「自分探し」なんてムダなこと。「本当の自分」を探すよりも、「本物の自信」を育てたほうがいい。脳、人生、医療、死、情報、仕事など、あらゆるテーマについて、頭の中にある「壁」を超えたときに、新たな思考の次元が見えてくる。「自分とは地図の中の矢印である」「自分以外の存在を意識せよ」「仕事とは厄介な状況ごと背負うこと」―『バカの壁』から十一年、最初から最後まで目からウロコの指摘が詰まった一冊。
内容「BOOK」データベースより
「バカの壁」で有名な東京大学名誉教授・養老孟司さん。解剖医としての経歴を活かした解剖学や脳科学の著書に定評がある、無類の虫好きで自然との真の共生を説く哲学は西欧化・都市化がすすむ近代日本に警鐘を鳴らす内容である、世の中を斜めから眺める独特の視点は皮肉・冷笑的と捉えられる事が多いが柔らかな物腰と言い回しによって共感を得たり新しい気付きを与えてくれる。
現代日本のココが変だよと気付きを与えてくれる、生きる哲学を教えてくれる養老孟司さん。個人的に大好きな思想家なのですが、3.11の東日本大震災以降の養老さんの話を聞いてみたかった私にとってその目的が果たされた読書となりました。
原発に関する記述、是が非かではなく今本当に考えなければならない事は何なのか?そして今に至った経緯こそ問題意識とせねばならないといった着想には多くの人が頷いたのではないでようか・・・養老さんの著書では自虐ネタの定番となっていますが、「じゃあどうしたらいいの?」って事に対する答えが書いてあるわけではありませんし、そもそもその発想自体がナンセンスとする立場なのが養老さん。問題提起をするんだけど、簡単に答えを提示してくれない・・・世の中ってそんなに簡単に結論が出せないよね、だから一生懸命考えなきゃだめだねって茨の道を気付かせてくれる、相変わらずのテイストが健在でファンは嬉しい限りです。
本書は原発に限らずに様々なテーマがあがっています、冒頭部分に費やされている「個性」に関する記述に終始言及される「社会」や「世間」といった話題は、両者をどうやって折り合いをつけていけば良いのかを考える上で非常に役立つ考え方だと思います。 本書によって、ガチガチに凝り固まった考え方を持ってしまっている怖さを感じたり、肩の荷が下りたと感想を述べる方が多く、養老哲学は心の癒しを与えてくれる事でしょう。 また反面、本当に解きほぐさなければならないようなガチガチの思想の人にとっては、何を呑気なことを言っているのだと批判される事もしばしばで、思想家に必須の賛否両論がある事も事実ですが・・・養老哲学の素敵な所は、そういった批判がある事を解っているという点でしょう。批判や否定的な意見もどうどうと取り上げた上であえて自分が感じる変な部分を指摘する。頭ごなしでは無くて、一度考えてみてはどうでしょうか?と諭されているような内容ですのでオススメです。
