下唇を噛んで俯いた潤を見ると、やっぱり聞くんじゃなかった、って後悔する。

普通に考えて、こんなこと聞いちゃ駄目だったかな。


…潤をこんな姿にしたの、俺だし。


「ごめん…、やっぱなんでもな、」


「ありがとう。」


「………え、?」


俺の言葉を遮るように発せられた、「ありがとう」という言葉。


「…翔くんがそんなに俺の事想ってくれてるなんて、知らなかった。」


四つん這いのような状態から、ころりと反転して仰向けになり、こちらを向く。


「ありがとう…。」


「なんで、」


酷くしたのに。

こんなに身体中紅い痕つけて、腰に爪痕も…強く掴んだ痕もついてるのに。


こんなに…勝手に暴走したのに。


そんな言葉をかけられるなんて。


「嬉しかった…。しょおくんね、ずーっとうわ言みたいに"やだ。"って。
"お願いだからもう誰にも抱 かれんな。俺が絶対抱 かせない。"って。泣きながら、ずーっと俺の身体に吸い付いてきて。…こんなの身体中付けられちゃったら、しばらくは他の男に抱 いてもらえないよ。…お金、稼げないよ。」


自分の身体に散る紅い華を撫でる。


俺…そんなこと、、、


「…俺、潤のこと好きだよ。だから、さ、もうそんなことしないでよ。」


ここで告白しないと、潤の売 春を止められないかと思った。


「もういいよ。売 春なんてしないで。俺が稼ぐから。」


「…でも、」


「そんなこと言うなら4日に1回の割合で重なろう!で、毎回キスマークつけまくって、一生潤の身体からキスマークないっていう状態を作らないようにしてやる。」


「っ、」


「…それでもまだ売 春して稼ぐつもり?じゃあ俺、どうしたら潤を止められるんだよ。どうしたら、潤は売 春しなくなるんだよ…。」


「………分かったよ、もうしない。絶対。」


「ホント?」


「うん。俺、そんなに翔くんに想われてるとは思ってもなかった。」


「、、、良かった…。」


フッと肩の力が抜ける。


「…とりあえず、お風呂行かせて。」


「あ、ごめん、」


「ほんと、すっごい量つけたよね。いくつあるのかなぁ。記念に写真でも撮っておこうか。」


「ばっ、ダメだよ!」


まぁ、これで潤が売 春やめてくれたから良かった。


ーーー


「…今まで何人の男に抱 かれたの?」


2人でシャワーを浴びた後のベッドの中。

身を寄せ合い、俺の胸に顔を寄せる潤。


「そんなこと聞いちゃダメだよ。」


「やだ。」


「やだって…。」


「俺子供だもん。潤を抱 いた男全員ぶっ殺 すまで気が済まない。」


ギュッと強く抱き締める。


「うっ、苦し、」


「ね、どこのどいつ?」


「ばか、教えたら翔くんのことならホントに殺 しかねないからダメだよ。」


「分かった。じゃあ絶対殺 さないから。約束する。」


「…そう。」


「うん。で、まず最初。あのさっきのスラッとした奴は?」


「雅紀。」


「友達?」


「ううん。全然知らない人。」


「…でもふつーに呼び捨てとか。」


「そういう風に頼まれてたの。オプションとか色々あるし、お金少しでも稼ぐために言われたことなんでもやるようにしてたから。」


「…。」


「ラブホのはまさか見られてたなんて。」


「あれ、ホテル入った後、、、さ、」


思わず言葉に詰まる。

…だってもう、そういうことだよね?