはフィナンシェかな。

この前好きっておっしゃっていたし。


ニノは、、、うーん………。

あんまり甘いもののイメージがないから、ビターチョコレートでいっか。


うん、いいじゃん。

そんなことを思いつつ、それぞれに渡すものを買っていった。


「…翔さん。。。」


翔さんって、どんなイメージだろう。

かっこよくて、ずっとずっと大好きな人で、恋人で。


抱く気持ちも唯一無二だから、なにか違うものをあげたい。


「…!」


するとふと目に入ったチョコレート。


「ウイスキーボンボン…。」


ウイスキーの入ったチョコレートだ。

箱の中に綺麗に並べられている、まあるいチョコレート。

一見お酒が入っているようには見えないが、きちんと注意書きが施されていた。


…いいかも。

翔さんってお酒強かったよね、俺と違って。


喜んでくれるかな、、、

期待に胸を膨らませながら、まさに一目惚れとも言えるウイスキーボンボンを購入した。


ーーー


バレンタイン当日。

事務所に顔を出し、義理チョコを渡してから、翔さんの家へ。

早く翔さんに渡してあげたくて、あまり事務所に長居はしなかった。


「…ん?いらっしゃい。どした?」


インターホンを鳴らすと出迎えてくれた翔さんはいかにもオフで。

相変わらずのかっこよさに見惚れてしまった。


…今でも時々信じられないことがある。

本当にこの人が俺の恋人なんだって。

高3で一目惚れしてから、ずっと大好きな人が今、俺の恋人であるなんて。


酷く長い夢を見ていて、いつか目が覚めてしまうのではないかと心配で心配で。

まぁ、そんなことはないんだろうけd、


「早く入れ。そんな緩い変装で、人に見られたらどうする。」


ほら…こんな感じで俺の心の声を遮って部屋に連れ込むのとか、かっこいいよね。

まぁ、翔さんは俺が心の中でブツブツ言ってることなんてもちろん知らないんだけど。


ーーー


「あのさ、チョコレート、買ったんだよね。」


ソファーに腰掛け、おずおずと口を開いた。


「チョコレート、?」


「今日さ、バレンタイン、じゃん?やっぱり、そういうの気にする、よね。だって付き合ってるんだし…。
義理チョコも社長たちに渡してきたから、最後は…本命、の翔さん、に…」


きゃー!

恥ずかしい恥ずかしい!!

本命に本命って言ってる!!!


「…よかったら、食べて欲しい…!」


そうして、恥ずかしさでギュッと目を瞑りながら、横に座る翔さんにチョコレートの箱を押し付けたのだった。