※こちらのお話は潤翔です※
材料は一般的なパスタと同じだったはずなのに、それは自分が作るものより何倍も美味しくて。
やっぱ料理が上手い人ってこういうことなんだろうな。
食後には赤ワインとチョコレートケーキをもらった。
チョコレートケーキなんてあるんだと思ったが、バーから余ったのを貰ってきたらしい。
グラスを揺らし、一口含んだところで、潤が口を開く。
「美味しい?数十年前に貰ったやつなんだけど、1人じゃ開けられなくって。」
「ん、美味いよ。熟成させられてるから、すごい味が深い。
…ワイン飲むってなったら、いっつも白ワインなんだけど、たまには赤もいいね。
……ずっと独りなの?彼氏さんが亡くなってから。」
「うん、まぁ…他にまた作ろうとも思えなくて。ま、彼氏って言っても俺を吸血鬼にした張本人なんだけど。」
「ん?」
「吸血鬼が生まれる方法って2つあるの。
1つは吸血鬼と吸血鬼が結ばれて、子供を産む。
2つ目は、人間に吸血鬼の血を飲ませること。俺は後者だった。」
薄く笑った潤の表情が妖しげに揺れた。
「元々人間だったんだ。」
「そう。その場合は吸血鬼にされた瞬間から老いない。だから俺は…20なんぼかな。そっからずっと老いてない。
なんか…吸血鬼にされるまで凄かったんだよね。監禁されてて。」
「は?」
「もうずーっと前のことだから、ほとんど覚えていないんだけど。」
「監禁なんて…犯罪だろ。」
「分かってるよ。
…でも、最終的には俺から彼のことを求めるようになったからいいじゃん。
翔さんだってそうなってくれるんじゃない?」
「うん。
…ん?」
一度頷いてしまったが、一体何を言ったのか理解出来なかった。
「どういう意味?」
でも、そんな俺の質問も知らないフリをして…。
「翔さん、今日から俺と一緒に暮らすってことでいいよね?」
「え?いやいや、、、」
「食糧なんだから、ここに居るのは当たり前でしょ。」
「…。」
明らかに潤の様子がおかしくなってきて、体が強ばる。
「何言ってんの…?ま、まさか、俺もあんたみたいに監禁するつもり?」
「監禁までするつもりはないよ。俺、あの人とは違うもん。」
「…。」
やっぱり人じゃないのと関わるなんて、ろくなことがない。
変なことをされる前に逃げようと、ソファーから立ち上がったが、突然視界がぐらりと揺れた。
「もう遅いよ。ワイン飲んじゃってるんだもん。」
霞んでいく視界で、にっこりと微笑む潤を捉えてから、脱力するように膝から崩れ落ち、そのまま意識を手放した。
ーーー
さて、私初の潤翔のお話がここまで順調に(?)進んでいますが、みなさんどうでしょうか。
怪しい匂いがプンプンしてますが、「Dance in the dark」ほど可哀想なことにはならないのでご安心を。
…あれははちゃめちゃなのが書きたかったんですよねぇ(遠い目)。
このお話書くために読み直したら、頑張ってるなぁ過去の私…って感じでした笑
…流石に初めての潤翔でとんでもないのは書けません笑
ゆるーくいきましょ、ゆるーく💪
明日から潤くんsideを挟みます。
もう少しお付き合いください♡