結論から言うと、「前世の記憶がある」という事実を誤魔化せる上手な嘘はいくら考えても見つからなかった。


「あのさ、
…俺が前世の記憶を持っている、って言ったら、信じてくれる?」


「前世、、?」


「うん。」


「前世、、、
まぁ、ちょっとびっくりするけれど。。でも先生が嘘つくわけないから、信じるよ。」


「ありがとう。」


「…え?もしかして、」


「うん。俺には前世の記憶がある。」


「…ほんと?」


「あぁ。」


「えー、すご!そんな人実在するんだね!」


「俺もよく分かってないけど、、、」


「せんせの前世って、どんな感じ?」


「俺は、、、俺は前世でアイドルやってた。」


「アイドル?!」


眠たそうだった顔が一気に覚醒していく。いつもの半分しか開いていなかった目が、今はいつもの2倍に開かれた。


「アイドル、、まぁ確かに先生かっこいいから、、、」


「それでな、潤。お前も一緒にアイドルやってたんだよ。」


「………んっ?」


今度は何度も瞬きを繰り返す。


「まって、どゆこと?今せんせの話をしてたんだよね?」


「あぁ。」


「…えっと、」


「俺の前世は、俺と潤を含めた5人のメンバーからなるアイドルグループで活動する櫻井翔という男だ。」


「そのまんま、、、」


「そこでもうひとつ。前世での俺の恋人は、同じグループのメンバーである松本潤という男だ。」


「え、」


「俺の好きだった人、は、、その人だ。」


「えっと、、、前世でアイドルしてて、前世の僕とも付き合っていて、、、それで、えっと、、」


「前世の記憶があるせいで、目の前に中学生の潤が現れた時には困惑したよ。しかも俺に惚れたと言うもんだ。」


「…。」


「俺はずっと前世の潤のことが忘れられなかった。頭の中にあるのは前世の潤ばかり。なのに今世の潤と来たらとにかくアピール、猛アタック。」


「だって、、、そんなの知らないし。。」


「俺はずっと悩んでいたんだよ。今世の潤までも愛していいのか。」


「…。」


「今世の潤には普通の幸せを築いてほしかった。男と付き合ったところでなにも生み出せない、意味ないのに。」


「………やめてよ。僕にとってはこれが手に入れるべき普通の幸せなんだよ。好きな人と一緒になることが普通の幸せ。それは女性だろうが男性だろうが関係ない。」


「そういうところも、前世の潤そっくりなんだよ。。」


「…そんなこと言われても、、
え、前世の僕ってどんな人?」


「変わんねーよ。泣き虫で、、誰よりも優しくて繊細で、可愛くてかっこよくて、とにかく俺のことが大好き。」


「自惚れてる?」


「それがマジなんだよ。」


「ふぅん。。僕は将来先生に見合う男になれるのかな。」


「なれるよ。このまま成長したらとんでもないイケメンが誕生する。」


「え?」


「だって中学生のお前の顔、前世とまるっきり一緒だから。このまま成長したら色気の大爆発、美の暴力、誰もがひれ伏したくなるような、」
「ま、まってまって。僕の立場ってなに?そんなことになる?」


「今は可愛い路線で攻めてるだろうけど、お前これからまじでほんとに、やばいから、気をつけろ。」


「可愛い路線、、?いやいや、なにが?」


「成長したら分かる。」


「なにそれ。」


全然分からない、という風に唇を尖らせるのだった。
まぁそりゃそうか。…写真くらいあれば見せてやりたいくらいなんだけどな。