潤が懸念していた通り、教室に入った瞬間、一気に生徒たちがざわつき始める。
「K大から来ました。櫻井翔です。本日から2週間、英語の授業でお世話になります。よろしくお願いします。」
典型的な自己紹介と挨拶を終えた後、生徒にされた1つ目の質問は「番は居ますか。」だった。
…懐かしいなぁ、、、
思わずほっこりする。
潤が俺らのクラスの担任になった時も、誰かがそう聞いてたっけ。
やっぱり高校1年生は、年度が変わろうが気になることは一緒なんだな。
「…居ます。番が…男性の番が。」
そう、にっこりと微笑んだ。
ーーー
…なんて最初から生徒たちに爆弾を落としてしまったせいで、ホームルーム後には俺の周りに人だかりが出来た。
皆が気になって質問してくるその内容は、もちろん全て、名も知らない"番"のことである。
男性としか潤のことは言わないようにして、結局彼らが知れたのは、"男の番がいる"ということだけである。
…いやぁ、誤魔化すのって大変だね。
ーーー
初めての授業は、何日も前から準備していただけあって、よく頑張れた方だと思う。
…果たして分かりやすい授業だったのかは、生徒本人にしか分からないけど。
この高校ってそれなりに頭いいし。
午前中は授業をして、プリントを作成して、、、ってパソコンとにらめっこしていたら、あっという間にお昼時になった。
どこでお弁当を食べようか。
なんて悩むまでもなく、俺の足は社会科準備室へと向かう。
「、、、あ、、櫻井先生、お疲れ様です。」
ガラガラとドアを開けると、カバンから弁当を取り出している潤と目が合った。
そしてもう1人と。
「………え?、、、あんた……、、えっ?」
この状況を全く理解出来そうにない1人の生徒…。
菊池風磨が、こちらを見て目を白黒させていた。
会ったのは2年前…、やっぱちょっとだけ大人になったかな?
「なんでいるんすか。」
「なんでって…。
なんだよ、その言い方。」
「いや、だって、」
「先生と2人きりで過ごせるせっかくの時間が、ってか?
…フハッ、ごめんねぇ。あいにく今日から2週間、ここで教育実習なんですよ。」
「え?てことは、教師になるってことですか?」
「そゆこと。」
明らかにゲッ、という嫌そうな顔をした。
「…そんな顔するなって。毎日昼休みはここに来てやるからさ。」
「それが嫌なんすよ。俺と先生の時間取らないでくれません?」
「え?いやいやいやいや…俺のじゅっ、松本先生だし!なに自分のみたいな雰囲気出してんだよ!」
「あなたは家で一緒なんだからいいじゃないすか!ちょっとぐらいくださいよ!」
「やだ!!!」
「………そういう子供っぽいところが、2人とも似てるんだよ。」
俺と菊池に挟まれた潤が、呆れたようにため息をついた。
ーーー
潤に指摘されて静かになった俺らは、バチバチと視線をぶつけながら、黙々と飯を食べていた。
こいつ、前あったよりもイケメンになったっつーか…、垢抜けたか?
意外と背も高いし、潤を少し見下せるくらいは、、、
「櫻井先生。彼のこと見すぎです。」
「お、お互い様ですよ!」
「櫻井先生…、まさか俺が松本先生のこと襲うとでも思ってるんですか?」
「…べっ、べつに、、、」
「襲いませんよ。常識ある高校生ですし。ま、何より松本先生と約束しましたからね。」
意味深な笑みを浮かべて潤に目配せすると、潤は思い出したようにして目を逸らし、こくりと首を縦に振った。
明日はいよいよ我らが()翔さんのお誕生日ですね!
てことで、大した中身はありませんが、3話完結の翔潤のお話を♡
それから、前回の相葉くんバースデー同様、今回も瑞樹さんの企画に参加させて頂いてます。
瑞樹さんにはいつも感謝しかありません😭
当日色んな方が翔さんハピバ記事をあげられていると思うので、是非みなさんも一緒に楽しみましょう!
「destiny Ⅱ」の方は一旦お休みとなりますので、どうぞよろしくお願いします。