大野、二宮は午後からダンス教室があるので、そろそろスタジオにも戻らないといけない時間。

2人は名残惜しそうにしながらも、オーナーの松本と別れた。


「いやぁ〜、随分と綺麗な、、、すっげぇ美人さんだったなぁ…。」


歩きながら、んふふと頬を緩ませた大野。


「まぁ…。」


二宮自身にも、もちろんそのことには気づいていた。

誰よりも綺麗で、溢れ出る…身に纏う雰囲気が誰よりも澄んでいて。


一体どんな風に言葉にすればよいのか、2人にも分からなかった。


「ちゃっかりご飯誘ってましたけど、まさかホントに行くつもりなんですか?」


「えぇ?行きたいじゃん。」


「完全に惚れてましたよね。」


「そんなのニノだって同じだろ。」


「…。」


「恋人とかいるのかなぁ。でも薬指に指輪はついてなかったな。」


「…大野さんほんとに、」


「早くしねぇと俺が取るよ?」


にっこりと笑った大野を見て、ドキリとする二宮。

高校時代から同じである二宮は、大野が本気だということに気づいてしまった。


「一緒にご飯行くことになったとして、ニノは連れてかねぇからな〜。」


「別にあなたと行く気なんてありませんよ。行くなら1人で誘って勝手に2人きりで行ってきます。」


「とりあえず連絡先はゲットしたから…。」


うーんと思いを巡らせる大野を見て、二宮は焦りを感じ始める。


本気で狙ってる。

経営者の枠どころか、オーナーの松本さんまで。


…本気で取りに行く大野さんを見て、自分は指くわえて黙って見ている訳にはいかない。


だって彼、、、松本さんってば、すっごい美しくて、惚れてしまったことは否めない。

てか、惚れたから。


「…本気ですね。」


「初めて会って惚れたからって、こんなにすぐに本気になるのはきっとおかしいんだろうけど、、、
ニノ、どうせお前も惚れただろ?」


「よくお気づきで。」


「じゃあこっちでもライバルか。」


「俺は別に、」


「嘘つかなくていいよ。欲しいんだろ?松本潤が。いらないとか言っといて、こそこそ取ろうとするのは無しな。」


「…はいはい、わかりましたよ。」


……好きな人を口説くのは得意じゃない。


というか、


「松本さん、恋人居ないんですかね。」


「さぁ。指輪はついてなかったけど。」


もうそんなところまで確認しているのかと、若干大野の徹底ぶりが怖くなった二宮。


既にご飯に行こうと誘った大野とは違い、二宮はまだ連絡先を知っただけの段階。

明らかに出遅れてしまった。


かと言って、大野と一緒に松本と食事に行くという選択肢はない。

そうした方が、大野を口説かせなくすることが出来るのは確かだが。