「っん、あ、はぁっ、」


マスクの内側から聞こえる潤の嬌 声。

肌のぶつかり合う音。


その場から、動くことが出来ない。


「…あれ、、、だーれ?」


潤の腰を強く掴みながら腰を打ち付けている男が、俺に気づき笑顔を向けた。

男の言葉に反応して、潤もとろんとした表情のまま、こちらに顔を向ける。


、」


みるみるうちに潤の顔が青ざめていく。


「う、そ、、待って、、、」


「…なに、もしかして知り合い?…んふふ、いいじゃん。もっと声、聞かせてあげようよ。」


「い、や、まって、!」


潤の言葉も聞かず、より激しく突き始める男。

残念なことに、そうされると当たり前のように潤の身体も反応してしまうようで…背中を反らし、壁に必死に手をついて堪えている。


俺、、、何見せられてんだろ。

確実にこんな姿…潤が知らない男に抱 かれる光景を見るのは嫌なはずなのに、身体は正直で、どんどん反応していく。



汗を散らし身を捩る潤をボーッと見つめる。



健全な男子高校生。



しかも相手には好意を抱いてる。


こんなの興奮しない訳、、、



「金髪くん。どうしてここが分かったの?」



この状況には似ても似つかない眩しい笑顔をこちらに向けられ、ハッと我に返った。


「、、、」


「ね、まさき、ほんと、やめて、おねがい、」


涙目でうるうると懇願する潤。


「えーっ。前払いって言ったじゃん。…いいの?ここでやめたらあげるお金減るけど。」


「いい、おねがい。」


「ちぇっ…まだイってないんだけどな。」


不服そうな顔をして、"まさき"と呼ばれた男が潤から自分のを抜く。


2人は支度を整えて、、、何事もなかったかのような状態に戻った。


「はい。」


"まさき"がそこら辺に置いてあったカバンから財布を取り出し、お金を抜き取って潤に渡す。

諭吉さん、、、2枚、かな、、、、、


「…もう、、、やだ、しょおくん。…見ないでよ。」


「、は?」


泣きそうなくらいに目をうるうるさせて、小さく呟いた。


「なんか居ちゃダメそうな現場だね。じゃ、俺はこれで。」


「あっ、おい!」


爽やかな笑顔を浮かべ、ヤった後とは思えない足の速さで出ていった。


「…。」


「…。」


沈黙が2人の間を流れる。


「…話せよ。全部。」


「、、、」


「ここじゃ話しにくい?一旦帰る?」


こくりと小さく頷く潤は、とても俺よりも年上の大学生とは思えなかった。


ーーー


2人無言で家に帰り、ソファーに向かい合わせに座る。


「ごめんなさい。」


「…何に謝ってるのか説明して貰わないと。」


「、、お、れ、、、、、俺、、売、春、してて、」


「……うん。さっきの見りゃ分かるよ。」


「それで、」


「やっぱり金、足りなかったんだろ。」


"有り余ってる"、そういつの日にか潤に言われた言葉を素直に信じた自分をぶん殴ってやりたい。


今思えば、バイトやら大学で疲れて腰さすってたってのは嘘で、、、

腰さすってた理由は、きっと…、


「言ってよ。」


「…言えないよ。俺が、、、突然翔くんを連れ出して来たくせに、金足りないなんて、、、ホント、馬鹿だよね。」


自嘲気味に笑った。