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「ねぇ、雅紀は翔様と何度か話した?」
「翔様、ですか?…いえ、和也さんとはよくお茶をしますけど、翔様とは…。第一、オーラが圧倒的過ぎて中々近寄り難いというか…。しょ、翔様のことを悪く言うつもりは一切ないですが、そのー…。」
その慌てように思わず苦笑を浮かべる。
雅紀のことだから、やはり翔様とお話することは難しいんじゃないかと思っていた。
「…潤様に連れてきて頂いた、たった1人の側近ですから、、、潤様のお相手である翔様ともそれなりにお話出来た方がいいとは思うんですが、、、」
申し訳なさそうに目を逸らした。
「…ふふ、別に無理しなくていいんだよ。確かに翔様の纏うオーラは僕とは全然違っているし。」
「天下とってるみたいな感じですよね…。」
「天下って、、、」
すると、コンコンコンとドアがノックされて、その後すぐに和也さんの声がした。
「王妃、ここにいらっしゃったのですね。あ、雅紀さんも。」
「どうされました?」
「翔様がお呼びです。玉座の間に。」
「…?
分かりました。すぐに向かいます。
ごめん雅紀、片付けお願い。」
「承知しました。」
一体なんだろうと不思議に思いながらも、その場を後にした。
ーーー
早歩きで玉座の間に向かい、ドアを開けると翔様が奥の玉座に腰掛け、肘掛けに肘をついてこちらをじっと見てきた。
「、、、えっと、なんのご用でしょうか、、、」
低い階段を数段上り、翔様の前に立った。
「…お前の意見でも聞こうかと思って。」
「意見…?」
「政治の話だ。あ…お前に分かるか?政治の話が。」
「…。」
ニヤリと片方の口角を上げて、こちらを見下す翔様。
「…翔様、それは人を馬鹿にするということですよ。」
思わず言い返してしまった。
…まぁ言い返すと言っても、翔様のおっしゃる通り、政治の難しいことは分からないのだが。
「…私の父は国の政治に関わっている重人でした。政治をする父の姿は間近で見てきているつもりでしたが。」
「…、、、政治というか貿易の話だが…。
ここから真逆に位置するプレイン共和国から貿易をしないかという申し出があった。プレイン共和国は海に囲まれた熱帯地。この国にはない物がたくさん輸入出来るだろう。こちらの国の発展に繋がるいい話だ。ただ、、、」
「ただ…?」
「あまりにも遠すぎる。メリットよりもデメリットの方が大きいように感じるのだ。我が国からなにかを輸出する際、ここから馬車で運び、さらには船を使ってプレイン共和国まで運ばなければならない。この国は海が近くにある訳でもないから、船などの技術はそれほど発達していない。」
「…なるほど、、、
それで、私から意見を…。」
「そういうことだ。潤、お前はどう思う?」
身を乗り出した翔様が、真っ直ぐにこちらを見つめた。