N「あなた社長という肩書きをなんだと思ってるんですか。」



S「別に成り上がりでもコネでもいいだろ。実際俺だってそうだし。

なんなら二宮が次の社長になってくれていいんだぞ。」



N「私にはここの社員をまとめあげられるような才能は持ち合わせていません。

だからこのように秘書を務めさせて頂いてるんでしょう。」



S「ハッ…真面目な事言っちゃって。

というか、ここの社員から引き抜けば一件落着じゃん。」



N「まぁ、そのような手でも良いかと。

なんらかの才能がある者とか、現在、勢いのある者とか。」



勢いのある者…か…。



S「…上田とか…最近頑張ってるように見えるけど。」



N「う、上田ですか?上田は社長のために身を粉にして働いているだけとしか思えませんが…。」



S「別にいいだろ。そんな奴でも。」



N「まぁ、社長から抜擢されたなら喜んで承ると思いますけど…。心配です。」



S「大丈夫だろ。ま、最悪副社長引っこ抜いて…、」



すると突然扉がノックもなく開けられた。



O「うぃ〜。おつかれー。」



そう言いながら入ってくると、ソファーにドカりと腰を下ろした。



N「話をしていれば…。」



S「大野さん…。」



彼はここの副社長で大野智さん。


会社に居ることは少なく、見れたらラッキー!的な存在になっている。


のほほんとしているようで、意外と頼れる所があったり、無かったり…。



O「翔くんってば、珍しく仕事もせずに談笑してたんだ。」



S「ったく…翔くんって呼ばないでくださいよ。場所を弁えてください。場所を。

何回言ったら分かるんですか。」



O「別にいいだろ。翔くんとニノしか居ないんだし。」



N「ニノって…。」



O「翔くんだってなんだよ。大野さんって畏まっちゃって。堅苦しい。

この前も言っただろ?智くんって呼べって。」



大野さ…、じゃなくて…智くんは俺の1つ上の幼馴染。


年齢的には、お…智くんの方が上だけど、立場的には俺の方が上だから、接し方に少し困るところがある。


智くんは気楽に話してよ、って言うけど。



O「なんの話してたの?」



N「次期社長の話です。」



O「早いねぇ。翔くんまだ30歳でしょ。まだまだこれからじゃん。」



S「いや、その話を最初からするとちょっと長くなるんだけど…。」



O「ふぅん。」



N「今いる社員から引き抜いてもいいし、なんなら副社長が…ということも。」



O「そんなの嫌だよ。それだったら俺が副社長になった意味ないじゃん。」



S「まぁね。」



焦る智くんの様子に苦笑してしまった。