「俺らって前世でアイドルしてたらしいよ。みんな同じグループで。びっくりだよね。」


「アイドル?」


J、、、!!あまりにも唐突すぎる、!


「ちょ、、、、!」


「なんで?別にためらう必要なんて少しもないでしょ。」


まぁ確かに?やましいことでもないんだし。むしろ嬉しいことだし、、いやでも、、、


「へー。すげえな。」


あれほどまでにドキドキした大野さんの反応は、たった二言だけだった。


「誰がそんなの覚えてんの?」


「え?あぁ、、翔さんと、雅紀と、ニノらしい。」


「あれ、松潤の恋人さんも?」


「そう。」


「俺と松潤だけ覚えてないんだ。」


「ね。でも覚えてないのが普通でしょ。」


「それもそうだな。
てか、アイドルか。全然考えられねーや。」


「ほんとそうだよ。ありえないよね。
でもすっごい人気あったって。国民的トップアイドルだったらしいよ。」


「まじ?うっそだあ。」


「俺もホントのことは分かんないよ。」


なんて話ながら笑い合う2人。突然カミングアウトされた驚きで固まっていたが、特になにも心配する必要はなかったらしい。


それと同時に、大野さんにも一切の記憶がないことがこれではっきりとなった。



ーーー


次の体育の授業のことだった。


「俺さぁ、ちょっと振り付け考えてみたんだよ。」


グループごとに集まり、それぞれ進めていいよという声が体育教師から掛かる。のろのろと4人で輪になって床に腰を下ろしてすぐだった。


「えっ?」


俺は思わず相葉さんと目を合わせた。


「まじ?智くんそんなことできんの?!」


「いやぁ、まさか俺も出来るとは思わなかったんだけどさ、、Youtube観てたらダンス動画…みたいなの流れてきて、ちょっと覗いてみたら、なんか俺にも出来そうって思って。」


「なんか俺にも出来そうって、、」


思わず頭を抱えた。でもそれは決して悪い意味ではなかった。
そんなのほほんとした曖昧な感情だけで彼は行動に移し、そして実際にやってのけてしまうのだ。この人の天才肌ぶりにはやはり何度も驚かされる。


「だってこの曲3分ちょっとだよね?それ全部ってこと?」


相葉さんが口を開く。きっと本人も、まさか初めてで今回の課題曲をフルで考えてきたとは思っていないだろう。


「うん。」


「…。」


聞いたのは相葉さんなのに、口を大きく開けたまま固まってしまった。まじかよ、とJも横で呟く。


「いや、、そんな大したものじゃないけどさ。
でも、見てくれるか?」


「えぇ。ぜひ見せてください。」


学校から支給されているタブレットで音源を流す。俺ら3人が横並びで体育座りをしている正面で、彼はまるで舞うように踊り始めた。


「…。」


至極滑らかな足の運び。頭の上からつま先、そして指の先まで見とれてしまうくらいに引き込まれる。華麗にステップを取り、軽やかに踊ってみせるその姿は、脳裏に前世の大野智を思い起こさせた。



あれほど長いと感じていた3分が、こんなに短く感じたことはこれまでにあっただろうか。


「すご、、、すごいよ智くん!」


相葉さんが立ち上がって大きく拍手をした。Jも下からその姿を見上げる。


「ダンスやってたとかじゃないんだろ?なんでそんなにできんの?」


驚いているらしいJも目を白黒させていた。


「わ、かんないけど、、こんなんでいいのかなぁ、、」


困ったように後頭部を掻く大野さん。
分かんないって、私と相葉さんは分かってましたよ。